女子Qリーグ、中学生Nリーグ2022-2023第12戦大磯クリテリウム・レポート
目次
神奈川県の大磯プリンスホテル特設クリテリウムコースにて2023年2月19日(日)、「大磯クリテリウム第5戦」が開催された。
2022-2023シーズンで開催10周年を迎えたこの大会は株式会社ウォークライドの主催で大磯プリンスホテルの敷地内に特設した約1㎞の周回コース設定。当日の天気予報では強風とともに昼ごろは雨。朝から会場は風が強かったものの、周回数やスケジュールを調整してのレース開催となった。
女子Qリーグ、中学生Nリーグのシリーズ戦は、大磯クリテリウムでは第1戦と第2戦、そして今大会の第5戦にて行われる。それぞれ対象クラスはQリーグが「女子スポーツ」、Nリーグ中学生男子 Nは「中学生男子」、そして Nリーグ中学生女子NWは新設クラス「女子 age10-15」に設定。今回もそれぞれのレースでリーグポイント獲得のため熱いレース展開が繰り広げられた。
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photo:K.kazuma
Nリーグ中学生女子NWに西山千智が出場
風が強いなか、雨も降りだした11時50分。Nリーグ中学生女子NW対象レースとなっている新設クラス「女子 age10-15」が、マトリックスのサイクルロードレース協会東日本とウォークライドが小学生選手の強化と普及を狙いタッグを組み運営している「小学生チャンピオン」クラスと同時スタート。
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photo:gg_kasai
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Nリーグ NWで現在ポイントランキング 2位につける西山の力強い走り(photo:gg_kasai)
今回はリーグシリーズ戦の後半からNリーグに登録、前戦の「大磯クリテリウム第2戦」で健闘しトップポイントを獲得した西山千智(High Ambition)が出場。
「集団での走り方が、まだよく判らないし、雨も風も強くて難しかった」というが、今大会でもリーグトップポイント28Pを獲得し、総合ポイントリーダーの座も見えてきた。最終戦にも意欲を見せる彼女の走りに期待をしたい。
新設された「女子 age10-15」クラスは女子10歳から15歳まで、ちょうど小学5年ぐらいから中学生までが男子と一緒のクラスだと男子のスピードに敵わない状況が多かったためにセパレートしたクラス。初設定でまだ認知が浸透しておらず、今回は参戦が1人と寂しかったが、大会主催であるウォークライドの山根理史代表は「女子の参加を増やしたいと考えているので、この女子age10-15のようなクラス分けでレース参戦のハードルを下げたい」と語る。
「特にキッズやジュニアは男女ともに将来を繋ぐうえで、とても重要な人材。来シーズンも参加しやすい仕組みを、QNリーグとともに考えて実施したい」とコメントした。
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大磯クリテリウム主催ウォークライド代表の山根氏はアイデア豊富(写真・左)。今後もQNリーグと連携しながら女子やジュニア層の拡大を図りたいとコメント(photo: k.kazuma)
Nリーグ中学生男子Nポイントリーダーの宇田川瀬那は6位
12時過ぎから、周回数は7周に変更となった Nリーグ中学生男子Nの対象レース「中学生男子」がスタート。今回は 28人のエントリーでNリーグからは前戦でポイントリーダーとなった宇田川瀬那(スミダ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)、そしてランキング 3位につける稲葉恵人が新しくチーム「TEAM BFY Racing」に加入。同じタイミングで稲葉とチームメイトになった井上湧心もランキング5位につけており、リーダーの座を僅差のポイントで狙う面々がスタートラインに出そろった。
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中学生男子クラスのスタート前。和気あいあいとした雰囲気だが、レースでは真剣勝負。Nリーグ活動を通じて、良きライバルや仲間が出来たという声は多い(photo: k.kazuma)
先ほどのレースから一層強くなった雨と風のなか、いつもより長めにローリング走行をおこない状況を見つつ正式スタート。天候が悪いため、しばらくは集団が1つになったままの膠着状態となったが、残り4周回から集団から単独アタックを試みる選手が出てくる。
先ずは上遠野蒼大(TEAM BFYRacing)、続いての周回は井上、さらに次の周回は稲葉と同じチームが集団を飛び出してレースを活性化させようと動き、ペースを上げていく。そのため集団からは周回ごとに選手が減らされていき、最終周回では 17人までに減ってゴール前の長い直線スプリントへ入る。
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チームメイトの動きに刺激を受け、集団の先頭を走る稲葉(photo: k.kazuma)
通称「小田原コーナー」を立ち上がってから、この日の風向きの影響で強烈な追い風となったゴール前の長いホームストレート。最初に抜け出したのは田中志門(カンピオーネ)。少しずつ後続を離して優勝を決めた。
その田中を追う後続集団からは4人が抜け出し、Nリーグ登録勢では安藤友識(スミダ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)がレースで4位、稲葉が5位に。このため稲葉がリーグポイント20ポイントを積み上げてランキング2位に上がり最終戦を迎えることになった。
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ゴールスプリントで着実に力をつけている安藤(写真・右)が差し込んでレース 4位、稲葉も続いて 5位に入り、Nリーグのポイントランキング 2位に浮上(photo: k.kazuma)
稲葉はゴール後「今年に入ってから TEAM BFY Racingというチームに加入して、チームで練習したりレースで一緒に動けるようになって、とても良くなったと思います。ランキングが 2位に上がったので、来月のレースでは勝って年間リーダー獲得を狙います!」と力強くコメント。
一方でレースでは稲葉に続く6位となるも、ランキングポイント15ポイントを獲得しポイントリーダーとバトルマリンジャージを守った宇田川は「雨風の強いコンディションでのレースは初めてだったので、積極的な走りが出来なったのが悔しい。次回の最終戦は積極的な走りでレースに勝ったうえでバトルマリンジャージを防衛したい」と熱い抱負をコメントした。
現在、ランキング3位は工藤健太(ブラウ・ブリッツェン)で合計148ポイント、続いて4位が宮嵜博己(チーム BMレーシング)で128ポイント、5位に井上湧心が今日の結果で111ポイントと積み上げ、Nリーグも最終戦でのポイントリーダー争いがますます目が離せない展開となっている。
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今レースでは悔しい結果となった宇田川は次戦でのリベンジを誓った(中央が宇田川)(photo:K.kazuma)
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ゴール後に安堵の表情で次戦への抱負を語る稲葉(photo:K.kazuma)
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大磯クリテリウム表彰式内でおこなわれた Nリーグ・ポイントリーダー授与式で、バトルマリンジャージを守った宇田川。コメントは動画で。(photo:K.kazuma)
※宇田川瀬那(スミダ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)インタビュー動画はこちら
https://youtu.be/b40MgYNEcBQ
Qリーグは2位の岡本彩那がポイントリーダーの座を防衛
午後1時からは高校生以上女子のQリーグ対象レースの「女子スポーツ」。こちらはローリングを含めて12周に変更となり、レースは13人の出走でスタート。
Qリーグ登録の根本香織(Team一匹狼)、そして現Qリーグ・ポイントリーダーの岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン)を含む集団は、強風で.くなったローリングの間、お互いをけん制。
しかしローリング解除から次の周回で、先日のシクロクロス東京で 6位という好成績を見せた阿部花梨(High Ambition)が、このロードレースでも快走し単独でアタック!そのまま周回を重ねるごとに後続集団とのタイム差を重ねていき、単独ゴールで優勝を決めた。
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(photo:gg_kasai)
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単独アタックを決めて、そのままゴールまで踏み切った阿部は圧巻の走りを見せた(photo:gg_kasai)
そんな阿部を追う集団は膠着状態が続き、誰も先頭を逃げる阿部にブリッジをかける選手が出ない。ゴール後に岡本から当時の集団の動きを聞くと「風が強くてコントロールが難しかったこともあって、誰からも追う動きが出なかった。できれば自分も追いかけたかったが、阿部選手の強さを知っていたので怖くて動けなかった」とコメント。
しかしアメジストジャージを着る岡本としては「そのままでは終われないと思った」と言う。「何としても最後のゴールスプリントは取りたかった」という岡本は小田原コーナーを立ち上がったタイミングから上手に位置を付けて、最後は 7人まで絞られた集団の頭を取りレース2位となった。このため岡本は合計 183ポイントでリーダーの座を防衛し、ランキング 2位には、レース 7位の根本が164ポイントでつける状況となった。
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集団での動きを図る岡本(写真右から 2人目):photo:gg_kasai
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最後の力を振り絞ってゴールスプリント、見事に集団の頭を取った岡本(photo:gg_kasai)
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ゴール後にリーグ登録選手が集合!左よりNリーグNWながら格上の女子スポーツに参戦した篠塚萠依(AVENTURA VICTORIA RACING)、ポイントリーダーを守った岡本、ランキング 2位の根本(photo:K.kazuma)
※岡本彩那(ブラウ・ブリッツェン)のリーダー防衛コメント動画はこちら
https://youtu.be/-vqylZ8xPEs
QNリーグ2022-2023第12戦 大磯クリテリウム第5戦 結果
この日は激しい天候のため、午前開催の各レース表彰式においてNリーグのポイントリーダー授与式は実施したが、Qリーグポイントリーダー授与式は別途、屋内でおこなった。レースは全ておこなわれ、悪天候を吹き飛ばす熱い闘いで会場は盛り上がった。
今大会のポイントリーダー授与式においても、QNリーグ・各ポイントリーダー賞として「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」の各リーダージャージ提供はビオレーサー、副賞提供は武田レッグウェアー株式会社、株式会社隼、アイリス株式会社、そしてリーグ登録選手全員に株式会社アミックグループから試供品が提供された。
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豪華副賞を手に最終戦にむけて、一層気合の入った宇田川(photo:K.kazuma)
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<現ポイントリーダー:写真左よりQ リーグ岡本彩那、N リーグ宇田川瀬那、NW 大矢彩雲>
Qリーグ(高校生以上女子)
リーダー:岡本 彩那(ブラウ・ブリッツェン)・183p
ランキング2 位:根本 香織(Team 一匹狼)・164p
ランキング3 位:山田 菜月(Team 一匹狼)・68p
Nリーグ・N(中学生男子)
リーダー:宇田川 瀬那(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)・168p
ランキング2 位:稲葉 恵人(TEAM BFY Racing)・156p
ランキング3 位:工藤 健太(ブラウ・ブリッツェン)・148p
Nリーグ・NW(中学生女子)
リーダー:大矢 彩雲(ブラウ・ブリッツェンU15)・104p
ランキング2 位:⻄山 千智・84p
ランキング3 位:篠塚 萠依(AVENTURA VICTORIA RACING)・28p
※最終戦については、上記ポイントテーブルに5 点ずつ加算した点数を与える(最終戦ボーナス)。
※ランキングにおいて、同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。
※最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。
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Nリーグ対象「中学生男子」(photo:K.kazuma)
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Qリーグ対象「女子スポーツ」で戦った選手達。レースを通して自転車仲間を増やせるリーグ活動を、これからも続けていきたい(photo:K.kazuma)
女子Qリーグ、中学生Nリーグ2022-2023シーズン最終戦
しもふさクリテリウム MATIRXヒヤリハンター杯 3月(チャレンジリーグ主催)
2023年3月5日(日)
千葉県成田市下総運動公園
https://shimofusa-criterium.powertag.jp/
※2023-2024シーズンのQNリーグ登録要項や対象レーススケジュールは 3月中旬に発表予定。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/
<レポート概要>
写真撮影:gg_kasai、k.kazuma
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:株式会社ウォークライド