ジロ・デ・イタリア2023 雪壁の頂上ゴール第7ステージは逃げたD・バイスがプロ初優勝
イタリアで開催中の第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月12日にカプアからアブルッツォ地方のグラン・サッソ・ディタリア(カンポ・インペラトーレ)までの218kmで、カテゴリー1頂上ゴールの第7ステージを競い、地元イタリアのダヴィデ・バイス(エオロ・コメータ サイクリングチーム)が、逃げ切った3選手でのゴール勝負を制し、プロ初優勝を果たした。
区間2位はチェコのカレル・ヴァチェク(コラテック・セッレイタリア)、3位はイタリアのシモーネ・ペティッリ(アンテルマルシェ・シルキュス・ワンティ)だった。この日は期待されていたような総合争いの戦いはなく、メイン集団は3分10秒遅れでゴールし、ノルウエーのアンドレアス・レックネスン(チームDSM)が総合リーダーのマリア・ローザを守った。
第7ステージは169選手が出走。ニコーラ・コンチ(アルペシン・ドゥクーニンク)とジョヴァンニ・アレオッティ(ボーラ・ハンスグローエ)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性になり、スタートできなかった。
スタートして7kmでバイス、ヴァチェック、ペティッリ、エリトリアのヘノック・ムルブラン(グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ)の4人が集団から逃げ出した。50km地点でチームDSMがコントロールする集団とのタイム差は8分を超え、逃げで最も総合成績が上位だったペティッリがバーチャル・マリア・ローザになった。中盤に越えたカテゴリー2のロッカラーゾの登坂でムルブランは脱落し、先頭は3人になった。100.5km地点の山頂はバイスが先頭で通過した。
ゴールまで残り45kmでカテゴリー2のカラーショの登坂が始まった時、集団と逃げのタイム差は12分近くになっていた。カラーショ山頂もバイスが先頭で通過した。8分21秒遅れた集団からは、シュテファン・キュンク(グルパマ・FDJ)に引かれたマリア・アッズーラのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)が飛び出し、山頂を4位で通過。しかし、山岳賞総合で2位に浮上したバイスと彼のポイント差はたった10ポイントしかなかった。
終盤は沿道に雪が残る長い上り坂が続き、マリア・ローザのレックネスンのアシストはハルム・ヴァンハウケ(チームDSM)だけになり、スーダル・クイックステップやイネオス・グレナディアズといった総合争いのチームが集団の先頭を引き始めた。残り10kmで先頭の3人のタイム差はまだ6分半あった。
先頭ではゴールまで残り6kmでペティッリがアタックを開始したが、バイスは決して遅れなかった。ヴァチェックは何度か遅れたが、その度に戻り、3人で残り1kmのフラム・ルージュを通過した。最後はプロレース未勝利の3選手での初優勝争いになり、残り250mでペティッリがスプリントを開始したが、すぐパイスに追い抜かれてしまった。バイスは2人に大差を付け、初優勝を手中に収めた。
グラン・サッソ・ディタリア頂上ゴールは、山岳ポイントが1位で50ポイントかけられていて、バイスは区間優勝だけでなく、マリア・アッズーラも獲得した。
ジロの歴史上、総合優勝した選手がアブルッツォ地方のアペニン山脈で行われるステージで勝った事が15回あり、昨年のコース発表の時からこのグラン・サッソ区間は非常に注目されていた。ところが、実際には総合争いの戦いは全く起こらず、総合上位の選手たちは雪壁ができた気温0℃のゴールに揃って到着した。
■プロ初優勝を地元のジロで果たした25歳のダヴィデ・バイスのコメント
「ついにプロ初優勝がやってきた。フォルトゥナートのアタックのための準備で逃げに加わっていたから、予想外だった。2年前にゾンコラン山で勝って以来、彼(フォルトゥナート)は我々のチームに山岳区間で優勝するというインスピレーションを与えてくれた。ゴールでは自分が一番速いと分かっていたから、最後の努力をするために時が来るのを待った。これを可能にしてくれた皆に感謝するよ」
■第7ステージ結果
[5月12日/カプア~グラン・サッソ・ディタリア(カンポ・インペラトーレ)/218 km]
1. BAIS Davide (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA) 6:08:40
2. VACEK Karel (CORRATEC SELLE ITALIA / CZE) + 0:09
3. PETILLI Simone (INTERMARCHÉ – CIRCUS – WANTY / ITA) +0:16
4. EVENEPOEL Remco (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) +3:10
5. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +3:10
6. PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA) +3:10
7. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +3:10
8. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +3:10
9. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +3:10
10. SCARONI Christian (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / ITA) +3:10
152. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +30:05
■第7ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) 29:02:38
2. EVENEPOEL Remco (SOUDAL QUICK-STEP / BEL) +0:28
3. PARET PEINTRE Aurélien (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +0:30
4. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +1:00
5. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +1:12
6. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:26
7. VLASOV Aleksandr (BORA – HANSGROHE / RUS) +1:26
8. GEOGHEGAN HART Tao (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:30
9. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +1:54
10. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:59
158. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +1:28:19
[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):BAIS Davide (EOLO-KOMETA CYCLING TEAM / ITA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR)
(※第8ステージは ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED)が着用)
第8ステージは壁のステージ
5月13日はテルニからフォッソンブローネまでの207kmで、壁のステージと呼ばれる第8ステージが行われる。コースの後半には春先のティレーノ~アドリアーティコ(UCIワールドツアー)で使用される壁のような坂が設定されている。