ジロ・デ・イタリア2023 コース発表
来年5月に開催される第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)のコース発表会が、10月17日にミラノのリリコ・ジョルジョ・ガベル劇場で行われた。
来年のジロは5月6日(土)に中部アブルッツォで開幕し、28日(日)に首都ローマでフィナーレを迎える。ジロがローマで閉幕するのは史上5回目となり、古代ローマ時代の遺跡、フォリ・インペリアーリがゴールとなる。
21ステージの総距離は3448.6kmで、累積標高は51300m。スプリンター向きのステージが8、山岳ステージが7、中間ステージが4。個人タイムトライアルは3区間で、距離の合計は70.6km。最終日前日には山岳個人タイムトライアルがある。
ジロが中部のアブルッツォ地方で開幕するのは、2001年に続いて2度目となる。初日はフォッサチェーズィア・マリーナからオルトーナまでの18.4kmで、トラボッキ海岸沿いの自転車道を走る個人タイムトライアルが行われる。アブルッツォで開幕した後は、イタリア半島の足首まで南下し、アペニン山脈の第4ステージで最初の頂上ゴールを競う。
その後、再びアブルッツォへと戻り、標高2135kmのグラン・サッソ・ディタリア頂上にゴールする第7ステージが行われる。ジロの歴史上、総合優勝者がアブルッツォの区間で優勝していた事は15回あり、このステージは非常に注目されている。1週目の締めくくりは、33.6kmの平坦な個人タイムトライアルだ。
2週目は北西部が舞台となり、第13ステージはスイスに越境して標高1456mのクラン・モンタナ頂上にゴールするアルプス山岳ステージが行われ、標高2469mで今大会のチマ・コッピ(最高峰)となるグラン・サン・ベルナール峠を通過する。
最終週は北東部へと移動し、標高1570mのモンテ・ボンドーネ頂上にゴールする第16ステージで始まる。平坦ステージを挟んで第18ステージからは最後の山岳3連戦が待ち受けている。標高1518mのヴァル・ディ・ゾルド頂上にゴールする第18ステージは、160kmと短いが、獲得標高が3700mの厳しいステージだ。
最終日前日の第20ステージは、標高1766mのモンテ・ルッサリを上る18.6kmの山岳個人タイムトライアルで、前半は平坦でなだらかな下り坂が含まれ、11.3km地点から7.3kmの登坂がスタート。平均勾配は12.1%だが、前半と終盤に22%の難所がある厳しい坂が、来年のジロで最終決戦の舞台となる。
山岳個人タイムトライアル終了後、ジロ一行はイタリア北東部から空路でローマへと移動し、最終日はローマ市街地に設定された11.5kmのサーキットを10周するスプリントステージで閉幕する。
第106回ジロ・デ・イタリア全日程
5月6日(土) 第1ステージ[フォッサチェーズィア・マリーナ〜オルトーナ(コスタ・デイ・トラボッキ)(個人TT)/18.4 km]★★
5月7日(日) 第2ステージ[テーラモ〜サン・サルヴォ/204 km]★
5月8日(月) 第3ステージ[ヴァスト〜メルフィ/210 km]★★★
5月9日(火) 第4ステージヴェノーザ〜ラーゴ・ラチェノ▲/184 km]★★★
5月10日(水) 第5ステージ[アトリパルダ〜サレルノ/172 km]★★
5月11日(木) 第6ステージ[ナポリ〜ナポリ/156 km]★★
5月12日(金) 第7ステージ[カプア〜グラン・サッソ・ディタリア(カンポ・インペラトーレ)▲/218 km]★★★★
5月13日(土) 第8ステージ[テルニ〜フォッソンブローネ/207 km]★★★
5月14日(日) 第9ステージ[サヴィンニャーノ・スル・ルビコーネ〜チェゼーナ(テクノジム・ヴィレッジ)(個人TT)/33.6 km]★★★★
5月15日(月) 休養日
5月16日(火) 第10ステージ[スカンディアーノ〜ヴィアレッジョ/190 km★★
5月17日(水) 第11ステージ[カマイオーレ〜トルトナ/218 km]★★
5月18日(木) 第12ステージ[ブラ〜リヴォリ/179 km]★★★
5月19日(金) 第13ステージ[ボルゴフランコ・ディヴレア〜クラン・モンタナ(スイス)▲/208 km]★★★★★
5月20日(土) 第14ステージ[シエル(スイス)〜カッサーノ・マニャーゴ/194 km]★★
5月21日(日) 第15ステージ[セレンニョ〜ベルガモ/191 km]★★★★
5月22日(月) 休養日
5月23日(火) 第16ステージ[サッビオ・キエーゼ〜モンテ・ボンドーネ ▲/198 km]★★★★★
5月24日(水) 第17ステージ[ペルジーネ・ヴァルスガーナ〜カオルレ/192 km]★
5月25日(木) 第18ステージ[オデルツォ〜ヴァル・ディ・ゾルド ▲/160 km]★★★★
5月26日(金) 第19ステージ[ロンガロネ〜トレ・チーメ・ディ・ラヴァレド ▲/182 km]★★★★★
5月27日(土) 第20ステージ[タルヴィーズィオ〜モンテ・ルッサリ(個人TT) ▲/18.6 km]★★★★★
5月28日(日) 第21ステージ[ローマ〜ローマ/115 km]★
(★…ステージの難易度/▲…頂上ゴール)
コース発表会参加者のコメント
■ジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ/2022ジロ総合優勝者)
「このコース全体は全く興味深い。カンポ・インペラトーレの頂上でゴールする第7ステージがとても重要になると思う。2017年のアンダー23ジロ・デ・イタリアで、ボクはそこで優勝した。2023年の計画はまだはっきりしていないが、来年ジロのスタートに居られる事を願っている」
■ヴィンチェンツォ・ニバリ
「ボクはこのコースが好きだ。自分が勝った時とよく似ている。序盤はとても活気があり、とてもよくデザインされたジロだ。後半に向けてトップフォームになる事が不可欠だろう。全てのエネルギーが必要になる。管理するのが難しいジロになるだろう」
■マウロ・ベンニ(コースディレクター)
「このコースの背景には2つの哲学がある。1つはスポーツに関するもので、もう1つはイタリアの地域と文化のプロモーションに関連している。我々はレースをそれが行われる地域から切り離す事はできない。誰がこのジロに参加するかを考えるのは時期尚早だが、誰が勝ってもこのスポーツのチャンピオンになるだろう。来年のジロで我々が見られないのは、もちろんヴィンチェンツォ・ニバリだ。彼は大勢のイタリア人を喜ばせた偉大なチャンピオンだが、今年プロとしての競技生活を終える事を決めたからだ」