ジロ・デ・イタリア2023 短縮したスイスアルプス頂上ゴールの第13ステージはルビオが初優勝

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イタリアで開催中の第106回ジロ・デ・イタリア(UCIワールドツアー)は、5月19日にスイスのル・シャーブルからクラン・モンタナ頂上までの74.6kmで、悪天候で短縮になったアルプス山岳区間の第13ステージを競い、コロンビアのエイネル・ルビオ(モビスターチーム)が逃げ切った3選手でのゴールスプリントを制し、グランツール区間初優勝を果たした。
 

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■上りでピノーの攻撃に何とか耐え抜いたルビオがゴールスプリントを制した (photo : LaPresse)

 
区間2位はフランスのティボ・ピノー(グルパマ・FDJ)、3位はエクアドルのジェファーソン・セペダ(EFエデュケーション・イージーポスト)だった。マリア・ローザのグループは1分35秒遅れでゴールし、英国のゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアズ)が総合首位を守った。
 

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■短縮ステージで総合争いの動きはなく、マリア・ローザはトーマスが守った (photo : LaPresse)


悪天候でコースが短縮し、グラン・サン・ベルナール峠はキャンセル

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■悪天候で短縮した第13ステージのコースプロフィール (MAP : RCS Sport)

 
第13ステージは当初ボルゴフランコ・ディヴレアをスタートし、標高2469mで今大会のチマ・コッピ(最高峰)となるグラン・サン・ベルナール峠を通過する予定だったが、降雪により雪崩の危険があるため、頂上通過をキャンセルしてトンネルで通過するコースに変更されていた。

しかし、レース当日になって主催者は、現在イタリア北部で水害を引き起こしている悪天候を考慮し、選手たちの要望を聞き入れて『悪天候時実施要項(EXTREME WEATHER PROTOCOL)』を適用。グラン・サン・ベルナール峠を含めたコース前半をカットし、クロワ・ド・クール峠のふもとに位置するスイスのル・シャーブル(124.4km地点)からスタートする決定を下した。これにより第13ステージは74.6kmに短縮した。

前夜から咳に悩まされ、喉の痛みと気管支炎を患ったマス・ピーダスン(トレック・セガフレード)がスタートせず、第13ステージは135選手が出走した。第6ステージで区間初優勝したピーダスンは、ポイント賞で総合首位のジョナタン・ミラン(バーレーン・ヴィクトリアス)に24ポイント差の総合2位だった。

スタートしてすぐに全長15.4kmで標高2174mのクロワ・ド・クール峠(カテゴリー1)が始まり、セペダが2km地点から逃げを試み、集団はすぐに小さくなった。6kmで遂にセペダの逃げが決まり、6人が合流した。ピノーはそこにチームメイトのブルーノ・アルミライユ(グルパマ・FDJ)と一緒に加わっていた。

ピノは残雪のクロワ・ド・クール峠の頂上を先頭で通過し、40ポイントを獲得した。山岳賞のマリア・アッズーラを着たダヴィデ・バイス(エオロ・コメタ サイクリングチーム)は早々に集団から遅れていて、ここでピノーはバイスに14ポイント差にまで迫っていた。

逃げはピノー、セペダ、ルビオ、デレク・ジー(イスラエル・プルミエテック)、ヴァランタン・パレパントル(AG2R・シトロエン チーム)の5人になり、13km続くクラン・モンタナのふもとでイネオス・グレナディアズがコントロールするメイン集団に3分近いタイム差を付けていた。
 

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■クラン・モンタナの坂で数えきれない程のアタックを続けたピノーだったが、セペダとルビオは何とか耐え抜いた (photo : LaPresse)

 
クラン・モンタナの登坂が始まるとすぐにピノーが攻撃を開始し、セペダとルビオが応戦した。ピノーは何度もアタックを試みたが、南米コンビを蹴落とす事ができなかった。最後は3人でのゴールスプリントになり、セペダが最初に飛び出したが、残り300mでルビオに追い越されてしまった。ルビオはそのまま2人に大差を付けてゴールし、初優勝を手中に収めた。

このステージで間違いなく主役だったピノーは区間優勝を逃したが、カテゴリー1ゴールのクラン・モンタナで2位になって山岳賞ポイントを24ポイント獲得し、マリア・アッズーラを取り戻す事に成功した。
 

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■ピノーは区間優勝を逃したが山岳賞のマリア・アッズーラを取り戻した (photo : LaPresse)

 
メイン集団ではゴール目前で総合5位のダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)がアタックを試みたが成功せず、総合上位はほとんど揃ってゴールした。

■区間初優勝したルビオのコメント
「必死に働き、探していた大きな一日だった。悪天候で難しかった。しかし、続けなければならなかった。ピノーがとても強いのは知っていた。彼と一緒にゴールしなければならず、戦術的にうまくプレーしなければならなかった。ジロ・デ・イタリアで区間優勝したという実感がわくには時間がかかるだろう。それができるとは思っていなかったよ」
 

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■ベテランのピノーを出し抜き、グランツールで区間初優勝したルビオ (photo : LaPresse)


■第13ステージ結果

[5月19日/ル・シャーブル(スイス)~クラン・モンタナ(スイス)/74.6km]
1. RUBIO REYES Einer Augusto (COL) 2:16:21
2. PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA) +0:06
3. CEPEDA ORTIZ Jefferson (EF EDUCATION – EASYPOST / ECU) +0:12
4. GEE Derek (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) +1:01
5. PARET PEINTRE Valentin (AG2R CITROEN TEAM / FRA) +1:29
6. CARTHY Hugh John (EF EDUCATION – EASYPOST / GBR) +1:29
7. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +1:35
8. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +1:35
9. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) +1:35
10. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +1:35
14. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) +1:42
105. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +20:56

■第13ステージ後の総合成績(マリア・ローザ)
1. THOMAS Geraint (INEOS GRENADIERS / GBR) 51:20:01
2. ROGLIC Primoz (JUMBO-VISMA / SLO) +0:02
3. ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR) +0:22
4. LEKNESSUND Andreas (TEAM DSM / NOR) +0:42
5. CARUSO Damiano (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA) +1:28
6. KÄMNA Lennard (BORA – HANSGROHE / GER) +1:52
7. DUNBAR Edward (TEAM JAYCO ALULA / IRL) +2:32
8. ARENSMAN Thymen (INEOS GRENADIERS / NED) +2:45
9. DE PLUS Lauren (INEOS GRENADIERS / BEL) +3:08
10. PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA) +3:13
134. ARASHIRO Yukiya (BAHRAIN VICTORIOUS / JPN) +2:45:03

[各賞]
■ポイント賞(マリア・チクラミーノ):MILAN Jonathan (BAHRAIN VICTORIOUS / ITA)
■山岳賞(マリア・アッズーラ):PINOT Thibaut (GROUPAMA – FDJ / FRA)
■新人賞(マリア・ビアンカ):ALMEIDA Joao Pedro (UAE TEAM EMIRATES / POR)
 

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(photo : LaPresse)

 

ジロ・デ・イタリア公式サイト

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