ツール・ド・フランス2022 頂上ゴールの第17ステージはポガチャルが制して区間3勝目
フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月20日にサン・ゴーダンスからカテゴリー1のペイラギュード頂上までの130kmで、ピレネー山岳区間の第17ステージを競い、マイヨ・ブランを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が、マイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)を一騎打ちのゴール勝負で打ち負かし、今大会3勝目を上げた。
区間3位にはゴールまでポガチャルをアシストし続けた米国のブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)が入った。彼はこの日の敢闘賞も受賞した。
マイカが怪我で不出走
ピレネー山岳区間の第17ステージは144選手が出走。前日の峠で自転車のチェーンが壊れた際、太ももを負傷したポーランドのラファウ・マイカ(UAEチーム・エミレーツ)がスタートしなかった。これでポガチャルのチームメートは3人になってしまった。
ベルギーのティム・ウェレンス(ロット・スーダル)は、朝に軽い症状が出て新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査を受け、陽性になったため、レースを去った。
スタートからアタックと吸収が続き、最初の1時間の平均時速は50.7km/hだった。32.9km地点の中間スプリントはヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク)が先頭で通過した。44km地点でオウェイン・ドゥール(EFエデュケーション・イージーポスト)とギヨーム・ボワヴァン(イスラエル・プルミエテック)が集団から逃げ出した。
最初のアスパン峠(カテゴリー1)が始まるとボワヴァンは遅れ、先頭はドゥール1人になった。山頂まで残り8kmでドゥールが吸収された直後に、今度はティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)とアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム)がアタックして先行した。アスパン峠の山頂はピノーが先頭で通過し、10秒差でマイヨ・アポワを着たシモン・ゲシュケ(コフィディス)が3位でポイントを稼いだ。集団は1分20秒差だった。
2つ目のウルケット・ダンチザン峠(カテゴリー2)もピノーが先頭で通過したが、追走グループとのタイム差はわずかだった。ミゲル・ビェアウ(UAEチーム・エミレーツ)が引くメイン集団からは、アダム・イェーツ(イネオス・グレナディアズ)が遅れてしまった。
3つ目のヴァル・ルロン・アゼ峠が始まり、ゴールまで残り30kmでピノーとルツェンコは14人の追走グループに捕まった。そこからアンドレアス・レックネスン(チームDSM)がアタックし、単独で峠を上り始めた。メイン集団は山頂まで残り5kmでマクナルティが先頭を引き始め、逃げていた選手たちを追い抜いていった。
マイヨ・ジョーヌ集団からはセップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)やゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)も遅れてしまい、ゴールまで残り23kmで、マクナルティ、マイヨ・ブランのポガチャル、マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーになった。3人は最後まで逃げていたレックネスンを追い抜き、先頭で山頂を目指した。
マクナルティのスーパーアシスト
山頂まで残り200mで、マクナルティの後方からマイヨ・ブランのポガチャルがアタックし、先頭で山頂を通過したが、マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーは奇襲に惑わされる事なく、後ろについて峠を下り始めた。ゴールまで残り18.6kmでマクナルティが合流し、先頭は再び3人になった。ヴァル・ルロン・アゼ峠の山頂で、追走するトーマスのグループはすでに1分遅れていた。
ゴールまで残り8kmで最後のペイラギュードの登坂がスタートし、マクナルティが変わらず先頭を引き続けた。最後の350mは壁のような斜面になっていて、そこでポガチャルが遂にアタックしたが、16%の勾配に阻まれ、ヴィンゲゴーに並ばれた。しかし、最後はポガチャルがもう一度先行し、両手を上げてフィニッシュラインを通過した。彼は区間1位のボーナスタイムで、わずか4秒ながらヴィンゲゴーとのタイム差を縮める事ができた。
■区間3勝目を上げたポガチャルのコメント
「今日チームがたった4人の選手で走った事は、区間優勝を取っただけでも既に信じられない。我々は皆、自分たちが成し遂げた事を誇りに思えるよ。マイカ、ベネット、ラーンゲン、ソレルなしでは、我々はこれ以上トライできなかった。明日またチャンスがあるかどうかは様子を見るが、今は今日勝てて満足している。ボクは絶対的に全力を尽くした。チームのために、このステージで勝たなければいけないと分かっていた。他に方法はなかった。
マクナルティだけではなく、ビェアウとヒルシのお陰でもある。ビェアウは上りでとても良いペースを作り、ボクはとても調子が良いと感じ、そのペースに自信が持てた。それから最後の2つの上りでは、マクナルティが素晴らしい仕事をしてくれた。彼はこのツールでずっと良かったが、今日は特別な言及に値するよ。すごく嬉しい。ボクは楽観的だから、まだこのツールで勝てると思っている。明日はより過酷なステージだから、我々はまたトライするよ」
■第17ステージ結果
[7月20日/サン・ゴーダンス~ペイラギュード/130km]
1. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) 3h 25’ 51’’
2. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN)
3. BRANDON MCNULTY (UAE TEAM EMIRATES / USA) + 00’ 32’’
4. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 02’ 07’’
5. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA – QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 02’ 34’’
6. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 02’ 38’’
7. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 03’ 27’’
8. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 03’ 32’’
9. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 03’ 32’’
10. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 03’ 32’’
■第17ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 67h 53’ 54’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 02’ 18’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 04’ 56’’
4. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 07’ 53’’
5. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 07’ 57’’
6. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 09’ 21’’
7. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 09’ 24’’
8. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 09’ 56’’
9. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 14’ 33’’
10. ENRIC MAS (MOVISTAR TEAM / ESP) + 16’ 35’’
[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : SIMON GESCHKE (COFIDIS / GER)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
■敢闘賞 : BRANDON MCNULTY (UAE TEAM EMIRATES / USA)
第18ステージはピレネー山脈のクイーンステージ
7月21日はルルドから標高1520mでカテゴリー超級のオタカム頂上までの143.5kmで、今年のツールで最後の山岳区間となる第18ステージが行われる。ピレネー最終決戦は中盤に標高1709mでカテゴリー超級のオービスク峠と、標高1378mでカテゴリー1のスパンデル峠を通過する。ゴールとなるオタカム山は全長13.6kmで、平均勾配は7.8%だ。