ツール・ド・フランス2022 第14ステージはマシューズが逃げ切り優勝
フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月16日にサンテチェンヌからマンドまでの192.5kmで、丘越え区間の第14ステージを競い、オーストラリアのマイケル・マシューズ(チームバイクエクスチェンジ・ジェイコ)が独走で逃げ切り、2017年以来5年ぶりで区間優勝した。
区間2位はイタリアのアルベルト・ベッティオール(EFエデュケーション・イージーポスト)、3位はフランスのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)だった。
マイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)は、12分34秒遅れでマイヨ・ブランを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)と一緒にゴールし、総合首位の座を守った。
序盤からポガチャルがアタック
第14ステージは157選手が出走。スタートからアタックがかかる中、最初のカテゴリー3の丘で総合2位のポガチャルが2回アタックし、マイヨ・ジョーヌにプレッシャーをかけた。この動きで、集団の後方では前日に落車して負傷していたケイレブ・ユアン(ロット・スーダル)が遅れ、チームメイトたちと一緒にゴールを目指す事になった。先頭集団は30km地点で60人ほどになっていた。
2つ目のカテゴリー3の丘で、フランク・ボナムール(B&Bホテルズ・KTM)がアタック。この日は元選手だった彼の父親の誕生日だった。ボナムールは頂上で追走してきた選手たちに捕まったが、彼のアタックで23人の先頭集団が形成された。そこにはマイヨ・アポワを着たシモン・ゲシュケ(コフィディス)も加わっていた。
23人の逃げ集団で総合成績が最も上位だったのはルイ・メインティス(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)で、15分46秒遅れの総合14位だった。そのため、メイン集団は速度を落とし、遅れていた選手たちが合流できた。50.7km地点の中間スプリントはマシューズが先頭で通過。ゴールまで残り96kmで、逃げと集団のタイム差は10分になった。
3つ目の丘を越えた後、ゴールまで残り52kmで先頭集団からマシューズがアタックし、フェリックス・グロースシャルトナー(ボーラ・ハンスグローエ)、アンドレーアス・クローン(ロット・スーダル)、ルイスレオン・サンチェス(バーレーン・ヴィクトリアス)が合流し、先頭は4人になった。
ゴールまで残り30kmの4つ目の丘は、マシューズが先頭で通過。後方の追走グループは30秒遅れ、集団は14分20秒遅れだった。残り26kmの下りでクローンがパンクに見舞われてしまい、先頭グループは3人になった。
ジャラベールの山で大熱戦
このステージのハイライトだったカテゴリー2のコート・ド・ラ・クロワ・ヌーヴは、ゴールまで残り4.5kmからスタート。3km続く路面は主催者によって途中黄色く塗り立てられていた。「ジャラベールの山」と呼ばれているこの丘のふもとで、先頭の3人はまだ追走グループに30秒差を付けていた。
頂上まで残り2kmの、12%の勾配の坂道で、先頭はマシューズが単独になった。しかし、彼は頂上まで残り1.4kmで、後ろのグループから追ってきたベッティオールに捕まってしまった。ベッティオールのアタックに耐えられなくなったマシューズは、一度離れたが、頂上まで残り500mで追いついた。
マシューズはそのままベッティオールを追い抜き、単独で頂上を通過。単独で残り1.5kmを下り切り、ツールで3回目の区間優勝を独走で勝ち取った。
ユンボ・ヴィスマが先頭を引き続けていたメイン集団では、最後のコート・ド・ラ・クロワ・ヌーヴの坂が始まると、UAE・チームエミレーツが先頭に出て引き始め、あっという間にバラバラになった。そこからポガチャルがアタックし、付いて行けたのはヴィンゲゴーだけだった。ポガチャルは頂上近くでもう一度アタックしたが、ヴィンゲゴーを蹴落とす事はできなかった。
マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーは、ポガチャルのゴールスプリントにも耐え、このステージで1秒たりとも失わなかった。しかし、レース後のインタビューでポガチャルは明日もアタックを試みると宣言していた。
■5年ぶりで区間優勝したマシューズのコメント
「この勝利はボクの競技キャリアでの非常に大きな物語だ。それはジェットコースターのようにアップダウンがあった。妻と4歳の娘はボクを信じ続けてくれた。何度も打ちのめされたが、ボクはいつも立ち上がった。娘に自分のやっている事を見せたかった。妻と娘はボクの夢を実現させてくれた。
昨日は本当にボク向きのステージだったが、大きなチャンスを逃してしまった。チームはあまりに遅く走り、フルーネウェーヘンのためにスプリントに持ち込めなかった。我々は昨日から明日を1つのブロックとして考えていて、3ステージで少なくとも区間1勝するのがチームの目標だった。
区間2位に2回なった後で、このツール・ド・フランスではチャンスが少なくなっていた。でも、今日は皆に、以前と同じように走れる事を見せられたよ」
■第14ステージ結果
[7月16日/サンテチェンヌ~マンド/192.5 km ]
1. MICHAEL MATTHEWS (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / AUS) 4h 30’ 53’’
2. ALBERTO BETTIOL (EF EDUCATION – EASYPOST / ITA) + 00’ 15’’
3. THIBAUT PINOT (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 00’ 34’’
4. MARC SOLER (UAE TEAM EMIRATES / ESP) + 00’ 50’’
5. PATRICK KONRAD (BORA – HANSGROHE / AUT) + 00’ 58’’
6. JAKOB FUGLSANG (ISRAEL-PREMIER TECH / DEN) + 00’ 58’’
7. FELIX GROSSSCHARTNER (BORA – HANSGROHE / AUT) + 01’ 06’’
8. LENNARD KÄMNA (BORA – HANSGROHE / GER) + 01’ 12’’
9. SIMON GESCHKE (COFIDIS / GER) + 01’ 12’’
10. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 01’ 12’’
23. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 12’ 34’’
24. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 12’ 34’’
25. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 12’ 51’’
26. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 12’ 51’’
28. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 12’ 56’’
30. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 13’ 00’’
■第14ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 55h 31’ 01’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02’ 22’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02’ 43’’
4. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 03’ 03’’
5. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 04’ 06’’
6. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 04’ 15’’
7. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 04’ 24’’
8. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 04’ 24’’
9. THOMAS PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 8’ 49’’
10. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 10’ 00’’
[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : SIMON GESCHKE (COFIDIS / GER)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : MICHAEL MATTHEWS (TEAM BIKEEXCHANGE-JAYCO / AUS)
第15ステージはカテゴリー3の丘が2カ所
今年のツール2週目を締めくくる7月17日は、ロデーズからカルカッソンヌまでの202.5kmで第15ステージが行われる。平坦区間になっているが、アップダウンがいくつもあり、カテゴリー3の丘が2カ所含まれている。南仏の暑さも選手たちの体力を消耗させるだろう。