女子Qリーグ、中学生Nリーグ 2022-2023第3戦わたらせクリテリウム・レポート
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女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2022-2023シーズン第3戦となる第1回わたらせクリテリウムが2022年6月11日(土)、栃木県栃木市の藤岡渡良瀬運動公園のわたらせサイクルパークにて開催された。
わたらせクリテリウム、初開催!
この大会は5月にオープンしたばかりの複合型自転車施設「わたらせサイクルパーク」での初開催レース。日頃から栃木県内において自転車普及やジュニア育成にも尽力する宇都宮ブリッツェンが管理・運営をおこなう同パークでの開催ということもあり、大会への期待が非常に高いことを会場で感じる。
レースコースの隣では、地元の美味しいグルメが味わえるケータリングも展開しており、レースの合間もゆっくり楽しめる。ただ、わたらせサイクルパークの目玉の 1つであるパンプトラック走行が、今大会中は使用禁止で利用できないのは残念であった(たぶん朝からの雨予報か公園管理の都合だとは思う)。せっかくレースを観に来たついでに走りたいとか、レースコースが走れないから代わりにちょっとパンプ走ろうかな?というのもあるかもしれない。ケータリングの車が、ちょうどパンプトラックのある場所だったこともあり、レース開催時も複合的な使い方ができると楽しいかもしれない。
一番心配された天候は、梅雨時の最中にもかかわらずレーススタートから最後の表彰式終了まで雨が降らなかった。これでコーナーの多いクリテリウムレースは大きな懸念材料が減るし、多く来場した観客も動きやすかったようだ。
今大会のレースのクラス分けは、特にジュニアを細かく設定している。
ちなみに1周は今回、1.1㎞で設定されているが、このパーク内コースは大会によってコース取りを変更することで距離を調整することができるようだ。
エスポワールA(8周)定員 30名・中学 2〜3年生の男女
エスポワール B(8周)定員 30名・小学 6年生と中学 1年生の男女
エスポワール C(4周)定員 30名・小学 4〜5年生の男女
キッズ(1周)定員 30名・小学 1〜3年生の男女
この年齢分けについて解説すると、UCIの年齢区分「U17」「U15」に準じたクラス分けとなっている。ただ UCIのルールのままで照らし合わせてしまうと各年の1月1日から12月31日切りという判りにくい区分なので、それを日本の学校学年で分けているのは良い工夫になっていると思う。一方で他のレースでは中学生、高校生と分けているケースが多いので、そのような大会との上手な差別化が見せられるかどうかが肝になると思う。
上記のようなクラス分けと併せて、ジュニアが単独レースとして開催されているというのが最大の注目ポイント。これはQNリーグ提携大会では率先して実施しているが、もっと他のレースでも広がってほしい動きである。
女子レースについても、以下のようなクラス分けで工夫した。なお女子レースについても、女子全体のエントリー数が少なかったとはいえ、スポーツとビギナーの同時出走で単独レースとして開催された。
女子スポーツ(8周)・高校生以上の女子
※エントリー条件はロードバイク歴 3年以上の人か自転車レースイベントに3回以上参加経験のある人
女子ビギナー(6周)・高校生以上の女子
※エントリー条件は自転車レースイベントへの参加が3回未満の人
各レースは、集団走行のトレーニングとして1〜2周の練習走行後に一旦停止してから正式スタートとし、その練習走行ではゲストライダー達が伴走し集団走行のアドバイスを行うなど、初レース参戦からベテラン勢まで様々な参加ライダーをカバーできるような工夫を凝らした。
そして、このようなジュニアや女子へも理解の高い宇都宮ブリッツェンとQNリーグは今年度から提携協力し、今大会からリーグ対象レース結果を基にポイントランキングに反映するシリーズ戦レースとすることに同意した。
そのためリーグ登録選手達は結果に基づくランキングを競い、ポイントリーダーはその証である Qリーグ「アメジストジャージ」、Nリーグ「バトルマリンジャージ」を手にすることができる。
Qリーグは岡本彩那、Nリーグは水谷悠平が優勝
レースは朝9時のコース試走を経て、9時40分よりレーススケジュールがスタート。昼前に女子のスポーツとビギナーを同時出走としたレースがスタートした。
高校生以上女子Qリーグは女子スポーツが対象レース。昨年まで中学生で Nリーグ・中学生女子NWの年間ポイントリーダーとして活躍した岡本彩那(ブラウブリッツェン)が、今年より高校生となりQリーグに所属して最初のリーグシリーズ戦への参戦。さらに、Team一匹狼の山田菜月も初リーグ参戦。
そんなメンバーの一騎打ちとなったレースは、周回数違いの女子ビギナーのトップ選手と3人でローテーションし周回を重ねる。6周でゴールとなった女子ビギナー優勝選手が離脱した後も、お互いに譲らず、そのまま最終周回へ。
最後に思い切って飛び出した岡本が、後を追う山田を振り切りゴール!女子スポーツ優勝とともに、Qリーグポイントリーダーの証である「アメジストジャージ」に初めて袖を通すこととなった。
この女子レースの後におこなわれたキッズレース直後に午前開催レースの各クラス別表彰式となり、その女子レース表彰後のQリーグポイントリーダー授与式で岡本が表彰ステージに登壇。
「高校生になって、またいろいろチャレンジしながら走りたい。実業団レースでも頑張りながら Qリーグのポイントリーダーを守りたい」とコメント。ゲストの宇都宮ブリッツェン・西村選手からリーダージャージを着せてもらい、安堵の笑顔を見せていた。
午後からはエスポワールを中心にジュニアレースの各クラスがスタート。まずはエスポワールCの小学4〜5年生の男女からスタート。その後に中学生男女のNリーグ対象となるエスポワールBの小学6年生と中学1年生の男女。こちらはリーグからのエントリーは無し。
そしてエスポワールAの中学2〜3年生男女がスタートした。こちらは男女一緒のレースとなるので、どうしても女子が男子トップでゴールする選手に追いつくのが難しいが、トップゴールまで周回をカウントし順位が反映されるので、中学生男子のNと中学生女子NWの対象レースとした。
さらにNリーグについては、1年生の「エスポワール B」と 2・3年生の「エスポワール A」2つに分かれるが、それぞれのレース完走者にリーグポイントを付与するシステムとしたので、中学生1年選手はぜひ今大会シリーズでポイントを稼ぐチャンスとしてエントリーを検討してほしい。
エスポワールAの中学生2年と3年のレースは23人がエントリー。きれいに正式スタートした後、何度も積極的なアタックが飛び出し、ちょうど昼過ぎで増えてきた観客が一気に盛り上がる展開!コーナーを利用して後続の選手の動きをチェックしたり、ライン取りも綺麗で若々しい走りが更に加速する。
そんななか、大会ホストチームとも言えるブラウ・ブリッツェンの選手たちがキビキビと動きまわる。後半は先頭集団が4人にまで絞られてブラウ・ブリッツェンの柴田渓佑と工藤健太、MZTの水谷悠平、COW GUMMAの本田一貴のゴールスプリントへ。
そのスプリントを制したのはシクロクロスでも活躍する水谷となった。僅差で2位となったブラウ柴田に続き、3位に入ったチームメイトの工藤がNリーグ登録内ではトップとなり 28ポイントを獲得した。
工藤は前回のリーグシリーズ戦「春のしもふさクリテリウム」には出場していなかったため、Nリーグ中学生男子Nの最新ポイントリーダーは前回リーグ戦でリーグ内2位、今大会でリーグ内4位で32ポイントを獲得したチームBMレーシング・宮嵜博己となり、バトルマリンジャージに初めて袖を通した。
表彰式では少し緊張した面持ちではあったが「このジャージを着て気持ちが新たになった。今後のリーグ戦でも良い結果が取れるように、もっと練習する」と力強くコメントした。
Nリーグの中学生女子NWポイントリーダーは、前回に続き大矢彩雲(ブラウブリッツェン U15)が防衛した。
今レースではエスポワール Aの中学生男子に混ざり唯一の女子参戦となったこともあり、ポイントリーダー授与式では「少しでも長い時間、男子選手たちについていって走りたかった。もっと練習してスピードをつけたい」と悔しそうな表情であったが、先を見据えていた。
今後ポイントリーダージャージのチカラで、次回以降も男子に負けないチカラをレースで発揮することが期待される。
今回のゲストライダーとして、地元・宇都宮ブリツェン所属の西村大輝、そしてキナンレーシングチーム所属の中島康晴が朝から会場入りし、レース解説やニュートラル走行でのアドバイス、表彰式のプレゼンターなどお互いに八面六臂の活躍で大会を盛り上げた。
ポイントリーダー授与式でもゲストライダーの2人がプレゼンターを務めた。ほかにも多くの宇都宮ブリッツェン所属ライダー達が会場に足を運び、大いに会場を沸かせた。
なお、次回の 7月30日(土)開催の第2回大会には、小坂光と小野寺玲がゲスト参加を予定している。
現ポイントリーダーはQリーグ岡本、Nリーグ宮嵜、NW大矢
そして各リーグ対象レースの結果により、現ポイントリーダーが決定した。
<写真左から>
Qリーグ(高校生以上女子)リーダー:岡本 彩那(ブラウブリッツェン)・28p
Nリーグ・N(中学生男子)リーダー:宮嵜 博己(チームBM レーシング)・32p
Nリーグ・NW(中学生女子)リーダー:大矢 彩雲(ブラウブリッツェンU15)・56p
※同点の場合、最終戦を除き最新レース上位を優位とします。
今大会のポイントリーダー授与式においても、QNリーグ・各ポイントリーダー賞として「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」の各リーダージャージはBioracer(ビオレーサー)が提供。副賞は武田レッグウェアー、隼、アイリスの各社により提供された。そしてアミックグループからはリーグ登録選手全員に試供品が配られた。
次戦の参加選手、募集中!
QNリーグ・シリーズ第4戦は7月23日(土)、千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催の「そでがうらサマーサイクルロードフェスタ」となる。
エントリーは7月10日(日)まで。
https://summer-sodegaura.powertag.jp
今後のレーススケジュールはこちら
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
※最新ポイントランキング表、現ポイントリーダーも掲載しています。
<レポート概要>
写真撮影:QNリーグ事務局、宇都宮ブリッツェン
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:宇都宮ブリッツェン、わたらせサイクルパーク