ツアー・オブ・ジャパン2023 第2ステージ京都 マトリックスのギリシャチャンピオン、バグラスがスプリント勝利
目次
シンプルなレース
ツアー・オブ・ジャパン2023 第2ステージは京都府京田辺市にある普賢寺ふれあいの駅をスタートし、パレード区間を2.8㎞、けいはんなプラザ周回コースに途中から入り、コントロールラインまでの6.6㎞のニュートラル区間を経て、1周16.8㎞の周回コースを6周する103.6㎞。獲得標高は1836mだ。このステージでは初めて山岳ポイントも3周目と5周目のKOMで2回設定された。
早朝の時点では日が差していなかったが、9時45分のスタート時間が近づくにつれて、強い日差しが地面を照りつけた。
リアルスタートが切られると、スタートアタックが起こったが、全て吸収。
1周目の後半にある梅の木峠でもアタックがあったが、それもつかまり、集団一つのまま2周目に突入した。
その後、山岳ポイント加算ではない周ではあるが、KOMの場所で入部正太朗(シマノレーシング)が単騎で飛び出す。しばらく1人で走ったが、それも集団に吸収された。
さらに2周目の終盤にトレンガヌ・ポリゴン・サイクリングチームのジャンバルジャムツ・セインベヤールが1人飛び出し、集団は牽制状態となる。そんな中で追走に飛び出したのは、中井唯晶(シマノレーシング)。中井に続いて、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)、山本元喜(キナンレーシングチーム)が集団からアタックし、中井へと追いついた。
3人は3周目の山岳ポイントがかかった上りの途中でセインべヤールに追いついた。
「3人で回しながら、1回目の山岳ポイントに向けてギリギリで捕まえられるぐらいのペースで上っていきました」と兒島は振り返る。
4人の山岳ポイント争いは、兒島、セインべヤール、中井の順で通過し、今大会初めての山岳ポイントを獲得した。
1回目の山岳ポイント通過後、4人の逃げグループは、協調態勢が取れた状態でタイム差を広げていく。
残り3周地点で集団とのタイム差は1分だったが、暑さもあり、集団も補給モードに入ると、およそ2分まで広がった。集団はマトリックスパワータグやチーム右京がコントロールし、終盤に入るとリーダージャージを持つトリニティ・レーシングも集団牽引に加わった。
5周目のスプリントポイントは、逃げのセインべヤールがトップ通過。5周目の山岳ポイントは3周目と同じく兒島がトップ通過し、この日の山岳賞ジャージ着用を決めた。
逃げグループは、残り1周のコントロールラインまで2kmのところでセインべヤールが落ち、日本人選手の3人のみとなったが、残り1周に入ったところで集団との差は13秒まで縮まっており、その後すぐに集団は一つとなった。
最終スプリント争い
一つになった集団から、高速道路の側道に入るラスト5㎞地点でまたしてもセインべヤールが単独で抜け出す。しかし、捕まえようと牽引するチームが現れず、なかなか捕まらない。
今年4月のツアー・オブ・タイランドでも総合2位となっているセインべヤールを逃すわけにはいかないと、チームのエースであるネイサン・アールやベンジャミ・プラデスのために上りの麓から集団を引いていた岡篤志(JCLチーム右京)が集団からアタックしてセインべヤールに追いついた。
後方からは、チームメイトの小石祐馬、フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)、ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)が合流したものの、マンセボも後ろに堺国際クリテリウムを勝ったスプリンター、ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ)がいたために、うまく回らない。
小石が先頭を引いたが、最後のコーナーを前に岡が後ろを振り返ると、もう集団は繋がっているのが見えた。
「でも脚があったので、先にコーナー手前でスプリントを開始して、最後もう1人になっていたので、ゴールまでもつかなと思ってもがきました」と、岡はロングスプリント。
残り200mを過ぎて先頭を走る岡の後ろをしっかりと位置取ったのは、ギリシャチャンピオンのバグラスだった。さらにその後ろにはプラデスがつく。
残り25mで再び岡が後ろを振り返り、その後すぐに岡に並びに行ったバグラスは、ちょうどフィニッシュラインでハンドルを投げると、岡を差し切ってTOJのステージでも1勝を挙げた。
総合首位 バグラス
総合は、フィニッシュでのボーナスタイムを加えてバグラスが首位に立った。
「初日、クリテリウムでのオープニングを勝利で飾った後、TOJのステージでも優勝でき、かなり充実しています。このような機会を与えてくれたチームに感謝したいし、今日のチームはとてもよく働いてくれました」と、バグラスは語る。
マトリックスパワータグのメンバーは、マンセボを中心として序盤から集団の前方に位置を取っていた。バグラスはチームの働きについてこう話した。
「自転車競技では、勝利は最初にゴールした選手一人だけでなく、強力なチームがなければ最後の1㎞で良い結果を得ることはできません。今日、チームはレースをコントロールし、最後の1㎞で良い位置に自分を置くためにハードワークをこなしてくれました」
今後、総合ジャージをできる限り守りたいと話す。
「自転車競技は何が起こるか分からない競技だと思いますが、できるだけ今日、自分が手に入れたグリーンジャージを守っていきたいと思っています。次のステージでも、他のステージでも結果を出していけたらいいなと思います。
チームとしては、自分じゃないかもしれませんが、チームの誰かが表彰台に乗るということは絶対にトライすると思います。全選手がそういった思いでいますので、明日も期待してください」
ポイント賞トップ 岡
3周目、5周目のコントロールラインにスプリントポイントが設けられ、2回ともセインべヤールがトップ通過したが、昨日のポイントに加えてのフィニッシュでのポイントが上回り、岡がポイント賞トップとなった。
岡は、前日のタイムトライアルで3位、今回のステージで2位と勝利まであと一歩の順位が続く。
「今日明日と本当にあとちょっとだったので、あと50㎝ゴールが近かったら……。
後ろ見なきゃ良かったと思って。一回振り返っちゃって、最後までもう無心で踏み続けてたらもしかしたら……」
しかし、総合でも2位という好ポジションにつける。
「チームとして自分がリーダーになると、明日から誰がコントロールするんだというようなところもあるし、今回自分はアシストで来ているところもあるので。もちろんチャンスがあったら勝ちたいなと思ってたんですけど、総合2位だったら、悪くないポジションなのかなと」
翌ステージ以降のリザルトにも期待したいところだ。
山岳賞トップ 兒島
翌日の山岳賞ジャージ着用を決めた兒島だが、以前から今回の山岳賞を狙いに行きたいとチーム内で立候補していたそうだ。明日以降もジャージのキープを狙う。
「もうずっと前から僕(山岳賞に)行きたいです、挑戦したいですと言っていて。やったことがないことだったので、経験のためにもやってみたいなという気持ちで臨みました。昨日(タイムトライアル)は調整という感じで行って、今日からが本番と思っていました。
しっかりと逃げに乗れて、山岳賞(1回目)1着、(2回目)1着で取れたんで、すごくいい結果だなと思います。
TOJ自体は去年出たんですが、8ステージは初めて。この赤ジャージを最後まで守り切れるように明日からも積極的に逃げていきたいなと思います」
明日のいなべステージは9時30分からレーススタート。
中継はこちらから。
ツアー・オブ・ジャパン 第2ステージ 京都 リザルト
1位 ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ) 2時間43分8秒
2位 岡篤志(JCLチーム右京) +0秒
3位 ベンジャミ・プラデス(JCLチーム右京) +0秒
総合順位
1位 ゲオルギオス・バグラス(マトリックスパワータグ) 2時間46分9秒
2位 岡篤志(JCLチーム右京) +1秒
3位 ジャンバルジャムツ・セインベヤール(トレンガヌ・ポリンゴン・サイクリングチーム) +1秒
スプリント賞
岡篤志(JCLチーム右京) 28pts
山岳賞
兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) 10pts
新人賞
ルーク・ランパーティ(トリニティ・レーシング)
TOJ2023ステージ詳細
8日間の総走行距離は、722.3㎞。総獲得標高1万232mとなる。
第1ステージ【堺】
5/21(日)13:35
大仙公園周回コース
2.6㎞(個人タイムトライアル)
獲得標高 = 10m
第2ステージ【京都】
5/22(月)9:45
普賢寺ふれいあいの駅→けいはんなプラザ周回コース
<パレード6.6㎞> + <2.8㎞ + 16.8㎞ × 6周 =103.6㎞>
獲得標高 = 1,836m
第3ステージ【いなべ】
5/23(火)9:30
阿下喜駅前→下野尻交差点→いなべ市梅林公園周回コース
<パレード3.1㎞> + <8.6㎞ + 14.8㎞ × 8周 =127.0㎞>
獲得標高 = 1,650m
第4ステージ【美濃】
5/24(水)9:15
旧今井家住宅前→横越→美濃和紙の里会館前周回コース
<パレード4.0㎞> + <11.3㎞ + 21.0㎞ × 6周 =137.3㎞>
獲得標高 = 1,218m
第5ステージ【信州飯田】
5/25(木)10:00
下久堅小学校グラウンド前→下久堅周回コース→下久堅小学校グラウンド前
<パレード1.7㎞> + <10.8㎞ + 12.2㎞ × 9周 + 0.3㎞=120.9㎞>
獲得標高 = 2,580m
第6ステージ【富士山】
5/26(金)11:00
道の駅すばしり→ふじあざみライン→富士山須走口5合目
11.4㎞(一斉スタートヒルクライム)
獲得標高 = 1,160m
第7ステージ【相模原】
5/27(土)8:50
橋本公園→旧小倉橋→串川橋→鳥居原ふれあいの館前周回コース
<パレード4.8㎞> + <10.9㎞ + 13.8㎞ × 7周 =107.5㎞>
獲得標高 = 1,728m
第8ステージ【東京】
5/28(日)11:00
大井埠頭周回コース
<パレード3.8㎞> + <7.0㎞ × 16周 =112.0㎞>
獲得標高 = 50m
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