ツール・ド・フランス2022 第20ステージ個人TTはヴァンアールトが今大会3勝目
フランスで開催中の第109回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月23日にラカペル・マリヴァルからロカマドゥールまでの40.7kmで個人タイムトライアルを競い、マイヨ・ベールを着たベルギーのウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)が下馬評通り優勝し、今大会3勝目を上げた。
区間2位には19秒遅れでマイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が入り、総合優勝に王手をかけた。区間3位は27秒遅れでマイヨ・ブランを着たスロベニアのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)だった。
第20ステージは138選手が出走。ベルギーのナタン・ヴァンホーイドンク(ユンボ・ヴィスマ)は家族の事情でスタートしなかった。このステージはTT世界チャンピオンであるイタリアのフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアズ)とヴァンアールトの戦いになるだろうと予想されていた。
先にスタートしたガンナは、平均時速50.2km/hで48分41秒のトップタイムを叩き出し、予想通りホットシートに収まった。彼がもし優勝すれば、1965年にフェリーチェ・ジモンディがパリで行われた38kmの個人タイムトライアルで優勝して以来の、イタリア人個人タイムトライアル勝者(プロローグは除く)になるはずだった。
しかし、117番目にスタートしたヴァンアールトは、ガンナのタイムを何と42秒も上回り、平均時速50.9km/hで47分59秒のトップタイムを出した。これで彼の今大会3勝目は確実かと思われた。ところが、最終走者だったマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーが、第1計測地点でヴァンアールトのタイムを8秒も上回り、彼の区間優勝を脅かす存在になってしまった。
マイヨ・ジョーヌの力を借りたヴィンゲゴーは、ゴールまで残り8.2kmの第3計測地点までトップタイムを出し続けたが、最後は失速し、結局19秒遅れの区間2位でゴールし、ヴァンアールトの勝利が確定した。ゴールにはヴィンゲゴーのガールフレンドと娘が待ち構え、総合優勝を確実にした喜びを家族で分かち合った。彼は表彰台に娘を抱きかかえて上がったが、初めて感染予防対策のマスクを付けていなかった。
■区間3勝目を上げたヴァンアールトのコメント
「感動している。チームとしてツール・ド・フランスに勝つのは本当は特別だ。今日も夢のようなシナリオだった。ヴィンゲゴーはそれだけ強い奴だが、同様に良い奴だ。この特別な3週間のために、チームメイト全員とチーム全体に感謝する。信じられないよ」
■総合優勝に王手をかけたヴィンゲゴーのコメント
「(ツールで勝つ事は)ボクにとって全てを意味する。本当に信じられない。言葉にするのが難しいよ。それは自転車競技で最大の勝利だ。フィニッシュラインでボクの2人の女の子たち(ガールフレンドのトリーネと娘のフリーダ)と一緒だったのは、ボクにとって更に意味があった。
(総合2位になった)去年から、自分にこれができるといつも信じていた。それができてホッとした。ただ、とても幸せで誇らしい。2年前に起きた事(最終日前日にログリッチが逆転され、総合優勝を逃した)を、我々はいつも考え、再びそれを起こしたくなかった。今日、我々はそのためだけに走っていた。ボクは可能な限り良いステージ成績が欲しかった。
それはユンボ・ヴィスマチーム全体にとっても、同様にデンマークにとっても特別だ。メディアを読んでいないから、それがどれほど熱狂的なのかは知らないけれど、想像はつくよ」
■第20ステージ結果
[7月23日/ラカペル・マリヴァル~ロカマドゥール/40.7 km]
1. WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL) 47’ 59’’
2. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) + 00’ 19’’
3. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 00’ 27’’
4. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 00’ 32’’
5. FILIPPO GANNA (INEOS GRENADIERS / ITA) + 00’ 42’’
6. BAUKE MOLLEMA (TREK – SEGAFREDO / NED) + 01’ 22’’
7. MATTIA CATTANEO (QUICK-STEP ALPHA VINYL TEAM / ITA) + 01’ 25’’
8. FRED WRIGHT (BAHRAIN VICTORIOUS / GBR) + 01’32’’
9. MAXIMILIAN SCHACHMANN (BORA – HANSGROHE / GER) + 01’ 37’’
10. JAN TRATNIK (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) + 01’ 48’’
■第20ステージまでの総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN) 76h 33’ 57’’
2. TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO) + 03’ 34’’
3. GERAINT THOMAS (INEOS GRENADIERS / GBR) + 08’ 13’’
4. DAVID GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 13’ 56’’
5. ALEKSANDR VLASOV (BORA – HANSGROHE / RUS) + 16’ 37’’
6. NAIRO QUINTANA (TEAM ARKEA – SAMSIC / COL) + 17’ 24’’
7. ROMAIN BARDET (TEAM DSM / FRA) + 19’ 02’’
8. LOUIS MEINTJES (INTERMARCHE – WANTY – GOBERT MATERIAUX / RSA) + 19’ 12’’
9. ALEXEY LUTSENKO (ASTANA – QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 23’ 47’’
10. ADAM YATES (INEOS GRENADIERS / GBR) + 25’ 43’’
[各賞]
■ポイント賞:WOUT VAN AERT (JUMBO – VISMA / BEL)
■山岳賞 : JONAS VINGEGAARD (JUMBO – VISMA / DEN)
■新人賞:TADEJ POGACAR (UAE TEAM EMIRATES / SLO)
■チーム成績:INEOS GRENADIERS (GBR)
最終日は首都パリへ凱旋
7月24日の最終日は、パリ・ラ・デファンス・アレーナから、パリのシャンゼリゼ大通りまでの116kmで凱旋区間の第21ステージが行われる。スタートは現地時間の16時30分で、ゴール予想は19時半頃になっている。