ツール・ド・フランス2023 中央山塊頂上ゴールの第9ステージはウッズが区間初優勝
第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月9日にサン・レオナール・ド・ノブラから標高1415mでカテゴリー超級のピュイ・ド・ドーム頂上までの182.4kmで、中央山塊山岳区間の第9ステージを競い、カナダのマイケル・ウッズ(イスラエル・プルミエテック)が、独走で逃げ続けていた米国のマッテーオ・ヨーゲンソン(モビスターチーム)をゴール手前500mで抜き去り、区間初優勝を果たした。
区間2位は28秒遅れでフランスのピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)、3位は35秒遅れでスロベニアのマテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。
マイヨ・ジョーヌ集団では、ゴールまで残り1.5kmでマイヨ・ブランを着たスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)がアタックし、マイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)はわずかに遅れてしまったが、17秒差で総合首位の座は守った。
故プリドールの村からスタート
第9ステージは2019年に逝去した故レイモン・プリドール(フランス)が住んでいたサン・レオナール・ド・ノブラがスタートで、169選手が出走。第5ステージで落車した米国チャンピオンのクイン・シモンズ(リドル・トレック)がスタートしなかった。スタートしてすぐに14人の大きな集団が逃げ出し、ウッズ、ヨーゲンソン、山岳賞のマイヨ・アポワを着たニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト)が加わっていた。
14人の逃げ集団は、30.4km地点の中間スプリントで集団に6分差を付けていた。集団はマイヨ・ベールを着たベルギーのヤスペル・フィリプセン(スーダル・クイックステップ)が、15位通過の1ポイントを狙って先頭で通過した。前半に2カ所あったカテゴリー4の丘はマイヨ・アポワのパウレスが先頭で通過してポイントを稼いだ。
ゴールまで残り56.2kmのポンタムールの丘の頂上をパウレスが先頭で通過した後、集団とのタイム差が12分以上になっていた逃げ集団ではアタックが始まり、残り47.9kmでヨーゲンソンが単独で抜け出した。彼は残り13.3kmのピュイ・ド・ドームのふもとで追走グループに1分差を付けていた。
無観客の登山道
ピュイ・ド・ドームの登坂は最後の4kmが登山鉄道の線路に並走する狭い道路が使用され、観客は立入禁止になっていた。残り3kmで追走グループからモホリッチが単独でアタックしたが、先頭のヨーゲンソンとのタイム差はまだ1分以上開いていた。モホリッチは後方から順位を上げてきたウッズに残り1.4kmで抜かれてしまった。
ウッズは着実にヨーゲンソンとのタイム差を縮め、ゴール手前500mで追いつく事ができた。彼はそのままヨーゲンソンを抜き去り、カナダ人として3人目のツール区間優勝者になった。ゴール手前でラトゥールとモホリッチにも抜かれ、区間4位でレースを終えた24歳のヨーゲンソンは敢闘賞を受賞した。
ポガチャルがアタック
メイン集団はゴールまで残り4kmでセップ・クース(ユンボ・ヴィスマ)がスピードを上げると、あっという間に8人になってしまった。クースが仕事を終えた後、サイモン・イェーツ(チームジェイコ・アルウラー)が攻撃を開始したが、残り1.5kmでアタックしたポガチャルに付いていけたのはマイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーだけだった。
しかし、ヴィンゲゴーもポガチャルの後方にぴったりと付いていく事はできず、次第に差を付けられてしまった。ヴィンゲゴーはこのステージで8秒失ってしまったが、総合でのタイム差はまだ17秒あり、マイヨ・ジョーヌは守る事ができた。
■区間初優勝したウッズのコメント
「自分自身とチームを誇りに思う。ここで勝つのは特別だ。ボクは36歳で今年37歳になり、もう若くはない。ツールの区間で勝つ事は究極の目標で、その窓が近づいているのが見えていた。今日のこの勝利は計画されていたと言いたいところだが、展開を見ると自分は最もマークされていた男だった。
ヨーゲンソンの後ろで走っていた時、勝利については考えずに辛抱強く耐えなければならなかった。彼を捕まえる事は考えていなかったが、ただ自分のベストを尽くす事だけを考えていた。2018年にブエルタで区間優勝した時ととても似ている。非常に高速のスタートで、最後の坂の前で多くのチームがアタックし、最後は苦しみながらもやり遂げる事ができた。夢が叶ったよ」
■第9ステージ結果
[7月9日/サン・レオナール・ド・ノブラ~ピュイ・ド・ドーム/182.4 km ]
1. M. WOODS (ISRAEL – PREMIER TECH / CAN) 04h 19′ 41”
2. P. LATOUR (TOTALENERGIES / FRA) + 00′ 28”
3. M. MOHORIC (BAHRAIN VICTORIOUS / SLO) + 00′ 35”
4. M. JORGENSON (MOVISTAR TEAM / USA) + 00′ 36”
5. C. BERTHET (AG2R CITROEN TEAM / FRA) + 00′ 55”
6. N. POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA) + 01′ 23”
7. A. LUTSENKO (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / KAZ) + 01′ 39”
8. G. WILSLY (UNO-X PRO CYCLING TEAM / DEN) + 01′ 58”
9. M. BURGAUDEAU (TOTALENERGIES / FRA) + 02′ 16”
10. D. DE LA CRUZ (ASTANA QAZAQSTAN TEAM / ESP) + 02′ 34”
13. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 08′ 19”
14. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) + 08′ 27”
■第9ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 38h 37′ 46”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 00′ 17”
3. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 02′ 40”
4. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 04′ 22”
5. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 04′ 39”
6. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 04’ 01”
7. T. PIDCOCK (INEOS GRENADIERS / GBR) + 05′ 26”
8. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 06′ 01”
9. S. KUSS (JUMBO-VISMA / USA) + 06′ 45”
10. R. BARDET (TEAM DSM – FIRMENICH / FRA) + 06′ 58”
[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : N. POWLESS (EF EDUCATION – EASYPOST / USA)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:BAHRAIN VICTORIOUS (BHR)
■敢闘賞 : M. JORGENSON (MOVISTAR TEAM / USA)
月曜日は今年最初の休養日
7月10日はクレルモン・フェランで最初の休養日となる。アルプスを目指して移動する2週目は、ヴュルカニアからイソワールまでの167.2kmで、中央山塊の丘越え区間となる第10ステージでスタートする。