女子Qリーグ、中学生Nリーグ2022-2023第9戦大磯クリテリウム・レポート
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サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2022-2023シーズン第9戦:大磯クリテリウム(第1戦)が10月16日(日)、神奈川県大磯プリンスホテル敷地内で開催された。
今大会は株式会社ウォークライドの主催で、特設コースは約1㎞の周回コース。参加者目線のクラス設定や運営のよさで常連も多く、今では地元に密着した定番レースの1つとなっている。QNリーグはリーグ初年度から大会提携をしている。
今シーズンはこの第1戦から、11月20日・12月18日・翌年1月22日、2月19日、3月19日の全6戦の開催が予定され、リーグは今戦と来月の第2戦11月20日、そして年明けの第5戦2月19日をシリーズ戦に組み込んでいる。
対象クラスはQリーグが「女子スポーツ」、Nリーグ中学生男子Nは「中学生男子」、そしてNリーグ中学生女子NWは新設クラス「女子 age10-15」に設定した。
Nリーグ中学生女子NWについて
大会当日は朝から予想されていた雨の心配もなく、非常に穏やかなコンディションのなか、それぞれの対象レースでリーグポイント獲得のため熱いレース展開が繰り広げられた。
まずは11時05分からNリーグ中学生女子NWの対象レースとなっている新設クラス「女子age10-15」と、「小学生チャンピオン」(マトリックスのサイクルロードレース協会東日本とウォークライドが小学生選手の強化と普及を狙いタッグを組み運営)がスタートした。ここにリーグ登録選手のエントリーはなく、そのうえ1人しかエントリーがない残念な状況であった。
そもそも女子の10歳から15歳まで(小学5年ぐらいから中学生)が男子と一緒のクラスであると女子が男子のスピードに敵わない状況が多かったためにセパレートし、新しく設けたクラスであった。だが、初設定で運用されたレースだったため馴染みが薄かったようだ。
ただ、受け入れる「箱」が設定されたことさえ広まれば、女子キッズ選手達の参戦しやすさに繋がるので、次回はぜひチャレンジしてほしいと思う。
Nリーグ中学生男子Nは4位の宮嵜博己が首位を守る
この後が、Nリーグ中学生男子Nの対象レースとなる「中学生男子」。今回は 24人のエントリーでNリーグからは現在のポイントリーダーであるチームBMレーシングの宮嵜博己をはじめ、そのリーダーの座を僅差のポイント差で狙う面々がスタートラインに出そろった。
11時18分にローリングを含めて8周回のレースがオンタイムでスタート。ローリングが解除された直後から、まず飛び出したのは住田悠人(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)。その後を集団が一気に追いかけていき、2周回目にはリーグポイントランキング 2位でリーダーを狙う工藤健太(ブラウ・ブリッツェン U15)が住田に追いつき 2人で逃げるが、しばらくして集団は1つに。
その後も集団は1つではあるがペースが落ちず展開が速いまま周回を重ね、その周回ごとに先頭が代わる状態。ゴール後に宮嵜は、「最初に住田選手や鳥海泰世選手(LINKVISION GIRASOLECYCLING)、工藤選手と(自分の)4人で逃げる予定にしていたが、展開が速くて違う動きになってしまった。しかし、住田選手が最初に逃げてくれたので最後のスプリント勝負に上手く持ち込めたと思う」とコメントした。
残り1周回を迎え、そのタイミングで再び住田が集団から抜け出し先行ゴール。その後は集団ゴールスプリントとなり、4位に入った宮嵜がNリーグではトップに立ち、見事ポイントリーダーとともにバトルマリンジャージの防衛に成功した。
ポイントリーダー授与式では「次回のリーグシリーズ戦出場のときは勝ってリーダーを守りたい」と力強くコメントした。
ちなみに Nリーグのポイントリーダー争いは、さらに熾烈になり今レース6位の宇田川瀬那(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)が計113ポイントとなりランキング 2位に浮上。しかし3位となったブラウ・ブリッツェン工藤が 108ポイント、続く稲葉恵人は 96ポイントと、リーグシリーズ4戦が残るなか、まだまだリーダーの座は油断ならない状況となっている。
Qリーグは根本香織が首位奪還
午後からは高校生以上女子の Qリーグ対象レースの「女子スポーツ」。こちらはローリングを含めて15周回のレースが3人の出走でスタート。このなかにはリーグ初年度にNリーグ中学生女子で活躍し、翌年の「中学生女子NW」のポイントリーダー制度スタートのキッカケとなった筒井楓(TEAMSPORTSKID ZYYX)も出場している。
筒井がスタート直後から先頭をキープし、その後ろを小野響子(team ZERO)と根本香織(Team一匹狼)が追いかけた。
ゴール後に根本が、「筒井選手がスタート前から、レースでは引く!と宣言していたとおり引き続けました。小林選手と私でローテーションしながら周回を重ねる状態で、途中で筒井選手が逃げたけどスグに戻って、結局ゴールはスプリントで最後の立ち上がりから筒井選手が飛び出してゴール、その後に小林選手、そして私に」とコメント。
優勝は筒井。2位に小林で 3位に根本。
根本からは「この後は、Qリーグのポイントランキング争いをしている岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン)や山田菜月(Team一匹狼)など、リーグ登録している女子選手達とレースで直接対決し、リーダーの座を競い合いたい」とベテランらしい心遣いのコメントもあった。
スケジュールの最後にはエリートレースの迫力あるレースが展開されたが、それまでの各クラスもキッズやジュニア、そして女子、さらにはビギナーならではの熱い戦いが展開され、大磯ファンは会場の温かい雰囲気を心から楽しんでいたようだ。
その大会運営やきめ細かいクラス設定などは、1980年代に発足したJCRC(社団法人日本サイクルレーシング協会)が手本の1つになったと推測される。
そんな JCRCを設立した、なるしまフレンドの会長でもある鳴嶋英雄氏が先日ご逝去された。1980年にスポーツ競技としての自転車普及を掲げて発足したJCRCは、この大磯クリテリウムなどを運営するウォークライドや、マトリックスのサイクルロードレース協会東日本など、多くのホビーレース運営団体も手本や参考にしていると思われる。QNリーグも、そんな精神を受け継ぐホビーレースの輪を広げる一助になりたいと活動をおこなっている。
日本の自転車競技の強化には、何よりも普及なのだと改めて心に刻んだ、そんな大会の一日となった。
今大会のポイントリーダー授与式においても、QNリーグ・各ポイントリーダー賞として「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」の各リーダージャージ提供はビオレーサー、副賞提供は武田レッグウェアー株式会社、株式会社隼、アイリス株式会社、そしてリーグ登録選手全員に株式会社アミックグループから試供品が提供された。
<写真左よりQ リーグ根本、N リーグ宮嵜、NW 大矢の各・現ポイントリーダー>
Q リーグ(高校生以上女子)リーダー:根本 香織(Team 一匹狼)・124p
N リーグ・N(中学生男子)リーダー:宮嵜 博己(チームBM レーシング)・128p
N リーグ・NW(中学生女子)リーダー:大矢 彩雲(ブラウブリッツェンU15)・104p
※同点の場合、最終戦を除き最新レース上位を優位とします。
QNリーグ2022-2023シリーズ戦 今後のスケジュール
第10戦・2022年10月22日(土):
ツール・ド・はなわ 2022(ツール・ド・ふくしま主催)
第11戦・2022年11月20日(日):
大磯クリテリウム 2022-23#2(ウォークライド主催)
第12戦・2023年 2月19日(日):
大磯クリテリウム 2022-23#5(ウォークライド主催)
シリーズ最終戦・2023年 3月:
しもふさクリテリウム(チャレンジリーグ主催)
QNリーグ次戦は、10月22日(土)に福島県東白川郡塙町で開催の第10戦「第5回 ツール・ド・はなわ2022」。
https://tour-de-fukushima.jp/event/2022-tour-de-hanawa/
その後のQNリーグシリーズ戦レース日程も正式決定しています。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
JCRC legacyサーキットロード in日本 CSC・2022開催決定!
ウォークライドでは、11月6日(日)に静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターでJCRCのレガシーを将来へ繋ぐ大会「JCRC legacyサーキットロード in日本 CSC・2022」を急きょ開催決定した。
サーキット走行講習で、ホビーレースをより面白く!数々の名勝負を生み出す自転車の聖地「日本サイクルスポーツセンター」でのロードレースとなっている。
エントリー締め切りは10月30日(日)まで。
https://walkride-cycling.info/circuitrr-nihoncsc/
<レポート概要>
写真撮影:gg_kasai・k.kazuma・QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:株式会社ウォークライド