ツール・ド・フランス2022 第3ステージはフルーネウェーヘンが優勝
北欧デンマークで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月3日にヴァイレからセナボウまでの182kmで、平坦区間の第3ステージを競い、オランダのディラン・フルーネウェーヘン(チームバイクエクスチェンジ・ジェイコ)が集団ゴールスプリントを制し、ツールでの区間通算5勝目を上げた。
区間2位にはマイヨ・ジョーヌを着たベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が入ってボーナスタイムを6秒稼ぎ、総合でのリードをわずかに広げた。区間3位はベルギーのヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)だった。
マイヨ・アポワのニルスンが独走
熱狂的な観客が連日沿道を埋め尽くしたデンマークでのグランデパールもいよいよ最終日となり、第3ステージは176選手が出走した。この日もオフィシャルスタートの合図と共にアタックしたのは、山岳賞のマイヨ・アポワを着た地元デンマークのマウヌスコート・ニルスン(EFエデュケーション・イージーポスト)だった。
山岳賞ポイントを狙うニルスンに合流する選手はなく、彼は単独で先頭を逃げ続けた。20km地点でタイム差が6分を越えると、集団はやっと仕事を開始し、ミゲル・ホノレ(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)が先頭を引き始めた。
ニルスンは27.3km地点と82.8km地点のカテゴリー4の丘を先頭で通過し、山岳ポイントを稼いだ。90.5kmの中間スプリントポイントで、1分45秒遅れていた集団は、マイヨ・ジョーヌのヴァンアールトが先頭で通過し、ポイント賞総合2位でマイヨ・ベールを着ていたファビオ・ヤコブセン(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)が後に続いた。
ゴールまで残り58.7km地点にあった、この日最後のカテゴリー4の丘を先頭で越えた後、ニルスンは130kmの一人旅を終え、残り52kmで集団に吸収された。彼はこの日の敢闘賞も受賞した。その後、アタックを試みる選手はなく、集団は1つでゴールを目指した。
ゴールまで残り10.5kmの、わずかに幅の狭い田舎道に差し掛かった時、集団の真ん中で落車事故が発生し、リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・イージーポスト)、ジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)、ルイ・メインティス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)といった、総合上位を目指す選手たちが足止めを食らってしまった。
半分ほどに小さくなった集団は、ゴールスプリントに向けてクイックステップ・アルファヴィニル チーム、アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー、アルペシン・ドゥクーニンクが先頭で列車を作り始めた。ゴールまで残り1kmのフラムルージュは、フランスチャンピオンのフロリアン・セネシャル(クイックステップ・アルファヴィニル チーム)が先頭を引いて通過した。
クイックステップ・アルファヴィニル チームは、残り400mでセネシャルからミケル・モルコフにバトンタッチしたが、ヤコブセンは後方に閉じ込められてしまっていた。最後はスパートしたヴァンアールトの後方から飛び出したフルーネウェーヘンが、僅差のスプリントを制した。
前日に区間初優勝を果たしたヤコブセンが、2020年のツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)で重傷を負った事故は、フルーネウェーヘンが起こしたもので、彼もまた事故からの精神的な復帰を目指していた。この2人の選手が今年のツールのステージで続けて優勝したのは、実に象徴的な出来事となった。29歳のフルーネウェーヘンは2017年、2018年、2019年にツールで区間優勝しており、3年ぶりの区間優勝だった。
■今大会区間通算5勝目を上げたフルーネウェーヘンのコメント
「残り9kmで落車したが、チームはボクを連れ戻してくれた。(ゴールスプリントでは)ボクが閉じ込められてしまったにもかかわらず、アームングレンダール・ヤンスンが完璧な位置に置いてくれた。彼はとても強いんだ。以前、ユンボ・ヴィスマでもチームメートだった。彼はボクのために全力で行ってくれた。
風を沢山受けて脚は疲れていたが、フィニッシュラインへ向かってスプリントするには十分だった。ヴァンアールトがいつも冗談で言ってるんだが、勝ったかどうか確信がなくても、勝利を主張して祝うって。だからそうしたんだ。チームカーで監督が絶叫していて、自分が勝ったって理解したよ。
それから、ボクは父親を見つけた。彼は3週間付いてきていて、いつもは会えないけれど、今日は目の前に居た。その瞬間を彼と共有するのは特別だったし、彼を幸せにするのも特別だった。あの出来事(ツール・ド・ポローニュの事故)の後、家族はボクを大いに支えてくれた。
肉体的には、このレベルに戻るのは難しい仕事ではなかったが、精神的には難しかった。この勝利は妻と息子のためのものだ。
新しいチームはボクをとても信頼してくれて、リードアウトする為に素晴らしい列車を作ってくれた。ツール・ド・フランスでの全ての勝利が特別だ。この勝利だけではない」
■第3ステージ結果
[7月3日/ヴァイレ(デンマーク)~セナボウ(デンマーク)/182 km ]
1. DYLAN GROENEWEGEN (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / NED) 04h 11′ 33”
2. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
3. JASPER PHILIPSEN (ALPECIN – DECEUNINCK / BEL)
4. PETER SAGAN (TOTALENERGIES / SVK)
5. FABIO JAKOBSEN (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / NED)
6. CHRISTOPHE LAPORTE (JUMBO – VISMA / FRA)
7. ALBERTO DAINESE (TEAM DSM / ITA)
8. HUGO HOFSTETTER (TEAM ARKEA – SAMSIC / FRA)
9. CALEB EWAN (LOTTO SOUDAL / AUS)
10. DANNY VAN POPPEL (BORA – HANSGROHE / NED)
■第3ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) 09h 01’ 17’’
2. YVES LAMPAERT (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / BEL) + 00′ 07’’
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 00′ 14’’
4. MADS PEDERSEN (TREK – SEGAFREDO / DEN) + 00′ 18’’
5. MATHIEU VAN DER POEL (ALPECIN – DECEUNINCK / NED) + 00′ 20’’
6. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00′ 22’’
7. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 00′ 23’’
8. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 30’’
9. STEFAN KÜNG (GROUPAMA – FDJ / SUI) + 00′ 30’’
10. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00′ 31’’
[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
(※第4ステージは FABIO JAKOBSEN (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / NED) が着用)
■山岳賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (EF EDUCATION – EASYPOST / DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:JUMBO – VISMA (NED)
■敢闘賞 : MAGNUS CORT NIELSEN (DEN)
月曜日はフランスへの移動日
7月4日の月曜日は、北欧デンマークからフランス北部への移動日となり、5日は海沿いのダンケルクからカレーまでの171.5 kmで、丘越え区間の第4ステージが行われる。コースにはカテゴリー4の丘が6カ所あるが、港町のゴールは平坦だ。