ツアー・オブ・タイランド2023 第4ステージは、高地にあるカオヤイナショナルパークからカンボジア付近のアランヤパラセットまでの203.2km、今大会最長のロングステージ。コースは前半60kmを山の尾根のアップダウンをこなしながら2回目の山岳ポイント（57.3km）を皮切りに平野に下ってフラットが100km以上続くレイアウト。

第3ステージで総合2位を取り戻した小石祐馬だが、8秒後ろに3人の選手が同タイムで並んでいるだけに気の休まらないステージとなる。JCL TEAM UKYOの前日のミーティングでは、小石を守りボーナスタイムを稼がせないためにエスケープにメンバーを乗せて戦おうという戦略となった。当初の予定ではこの日まで長く牽引役を買っていた岡篤志を休ませる予定だったが、レースはその岡が大健闘する展開となった。

スプリントジャージを着用してスタートした小石

レース当日の朝は、高地とあって幾分涼しい陽気。選手たちはリラックスした様子でスタートまでの準備を整えた。
200kmの長丁場を戦うための補給をポケットにスタートラインに並ぶ。この日も小石は繰り下がりのスプリント賞ジャージ、最前列の優先スタートで大会に華を添えた。

リアルスタートが切られると、今日は連日の疲れを見せるどころか選手たちはいつも以上に激しく動く。序盤がアップダウンのレイアウトだけに逃げのタイミングを作りやすいのもあるが、この日は総合3位につけているトレンガヌのサインバヤールの攻撃が鋭く、何度もアタックを仕掛けていく。

この展開を危険視したJCL TEAM UKYOはベンジャミ・プラデス、山本大喜が彼の番手についてエスケープを決めさせない働きに出る。それでも繰り返されるアタックに、今度はネイサン・アールがカウンターで飛び出す。2日目の優勝者のサンダーランド、ツール・ド・台湾の覇者のジェロエンらが追いつき、かなり良いメンバーで先行グループを形成する。

総合では遅れている彼らだけに、この逃げが容認されるかというところだったが、後方の追走が激しくなり振出しに戻ってしまう。 そしてレースは1回目のスプリントポイント（90km地点）の攻防を起因とした岡選手を含む7人のエスケープが決まる。このリードグループは50km経過してプロトンと４分差をつける本格的なエスケープとなる。

プロトンをコントロールするのはリーダーチームのルージャイ、残り30kmに迫ると縮まらないタイムギャップにスプリンターのクスマを擁するインドネシアが本格的に牽引に加わる。この展開によりその差は一気に2分を切る程に縮まると、先行していた岡がアタックを開始、トレンガヌとタイコンチネンタルの選手と3人で逃げ切りを狙う。

ゴール前1km、3人の逃げ切りが先か、彼らに迫るスプリントトレインが吸収するか、微妙な距離になっていく。残り300m、とうとうプロトンが3人をキャッチ、ここでプラデスがレイモンド・クレダーのために先行する。

道幅いっぱいに広がる接戦スプリントでゴールを決めたのはインドネシアのクスマ、クレダーはハンドルを投げて車輪を差し込み3位となった。ゴール直前まで岡の逃げ切りかという惜しい展開となったが、結果的に危険視していたボーナスタイムで順位を失うことなく小石の総合2位を守った。

残るステージは2日、距離も160㎞台と少し短くなるが、シビアな総合争いは変わらず続く。

岡選手のコメント
「プロトンとのタイム差が1分半に近づいたらアタックする計画で進み、その通りの展開になりました。ただ3人の力量に差がありトップスピードを維持するのに調和がとれず、最後に捕まってしまう結果となりました。非常に悔しいですがこれもロードレース…。また次のチャンスを狙います。」

清水監督のコメント
「今日は休むはずの岡選手がタイミングを掴んで抜け出し、あわや逃げ切りという大健闘をしてくれました。総合成績のある選手の時間との読み合いの中で岡選手にリードしていくペースを相談しながらコントロールしてもらい、残る距離とタイム差が安全圏になったところで岡選手が攻撃に転じたという展開です。チーム全体としても選手のチェック、そして総合を守るための攻撃とよく動けていたと思います。」

ツアー・オブ・タイランド2023 第4ステージ（203.4km）
Ave 44.7km/h
1. KASUMA Terry（Indonesia national ）4:27:23”
2. CARATENSEN Lucas（ROOJAI）+00:00”
3. KREDER Reymond（JCL TEAM UKYO）+00:00”
7. PRADES Benjamin（JCL TEAM UKYO）+05:13″
18. YAMAMOTO Masaki（JCL TEAM UKYO）+05:13″

個人総合成績
1. BATSAIKHAN Tegshbayar（ROOJAI）15:47:57”
2. KOISHI Yuma（JCL TEAM UKYO）+00:43”
3. SAINBAYAR Jambaljamts（TRENNGANU）+00:45”
21. PRADES Benjamin（JCL TEAM UKYO）+12:32″
24. YAMAMOTO Masaki（JCL TEAM UKYO）+12:39″

フルリザルト
https://jcl-team-ukyo.jp/news/p1242/

大会オフィシャル：
The Princess Maha Chakri Sirindhorn’s Cup Tour of Thailand

Tour of Thailand2023（ツアー・オブ・タイランド2023）
大会期間：2023年4月1日〜4月6日
カテゴリー：UCI 2.1
ステージ：第4ステージ（4月4日）
スタート地点：Khao YaiNational Park
コース：フラット203.2km
スプリントポイント：90.0km/125.0km
山岳ポイント：.22.7km（Cat.4）/57.3km（Cat.2）
出場：15チーム出走84人/完走84人
JCL TEAM UKYOメンバー：小石祐馬、岡篤志、山本大喜、レイモンド・クレダー、ベンジャミ・プラデス、ネイサン・アール