ツール・ド・フランス2022 アルプ・デュエズ頂上ゴールの第12ステージはピドコックが逃げ切り区間初優勝
フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、革命記念日の7月14日に、ブリアンソンからカテゴリー超級のアルプ・デュエズ頂上までの165.5kmで第12ステージを競い、シクロクロス世界チャンピオンのトーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアズ/英国)が独走で逃げ切り、初参加で区間初優勝を果たした。
区間2位は48秒遅れで南アフリカのルイ・メインティス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)、区間3位には2分6秒遅れで英国のクリストファー・フルーム(イスラエル・プルミエテック)が入った。
マイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)は、マイヨ・ブランを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)と一緒にゴールし、総合首位の座を守った。
フルームがアタック
フランスの祝日である革命記念日の第12ステージは159選手が出走。スタートしてすぐにアタックしたニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)に5選手が合流し、最初に越えたガリヴィエ峠(カテゴリー超級)でメインティスとジューリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)が加わった。33.2kmの山頂はフランスのアントニー・ペレス(コフィディス)が先頭で通過した。
マイヨ・ベールのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が引き続ける集団からは、ガリヴィエ峠でフルームもアタック。さらに下りでピドコックも抜け出し、フルームに合流して先頭の逃げグループを追いかけた。2人は60km地点で先頭に追いつき、逃げグループは9人になった。総合成績が最も上位なのはピドコックだったが、前日に大きく遅れ、11分12秒差の総合11位だった。
ゴールまで残り83kmで、29km続くクロワ・ド・フェール峠の登坂がスタートした時、逃げグループと集団のタイム差は6分以上あった。気温は35℃にまで上がり、暑い一日となった。クロワ・ド・フェール峠で逃げグループはピドコック、メインティス、パウレス、チッコーネ、フルームの5人になり、残り54.6kmの山頂はチッコーネが先頭で通過。ユンボ・ヴィスマが先頭を引き続ける集団は4分52秒遅れだった。
ゴールまで13.8kmで、アルプ・デュエズの登坂がスタートした時、5人と集団のタイム差は再び6分に開いていた。逃げグループからは、残り10.6kmでピドコックがアタックし、メインティスとフルームが追いかけたが、追いつく事はできなかった。ピドコックは着実にタイム差を広げ、残り5kmで2番手のメインティスに26秒差、3番手のフルームに58秒差を付けていた。
集団はマイヨ・ベールのヴァンアールトが先頭を引き続けた後、スティーフェン・クラウスウェイク(ユンボ・ヴィスマ)が引き継いだ。後方では、ユンボ・ヴィスマのペースに付いて行けない選手たちが次々と遅れていった。集団はプリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)が引いた後、セップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)に交代した。
クースが引き始めると、前日まで総合2位にだったフランスのロマン・バルデ(チームDSM)も集団から遅れてしまった。ゴールまで残り5kmで、マイヨ・ジョーヌのグループはクース、ヴィンゲゴー、ポガチャル、ゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)、エンリク・マス(モビスターチーム)の5人になっていた。
そこからマイヨ・ブランのポガチャルが攻撃を開始したが、マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーはしっかり彼の後ろに付いてきた。ポガチャルはアルプ・デュエズに2回アタックしたが、成功はしなかった。
先頭ではピドコックがそのまま逃げ切り、両手を上げてフィニッシュラインを通過した。22歳のピドコックは、1984年に23歳で優勝したコロンビアのルイス・エレラの記録を塗り替え、アルプ・デュエズで優勝した最年少の選手になった。
アルプ・デュエズで遅れたバルデは総合4位になり、ポガチャルが2分22秒遅れの総合2位、トーマスが2分26秒遅れの総合3位になった。
■ツール初参加で区間初優勝したピドコックのコメント
「最初のツール・ド・フランスのアルプ・デュエズで区間優勝するのは。悪くないんじゃないかな。アイディアは逃げに入る事だった。昨日いくらかの自由を得るだけのタイムを失っていた。ガリヴィエの後、誰もボクを追いかけるリスクは冒さないと知って、下りで逃げ出した。フルームもそうした。彼に追いついたのはとても素晴らしかった。ボクたちは一緒に働いた。彼はレジェンドだよ! おそらく彼は以前ほど速くはないが、それでもまだフルームだ。彼と一緒に逃げるのは、完璧にうまくいった。この勝利はたしかに自転車競技で最高の瞬間の1つだ。人々が降る旗…アルプ・デュエズ以外ではあれは体験できないよ」
■第12ステージ結果
[7月14日/ブリアンソン~アルプ・デュエズ/165.5km]
1. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) 4h 55’ 24’’
2. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 00’ 48’’
3. CHRIS FROOME (ISRAEL-PREMIER TECH / GBR) + 02’ 06’’
4. NEILSON POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) + 02’ 29’’
5. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 03’ 23’’
6. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 03’ 23’’
7. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 03’ 23’’
8. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 03’ 26’’
9. SEPP KUSS (JUMBO – VISMA / USA) + 03’ 26’’
10. GIULIO CICCONE (TREK – SEGAFREDO / ITA) + 03’ 32’’
11. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 03’ 42’’
12. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 04’ 01’’
14. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 04’ 44’’
27. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 11’ 06’’
■第12ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 46h 28’ 46’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02’ 22’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02’ 26’’
4. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 02’ 35’’
5. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 03’ 44’’
6. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 03’ 58’’
7. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 04’ 07’’
8. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 7’ 39’’
9. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 09’ 32’’
10. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 10’ 06’’
15. PRIMOŽ ROGLIČ (JUMBO – VISMA / SLO) + 21’ 37’’
[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : SIMON GESCHKE (COFIDIS / GER)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR)
第13ステージは平坦区間
7月15日はブールドワザンからサンテチェンヌまでの193kmで、平坦区間の第13ステージが行われる。
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