宇都宮ブリッツェン・増田成幸が惜しくも2位 ツール・ド・北海道2022 第1ステージ
コロナ禍で2020、2021年が中止となり、3年ぶりの開催となったツール・ド・北海道。2018年も地震の影響で中止となっているため、増田成幸が個人総合優勝に輝いた2016年は3大会前という計算になる。
最大のライバルとなるとみられたチーム右京は、選手に新型コロナ陽性者があったためチーム判断で欠場に。それでもプロトンには華々しい経歴を持った実力者たちが揃っている。
宇都宮ブリッツェンは宮崎泰史が病欠のため、増田成幸、阿部嵩之、堀孝明、小野寺玲の4人での出場(チームは最大5人まで出場可)。阿部は北海道出身で地の利があり、小野寺は今年登坂力をつけてきているので、4人でも勝利に絡む走りが充分期待できると思われる。
コースは国内でも数少ないラインレース(周回ではなく、原則スタートフィニッシュ地点が違うレース)のステージレースで、昨年開催予定だったコースをそのまま使用する。第1ステージは途中3つの山岳賞ポイント、2つのホットスポットが設定され、上りも厳しいが、途中はトンネルが多く、下りも危険個所がみられるハードなコースだ。
快晴の中スタートした集団は序盤から有力選手が動き、激しい戦いに。24.5km地点の最初の朝里峠は阿部が5位通過、40.6km地点の最初のホットスポットは増田が3位通過し(ボーナスタイム1秒獲得)、宇都宮ブリッツェンも積極的に前で展開していく。
勝負の分かれ目は54.1km地点の2回目の山岳ポイントである毛無峠への上り。直前のホットスポットで集団が縦に伸び、どの選手もきつそうにしているところで、増田が岡篤志選手(EF エデュケーション-NIPPO ディべロップメントチーム)に声を掛けてアタック。集団は分裂し、増田、小野寺を含む18人の先頭集団が形成された。やがてそれは17人となり、2回目の毛無峠は増田が5位で通過をした。
2回の峠を経ても小野寺は17人に留まり、2回目のホットスポットは2位通過(ボーナスタイム2秒獲得)。ツール・ド・北海道は上りが多く苦手意識があると言うが、オフから力をつけた地脚を、今回も垣間見せる走りとなった。
集団との差が最大1分20秒ほどついた17人だったが、一時は15秒差まで縮まり、阿部が含まれる第2集団に迫られた。それでも粘りを見せ、17人のまま3回目の山岳ポイントとなる当丸峠へ(126.1km地点)。その上りで仕掛けたのが増田だ。
「頂上付近で仕掛けても大きなタイム差が得られないと思ったので、上り口で行くしかないと考えた」と言う増田のアタックに、これに追走したのがキナンレーシングチームの3人。昨年JCLの年間個人総合優勝となった山本大喜、2013年ツール・ド・北海道個人総合優勝のトマ・ルバ、同じく2017年に北海道を総合優勝したマルコス・ガルシアだ。増田を含めれば4人のうち3人がこの北海道の覇者という最強グループで、後ろに45秒差ほどつけて当丸峠を通過。通過順位は山本、増田、ルバ、ガルシアの順だった。
しかし「このままフィニッシュまで行けると思った」という増田の思惑とは少しずれ、下りを利用して追走5人が増田たちに合流。そして残り15km付近の上り基調で、今度は山本がアタック。それに反応したのが増田と、追走5人にいた今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)だった。
3人は後続を1分近く離し、フィニッシュへ向かう。ただ、残り3kmを切ったあたりで山本は、後続のチームメイトを待つ作戦を取り、先頭交代へは加わらず。今村と増田で後続とのタイム差を見ながら回していき、残り1kmを切ってからはスプリント力で勝る今村が先行。そのままフィニッシュとなって、増田選手はステージ2位。総合順位も2位となり、トップとの差はわずか3秒。ステージ優勝こそ逃したが、ステージレースの初日として上々の滑り出しとなった。
明日の第2ステージは、今大会最も山岳の厳しいステージと言われており、ニセコを中心に186kmで争われる。前半に標高741mの新見峠が控えており、スプリンターの今村選手に、クライマーの増田がどう挑むか。総合1位への逆転も期待したい。
【増田成幸のレース後コメント】
「今日は上りが一番多いステージだったので積極的に行こうと思い、2つ目、3つ目の山岳両方を自分から仕掛けていった。3つ目の上りはキナンチーム3人と僕ひとりになって、それで最後まで逃げ切れるかと思ったが、後ろから強力なメンバーが追いついてきてしまった。最後、山本選手と今村選手の3人で抜け出しに成功したが、抜け出した瞬間からこのメンバーでは勝てない気がした。そこをなんとかこじ開けて行こうと思ったが、今村選手のスプリントにはかなわなかった。明日はリーダーチームのブリヂストンがしっかりコントロールしてくると思うので、その中で何ができるのか、しっかり考えていきたい。小野寺も阿部も総合タイムは遅れてはいるが、ステージ優勝を狙えると思うので、その優勝をチームでつかみ取りたい。」
▼第1ステージ 区間賞 リザルト
1位 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)4:01:08
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+0:00
3位 山本大喜(キナンレーシングチーム)+0:00
11位 小野寺玲 +5:53
29位 阿部嵩之 +8:11
41位 堀孝明 +16:53
▼第1ステージ終了後 個人総合 リザルト
1位 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)4:00:58
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+0:03
3位 山本大喜(キナンレーシングチーム)+0:03
11位 小野寺玲 +6:01
29位 阿部嵩之 +8:21
41位 堀孝明 +17:03
▼第1ステージ終了後 チーム総合 リザルト
1位 キナンレーシングチーム 12:04:26
2位 EF エデュケーション-NIPPO ディべロップメントチーム +11:15
3位 マトリックスパワータグ +11:17
▼リーダージャージ
個人総合 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
ポイント賞 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
山岳賞 山本大喜(キナンレーシングチーム)
第36回 ツール・ド・北海道2022(UCIアジアツアー2.2)
▼第1ステージ開催日
2022年9月9日(金)
▼スタート
札幌市豊滝除雪ステーション前(北海道札幌市南区豊滝424-1)
▼フィニッシュ
共和町生涯学習センター前(北海道岩内郡共和町南幌似37-22)
▼宇都宮ブリッツェン出場選手
増田成幸、阿部嵩之、堀孝明、小野寺玲
▼競技概要
札幌郊外から北上し、小樽、余市町、神恵内村を経て、共和町へゴールする171km
出走:68人(14チーム)
天気:晴れ
スタート地点の気温:22℃
スタート地点の風速:0m/s
スタート時間:9時30分