宇都宮ブリッツェン・小野寺が区間9位、増田はUCIポイント獲得 ツール・ド・北海道2022 第3ステージ
3日間を通して晴天に恵まれたツール・ド・北海道2022。
最終日も標高749mの峠が44.6km地点にあり、その後もアップダウンの激しいコースが選手の脚を削る。最後40kmほどは下り基調になるため、スプリンターにも可能性があると言われているが、フィニッシュ前500mは3.2%の勾配が。3日間の死闘の末にたどり着くこの“ちょっとした上り坂”が、結果にどう響くのか。
前日に総合7位となった増田成幸と1位の門田祐輔選手(EF エデュケーション-NIPPO ディベロップメントチーム)との差は4分25秒。正直1日で逆転できるタイムではないが、スポーツは何があるかわからない。宇都宮ブリッツェンは入念なミーティングと準備を経て、勝利に向かうスタートを切った。
レースは序盤から逃げが決まり、宇都宮ブリッツェンは集団待機。リーダーの門田、総合2位のトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)、同3位の松田祥位(チームブリヂストンサイクリング)、同4位谷順成(那須ブラーゼン)も集団におり、残り80km地点で先頭10人と集団の差は3分。先頭集団には逆転を逃げで狙う総合5位今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)、同8位のガルシア・マルコス(キナンレーシングチーム)がおり、各チームの思惑が錯綜する。
逃げはそのまま最初の山岳ポイントの上りへ。宇都宮ブリッツェンはここで一気に形勢逆転を狙い、列車を組んで増田を前に引き上げる。増田は他チーム2人の選手と共にメイン集団から飛び出し前の逃げを追うが、協調体制がうまくまとまらず一度集団へ。
やがて阿部嵩之がメイン集団から遅れ、宇都宮ブリッツェンは増田と小野寺玲の2人に。集団はリーダーチームのEFエデュケーション-NIPPO ディベロップメントチームに加え、愛三工業レーシングチームが積極的に牽引するが、逃げのほうも活性化しているので、なかなか差を詰められない。残り40kmでタイム差3分50秒。残り30kmの支笏湖では集団も2つに割れ、全体のスピードが少し落ちてしまう。
その後、残り20kmでタイム差2分10秒。自転車ロードレースは10kmあれば1分のタイム差を縮められると一般的に言われているが、このタイム差はそれが可能かどうかの瀬戸際な数字。宇都宮ブリッツェンはステージ勝利を狙いつつも、安全にフィニッシュをしてこの大会を終えることも頭に置く。
結局、逃げはそのまま捕まることなく、第1ステージに引き続き今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)が勝利。約1分差で入ってきた集団では、小野寺が最後の意地のスプリント。上り基調ではあったが、昨年全日本チャンピオンの草場啓吾を秒差なしでかわし、小野寺が集団頭を取ってステージ9位で入った。
増田も小野寺と同じ集団内でフィニッシュ。総合8位で、最低限の目標にしていたUCIポイント獲得(10位以内に付与)を死守した。
ゴール後、清水監督は「選手はみな、やるべきところでやるべきことやった」と称える。「選手というものは出し切って次に切り替えるもの。こうして全日程を終え、清々しく『お疲れさん!』と声を掛け合い、元気にしていますよ」とにこやかに語る。
宇都宮ブリッツェンとしては、幸先の良い第1ステージののち、第2、第3ステージは思い描いていた内容とは少し違っていたが、切り替えて、次の高知県宿毛市ロードレース(9月25日開催)に備えるのみだ。
【清水裕輔監督のレース後コメント】
3年ぶりのツール・ド・北海道ということで、全530km、ラインレースで、かつステージレースの醍醐味を味わえた。3日間いろいろあったが、「久しぶりにロードレースをした!」というのが率直な気持ちだ。こうしたレースをたくさん走って経験を積みたいし、何年この世界にいても勉強することは多いなと思う。
昨今のこの大変な状況のなか、こうして素晴らしいレースを開催してくださり、大会関係各位、地域の皆様、他チームの関係者、選手の皆さん、ファンの方々、すべての方に感謝申し上げたい。
▼第3ステージ 区間賞 リザルト
1位 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)4:14:35
2位 中井唯晶(シマノレーシングチーム)+0:00
3位 マルコス・ガルシア(キナンレーシングチーム)+0:00
9位 小野寺玲 +1:04
22位 増田成幸 +1:04
36位 阿部嵩之 +14:26
DNF 堀孝明
▼第3ステージ終了後 個人総合 リザルト
1位 門田祐輔(EF エデュケーション-NIPPO ディベロップメントチーム)12:52:41
2位 トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)+0:05
3位 松田祥位(キナンレーシングチーム)+0:29
8位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+4:25
21位 小野寺玲 +11:07
37位 阿部嵩之 +38:27
DNF 堀孝明
▼第3ステージ終了後 チーム総合 リザルト
1位 キナンレーシングチーム 38:41:36
2位 EF エデュケーション-NIPPO ディベロップメントチーム +8:47
3位 マトリックスパワータグ +11:48
7位 宇都宮ブリッツェン +50:37
▼リーダージャージ
個人総合 門田祐輔(EF エデュケーション-NIPPO ディベロップメントチーム)
ポイント賞 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)
山岳賞 留目夕陽(EF エデュケーション-NIPPO ディベロップメントチーム)
第36回 ツール・ド・北海道2022(UCIアジアツアー2.2)
▼第3ステージ開催日
2022年9月11日(日)
▼スタート
倶知安町ニセコグラン・ヒラフスキー場前(北海道虻田郡倶知安町山田204)
▼フィニッシュ
苫小牧市緑ヶ丘公園(北海道苫小牧市清水町高丘)
▼出場選手
増田成幸、阿部嵩之、堀孝明、小野寺玲
▼競技概要
ニセコから東に進み千歳市・支笏湖畔を経て苫小牧市にフィニッシュする173km
出走:48人(13チーム)
天気:晴れ
スタート時間:9時30分