石橋が単独エスケープ、プラデスはトップグループでゴール!マスカット・クラシック2023

第12回ツアー・オブ・オマーン(UCIプロシリーズ)の前哨戦となるワンディレース、マスカット・クラシック2023(アジアツアー1.1)にJCL TEAM UKYOが挑んだ。

オマーンの首都マスカットをスタートし、80㎞を過ぎてから迎えるのは10%強の急勾配の峠を5度越える山岳地帯、その山中は岩場を切通した激しいアップダウンとブラインドコーナーが連続するというダイナミックなスケール。オマーンに到着して最初のトレーニングでこのコースを下見したメンバーは、この難所を攻略するイメージをスタート前まで重ね続けた。

JCL TEAM UKYO マスカット・クラシック2023

前週にサウジツアーを走ったJCL TEAM UKYOの選手たち。ハイスピードや距離への順応は感触が掴めているので、今回はレース中もメンバー同士がよりコンタクトをして勝負へ挑めるチームワークを目指してスタートラインに並んだ。優勝候補として名高いUAEチーム・エミレーツのディエゴ・ウリッシや、かつてツールで活躍したアスタナのマーク・カヴェンディッシュなど蒼々たるメンバーと肩を並べ、173.7kmのロードレースはスタートした。

ローリングから正式にスタートが切られて最初に攻撃に出たのは石橋学。サウジツアー同様プロコンチネンタル・コンチネンタルチームを誘導するモーションではあったが、本人の意図とは裏腹に単独でのエスケープとしてプロトンは容認する。あっという間に開いた5分差、厳しい上りを前に石橋がどれだけリードを伸ばしていけるかがポイントになってきた。

気温も30度近くまで迫った午後13時半、85㎞地点の山岳の頂上にトップで現れた石橋。その差は13分と大きくリードアウトする力走だ。KERN FARMAが先頭を固めて追い続けるプロトンは急勾配の上りに入ると分裂、下りで合流を繰り返す状態。 その前方ではベンジャミ・プラデス、山本大喜、小石祐馬が残るなどハイペースのクライミングに対応した力をみせる。

一方、石橋のリードアウトは少しずつ差を埋められながらも140㎞付近まで到達。レースの8割を単独で逃げ続ける。

JCL TEAM UKYO マスカット・クラシック2023

140km程の単独エスケープに成功した石橋

JCL TEAM UKYO マスカット・クラシック2023

単独トップで補給所を通過していく石橋

 

やがてAG2R・シトロエンチームが先頭を固めて急激に差を縮めて吸収すると、勝負は後半の山岳地帯で迎えることになる。急坂で勝負が掛かると途端に小さくなるプロトン。この展開の最前戦で戦うのは小石、ラスト20㎞付近での攻防でトップグループに残る。

しかし、ここで取り残されたグループの後方をモビスターが追走に転じるとラスト数kmで先行を吸収、レースを振り出しに戻す。そして目の前に現れた1㎞弱10%の上り坂、ゴールに向けた熾烈なペースアップの攻防にプラデスと山本が食らいつく。

レースはクライマックス、峠を越えて大きく下った先の上り返しでいよいよゴールスプリント。30数人が一気に広がりスプリントを開始、大きく手を開きゴールを獲ったのはチームアルケア・サムシックのイェンテ・ビールマンス。このスプリントでJCL TEAM UKYOはプラデスがタイム差なしの32位、山本は少し遅れて39位でゴールした。この日逃げ続けた石橋は11分遅れて86位、メンバー全員が完走を果たした。

JCL TEAM UKYO マスカット・クラシック2023

プラデスも加わったトップグループのゴールスプリント

JCL TEAM UKYO マスカット・クラシック2023

サウジ・ツアー2023から安定的なリザルトを残している山本

 

プラデス選手のコメント
「左側からスプリントラインを狙いましたが、直前の上りでの攻防で疲労し失速してしまいました。チームとしてはマナブ(石橋)が驚くほどのタイム差を稼ぎ、僕らは落ち着いて話し合い、次の展開に挑めました。ツール・ド・オマーンに向けてチームでの動きが良くなった事が確認できたのが収穫でした。」

山本選手のコメント
「石橋選手の大逃げ、捕まってからは集団が割れたりくっついたりする中で、小石選手が20人ぐらいのトップグループに入ってくれて、『イケるかも』とも思いましたが、ラスト数kmで吸収。ベンジャミ(プラデス)が最後まで残ってくれたのが良かったと思います。チームでUCIポイントを獲ることを目指して来たのにそれが達成できなかったのは本当に悔しいです。でも僕らは強くなっています。」

清水監督のコメント
「前日のミーティングで話した事を選手たちが責任をもって遂行してくれました。石橋選手の逃げは他チームからも評価されるほどインパクトも残せました。あと7人抜けばUCIポイント、ここが厳しい現実ですが、山本選手が食らいついたグループは世界のトップレベルであることは間違いないです。これには自信をもって欲しいですね。明日からはじまるツアー・オブ・オマーン、また一つ先にいけるよう頑張りたいと思います。」

 

MUSCAT CLASSIC2023(173.7km)
Average 38.917 km/h
1. BIERMANS Jenthe(Team Arkea)4:27:48″
2. WARLOP Jordy(Soudal-Quick Step)+00”
3. VENDRAME Andrea(AG2R Citroen Team)+00”
32. PRADES Benjamin(JCL TEAM UKYO) +00”
39. YAMAMOTO Masaki (JCL TEAM UKYO)+1:16”

 

マスカット・クラシック2023

大会期間:2023年2月10日

カテゴリー:UCIアジアツアー 1.1

ステージ:ワンディレース

出場:17チーム、出走118人/完走:86人

JCL TEAM UKYOメンバー:石橋 学、小石 祐馬、岡 篤志、武山 晃輔、山本 大喜、レイモンド・クレダー、ベンジャミ・プラデス

 

大会オフィシャルサイト:
Muscat Classic (tour-of-oman.com)

JCL TEAM UKYO オフィシャルサイト:
https://jcl-team-ukyo.jp