ジャパンカップ2019でオランダのモレマが2度目の優勝
国内最大の自転車ロードレースである第28回ジャパンカップサイクルロードレース(アジアツアー1.HC)が、10月20日に栃木県宇都宮市で開催され、オランダのバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)がカナダのマイケル・ウッズ(EFエデュケーションファースト)を一騎打ちのゴール勝負で下し、2015年に続いて2度目の優勝を果たした。
3位争いのスプリントはニュージーランドのディオン・スミス(ミッチェルトン・スコット)が制し、表彰台の座を確保した。
UCIワールドチームの選手が揃った強力な逃げが形成された
台風でコースの一部が被災して一時は開催も危ぶまれた今年のジャパンカップは、雨上がりの快晴の下を120選手がスタート。米国のショーン・ベネットが体調不良で参加できず、EFエデュケーションファーストは1人少ない5人で闘わなければならなかった。
スタートからアタックを試みる動きがあったが、誰も逃げ出せないまま2周目に入り、古賀志林道の上りでスペインのフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)がアタックし、8人の逃げが形成された。
例年であれば日本人選手が加わるはずの逃げは全員外国人選手で、海外から招待されたUCIワールドチーム5チームが全て入っていた。メンバーはマンセボ、マルコ・カノラ(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、ジュリオ・チッコーネ(トレック・セガフレード)、クーン・ボーマン(チームユンボ・ビスマ)、ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・メリダ)、ロバート・スタナード(ミッチェルトン・スコット)、ジェイムズ・ウィーラン(EFエデュケーションファースト)、ルカ・デロッシ(デルコ・マルセイユプロバンス)だった。
3周目にかけられていた山岳賞はボーマンが獲得。彼は昨年もジャパンカップに参加して山岳賞を獲得していた。この非常に強い選手が揃った逃げは1分以上のタイム差を付けて先頭を走り続けた。集団からは初出場のワロニーブリュッセルや日本ナショナルチャンピオンの石原悠希がブリッジを試みたが、先頭に追いつくことなく集団に吸収された。
今シーズン限りでの引退を表明し、ジャパンカップが現役最後のレースだった米国のテイラー・フィニー(EFエデュケーションファースト)は、1周目ですでに集団から遅れてしまい、後続集団で走り続けたが、レース中盤にリタイアした。
6周目にかけられた山岳賞は43歳のベテランであるマンセボが獲得し、山頂に集まった大勢の観客を熱狂させていた。8人は1分半程度のタイム差を保ったまま逃げ続けたが、3回目の山岳賞がかけられていた9周目の古賀志林道で、ウィーランが遅れてしまった。山頂をトップで通過し、2つ目の山岳賞を獲得したのはボーマンだった。
ワールドチームが先頭を引く集団は次第に人数が減り、10周目で75人にまで減っていた。続く11周目の古賀志林道で先頭からチッコーネがアタックし、逃げはバラバラになった。しかし、集団は先頭をチームユンボ・ビスマが引き始め、タイム差は一気に縮まっていった。
20人ほどに減った集団は、11周目の下りで逃げを全て吸収。そこからカウンターアタックでニールソン・パウレス(チームユンボ・ビスマ)が飛び出したが、最後の山岳賞がかけられていた12周目の古賀志林道で吸収された。山岳賞はセブ・クス(チームユンボ・ビスマ)が獲得した。
14人に絞られた先頭集団に残っていた日本人選手は中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)と岡篤志(宇都宮ブリッツェン)の2人だけだった。チームユンボ・ビスマはアタックをアタックをかけ続けたが、残り2周の古賀志林道でモレマとウッズがアタックした時には誰もついて行けなかった。
11日前にミラノ~トリノ(ヨーロッパツアー1.HC)で優勝したウッズと、先週末にイル・ロンバルディア(UCIワールドツアー)を制したばかりのモレマが先頭を逃げ続け、最後はゴール勝負でモレマがウッズを難なく下した。モレマは2015年にも一度ジャパンカップで優勝していて、これが2度目の優勝になった。
追走グループは3位争いのスプリントを競い、ニュージーランドのスミスが43歳のマンセボを打ち負かして表彰台の座を確保した。
■ジャパンカップで2度目の優勝を果たしたモレマのコメント
「この優勝はとても嬉しい。ハードなレースだったからね。スプリントはとても上手くいった。ちょっとウッズを驚かせたんじゃないかと思う。とても良いスプリントをしたからね。すでに先週イル・ロンバルディアで勝った後で、シーズンを締めくくるのにふさわしい。日本はいつもファンがたくさんいてとても良い雰囲気だ」
■6位に入り、アジア最優秀選手賞を獲得した中根のコメント
「今日はカノラとのダブルエースだった。最低でも表彰台で、優勝を目指してというのがオーダーだった。最初の逃げにカノラがうまく乗り、いい展開だった。残り5周、4周のところで石上、伊藤がアシストしてくれて、いい位置から古賀志に入ることができた。最終周回の展開で力勝負。チームのラストレースで、アシストに応えたい気持ちがあって最後まで走ることができた。ラスト1㎞で追いついたが、もう両脚がつっていたので、スプリントする力は残っていなかった」
■第28回ジャパンカップサイクルロードレース結果[10月20日/アジアツアー1.HC/144.2km]
1. MOLLEMA Bauke (TREK – SEGAFREDO / NED) 3:41’13” (39.1km/h)
2. WOODS Michael (EF EDUCATION FIRST / CAN) +0’01”
3. SMITH Dion (MITCHELTON – SCOTT / NZL) +0’44”
4. MANCEBO PEREZ Francisco (MATRIX POWERTAG / ESP) +0’44”
5. KUSS Sepp (TEAM JUMBO – VISMA / USA) +0’44”
6. NAKANE Hideto (NIPPO – VINI FANTINI – FAIZANÉ / JPN) +0’52”
7. POWLESS Neilson (TEAM JUMBO – VISMA / USA) +2’09”
8. GESINK Robert (TEAM JUMBO – VISMA / NED) +2’09”
9. MOLLY Kenny (WALLONIE BRUXELLES / BEL) +2’31”
10. AULAR SANABRIA Orluis Alberto (MATRIX POWERTAG / VEN) +2’31”
■山岳賞 :
3周回 BOUWMAN Koen (TEAM JUMBO – VISMA / USA)
6周回 MANCEBO PEREZ Francisco (MATRIX POWERTAG / ESP)
9周回 BOUWMAN Koen (TEAM JUMBO – VISMA / USA)
12周回 KUSS Sepp (TEAM JUMBO – VISMA / USA)
■アジア最優秀選手賞 : NAKANE Hideto (NIPPO – VINI FANTINI – FAIZANÉ / JPN)
■U23最優秀選手賞 : DELETTRE Alexandre (DELKO MARSEILLE PROVENCE / FRA)
(大会公式サイト)