ツール・ド・フランス2023 頂上ゴールの第6ステージはポガチャルが独走で優勝
第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月6日にタルブからカテゴリー1のコテレ・カンバスク頂上までの144.9 kmで、ピレネー2日目の第6ステージを競い、マイヨ・ブランを着たスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が独走で区間優勝した。
区間2位には24秒遅れでデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)が入り、3位は1分22秒遅れでノルウエーのトビアスハラン・ヨハンネセン(ウノエックス プロサイクリングチーム)だった。マイヨ・ジョーヌを着ていたオーストラリアのジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ)は、2分39秒遅れでゴールし、昨年の総合優勝者であるヴィンゲゴーが総合首位に立った。
今年最初の頂上ゴール
第6ステージは172選手が出走。スタートの合図と共にウァウト・ヴァンアールト(ユンボ・ヴィスマ)がアタックし、ジュリアン・アラフィリップ(スーダル・クイックステップ)やブライアン・コカール(コフィディス)が加わった10人の逃げが形成された。ここにマテュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)らが合流し、先頭の逃げ集団は20km地点で20人になった。
29.9km地点のカテゴリー3の丘はニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)が先頭で通過。49.2km地点の中間スプリントはコカールが先頭でポイントを稼いだ。最初の1時間の平均時速は44.2km/hだった。
カテゴリー1のアスパン峠はヴァンアールトが逃げの先頭を引き続け、山頂まで残り3kmでメイン集団とのタイム差は3分以上になった。アスパンの頂上はパウレスが先頭で通過し、山岳賞総合首位に返り咲いた。ここで逃げ集団は14人に減っていた。
続くツールマレー峠では、山頂まで11.5kmの地点でアラフィリップがアタックを試みたが成功せず、ヴァンアールトがコントロールする逃げ集団に戻った。セップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)が引き始めたメイン集団では、山頂まで残り6kmでマイヨ・ジョーヌのヒンドリーが遅れてしまった。
前日にポガチャルはヴィンゲゴーのアタックに反応できなかったが、この日はツールマレーでアタックしたヴィンゲゴーの後方に付き、2人でツールマレーの頂上を目指した。頂上まで残り1kmで、先頭の逃げ集団と2人のタイム差は1分15秒になっていた。ゴールまで残り47kmのツールマレー頂上はヨハンネセンが先頭で通過し、スーヴニール・ジャック・ゴデ賞を獲得した。ノルウエー出身の選手がツールマレーで1位を取ったのは、86回の歴史で初めてだった。
ツールマレーの下りでヴァンアールトはヴィンゲゴーを待って合流し、ゴールまで残り27km地点でチームリーダーを先頭グループまで運んだ。全長16kmのコテレ・カンバスクの登坂が始まっても、ヴァンアールトは8人の先頭グループを引き続けた。
ゴールまで残り4.6kmでヴァンアールトが仕事を終えた瞬間にヴィンゲゴーがアタックし、ポガチャルだけが付いて行った。しかし、後方に付いていたポガチャルが残り2.7kmでアタックした時、ヴィンゲゴーは一瞬反応したものの、付いていく事ができなかった。
ポガチャルはそのまま独走でカテゴリー1のコテレ・カンバスクを上り切り、ツール区間通算10勝目を上げた。ヴィンゲゴーは総合首位に立ったものの、ポガチャルに24秒取り返されてしまい、総合でのタイム差は25秒になってしまった。
■ツールで区間通算10勝目を上げたポガチャルのコメント
「(リベンジだねと聞かれて)リベンジとは言えないが、今日勝っていくらかのタイムを取り戻せたのは良い気分だ。ちょっとホッとしたよ。今はずっと調子が良いと感じている。昨日のタイムロスの後で心配にならない人はいないだろう。
昨日ヴィンゲゴーが見せたパフォーマンスは信じられないほどだった。彼らがツールマレーで引き始めた時、こう思ったよ。「畜生、昨日のような事が起こったら、荷物をまとめて家に帰ろう」幸運にも今日は脚があり、ツールマレーで全く快適に付いていく事ができた。最後に、それが適切な瞬間だと感じてアタックした。
とてもホッとしたよ。これは10回目の区間優勝だ。キミのために来たよ、マーク(カヴェンディッシュ)! イヤ、ジョークさ。彼はまだ遠いところに居るよ」
■第6ステージ結果
[7月6日/タルブ~コテレ・カンバスク/144.9 km ]
1. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) 03h 54′ 27”
2. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) + 00′ 24”
3. T. JOHANNESSEN (UNO-X PRO CYCLING TEAM / NOR) + 01′ 22”
4. R. ALMEIDA GUERREIRO (MOVISTAR TEAM / POR) + 02′ 06”
5. J. SHAW (EF EDUCATION – EASYPOST / GBR) + 02′ 15”
6. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 02′ 39”
7. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 02′ 39”
8. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 02′ 39”
9. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 03′ 11”
10. R. BARDET (TEAM DSM – FIRMENICH / FRA) + 03′ 12”
■第6ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 26h 10′ 44”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 00′ 25”
3. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 01′ 34”
4. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 03′ 14”
5. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 03′ 30”
6. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 03′ 40”
7. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 04′ 03”
8. R. BARDET (TEAM DSM – FIRMENICH / FRA) + 04′ 43”
9. T. PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 04′ 43”
10. S. KUSS (JUMBO-VISMA / USA) + 05′ 28”
[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : N. POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞 : W. VAN AERT (JUMBO-VISMA / BEL)
第7ステージはスプリント区間
ピレネーの山岳2連戦が終わり、ツール一行は中央山塊を目指してフランス南西部を北上。7月7日はモン・ド・マルサンからボルドーまでの169.9kmで平坦区間の第7ステージが行われる。