ツール・ド・フランス2022 第2ステージはヤコブセンが初優勝
北欧デンマークで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月2日にロスキレからニューボウまでの202.2kmで平坦区間の第2ステージを競い、オランダのファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)が集団ゴールスプリントを制し、初参加で初優勝を果たした。
ベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)は、スプリントでヤコブセンに負けて区間2位になったが、6秒のボーナスタイムを獲得。彼は総合首位になり、初めてマイヨ・ジョーヌに袖を通した。区間3位は地元デンマークのマス・ピーダスン(トレック・セガフレード)だった。
地元のニールセンが山岳賞ジャージ獲得
第2ステージは176選手が出走。オフィシャルスタート後、最初にアタックしたのは地元デンマークのマウヌスコート・ニルスン(EFエデュケーション・イージーポスト)だった。スベンエリック・ビストラム(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)と、B&Bホテルズ・KTMのピエール・ロラン、シリル・バルトの2人が加わり、今年最初の逃げグループが形成された。
4人は12km地点で2分15秒差を付けたが、集団はスプリンターを擁するチームがコントロールし、タイム差は広がらなかった。最初の1時間の平均時速は44.5km/hだった。
62km地点の、今年最初の山岳ポイントの手前で逃げグループからロランがアタックしたが失敗し、ニルスンがカテゴリー4の丘を先頭で通過し、1ポイントを獲得した。この丘でB&Bホテルズ・KTMの2人は遅れ、逃げはデンマークのニルスンと、ノルウエーのビストラムの2人になった。72.5km地点と84km地点のカテゴリー4の丘もニルスンが先頭で通過し、最初のマイヨ・アポワを地元デンマークにもたらした。
126.9km地点の中間スプリントはビストロムが1位で通過。3位争いの集団は、ケイレブ・ユアン(ロット・スーダル)が先頭で通過した。ゴールまで残り61kmでビストラムが加速し、独走を開始。彼も残り31kmで集団に吸収されたが、この走りで敢闘賞を獲得する事ができた。
この日のメインイベントは、グレート・ベルト海峡に架けられた18kmの橋を通過する事だった。その直前に集団ではリゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト)が機材故障に見舞われて止まり、集団から遅れてしまった。
橋上でマイヨ・ジョーヌが落車
グレート・ベルト橋の通過が始まってすぐに、集団では落車が発生し、マイヨ・ジョーヌを着たイヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)が巻き込まれてしまった。しかし、ミゲル・ホノレとミケル・モルコフの2人のチームメートが彼を引き、ランパールトはゴールまで残り16.8kmで集団に追いつく事ができた。遅れていたウランも、橋の上で集団に合流した。
橋を渡り終えると、残り3kmは道が狭くなり、落車が続出。混乱状態の中、クイックステップ・アルファヴィニル チームは集団の先頭を引き続け、残り1kmのフラム・ルージュ通過後には、前日の優勝インタビューで宣言していた通り、マイヨ・ジョーヌを着たランパールトも先頭を引き、ヤコブセンの為に働いていた。
最後はチームメートたちの仕事を仕上げるかのように、後方からスパートしたヤコブセンがヴァンアールトを抜き去り、クイックステップ・アルファヴィニル チームに2日連続の区間優勝をもたらした。
現在25歳のヤコブセンは、2020年にツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)の落車事故で重傷を負ったが、奇跡的な復帰を果たし、昨年はブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)で区間3勝し、ポイント賞も受賞していた。
初日の個人タイムトライアルを、ランパールトに5秒差で負けていたヴァンアールトは、区間2位で6秒のボーナスタイムを獲得し、総合首位に立った。彼はポイント賞でも総合首位になっている。
■初参加のツールで初優勝したヤコブセンのコメント
「今日はフランス語で言う所のアンクロワヤブル(信じられない)だ。一歩一歩、長い道のりで、大勢の人々がボクのカムバックを助けてくれた。だからこの勝利は、彼らに報いるためにここにある。まだレースを楽しめて、そして勝てて嬉しいよ。
橋の終わりでチームはボクを前方の良い位置にキープしてくれた。モルコフはボクをヴァンアールトの後ろに落としてくれた。その後、サガンの隣に居た。ボクたちはお互いに接触したが、幸運にも正しい姿勢を保ち、ボクは2人の他のライバルたちを追い越す事ができた。勝てて嬉しいよ。
15年間、これを夢見てきた。デンマークの温かい歓迎と励ましに、心から感謝したい」
■第2ステージ結果
[7月2日/ロスキレ(デンマーク)~ニューボウ(デンマーク)/202.2 km ]
1. FABIO JAKOBSEN (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / NED) 04h 34′ 34”
2. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
3. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN)
4. DANNY VAN POPPEL (BORA – HANSGROHE / NED)
5. JASPER PHILIPSEN (ALPECIN – DECEUNINCK / BEL)
6. PETER SAGAN (TOTALENERGIES / SVK)
7. JÉRÉMY LECROQ (B&B HOTELS – KTM / FRA)
8. DYLAN GROENEWEGEN (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / NED)
9. LUCA MOZZATO (B&B HOTELS – KTM / ITA)
10. HUGO HOFSTETTER (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA)
■第2ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) 04h 49’ 50’’
2. YVES LAMPAERT (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / BEL) + 00′ 01’’
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 00′ 08’’
4. FILIPPO GANNA (INEOS GRENADIERS / ITA) + 00′ 11’’
5. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN) + 00′ 12’’
6. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN – DECEUNINCK / NED) + 00′ 14’’
7. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00′ 16’’
8. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 00′ 17’’
9. BAUKE MOLLEMA (TREK – SEGAFREDO / DEN) + 00′ 18’’
10. DYLAN TEUNS (BAHRAIN VICTORIOUS / BEL) + 00′ 21’’
[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
(※第3ステージは FABIO JAKOBSEN (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / NED) が着用)
■山岳賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:JUMBO – VISMA (NED)
■敢闘賞 : SVEN ERIK BYSTRØM (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / NOR)
第3ステージはスプリントステージ
デンマーク最終日となる7月3日は、ユトランド半島のヴァイレからセナボウまでの182kmで、平坦区間の第3ステージが行われる。風の影響は受けにくいルートで、集団ゴールスプリントになる事が予想されている。