ツール・ド・フランス2023 クイーンステージの第17ステージはガルが逃げ切り区間初優勝
第110回ツール・ド・フランス(UCIワールドツアー)は、7月19日にサン・ジェルヴェ・モン・ブランからクールシュヴェルまでの165.7kmで、今大会クイーンステージの第17ステージを競い、オーストリアのフェリックス・ガル(AG2R・シトロエン チーム)が独走で逃げ切り、初参加で区間初優勝を果たした。
区間2位は34秒遅れで英国のサイモン・イェーツ(チームジェイコ・アルウラー)、3位は1分38秒遅れでスペインのペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)だった。マイヨ・ジョーヌを着たデンマークのヨーナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィスマ)は1分52秒遅れの区間4位でゴールした。
マイヨ・ブランを着たスロベニアチャンピオンのタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)は、この日最後に越えたカテゴリー超級のローズ峠の中腹でマイヨ・ジョーヌ集団から遅れてしまった。彼はチームメイトのマルク・ソレル(UAEチーム・エミレーツ)に付き添われ、7分37秒遅れの区間22位でゴール。総合首位のヴィンゲゴーは、残り4ステージで総合2位のポガチャルに7分35秒差を付けてしまった。
アルプスのクイーンステージ
第17ステージは155選手が出走。フランスのアレクシー・ルナール(コフィディス)がスタートしなかった。この日最初のカテゴリー1のセズィエ峠の上りが始まった15km地点で、ポガチャルが他の選手と接触して落車する事故が発生したが、幸いレースを続ける事はできた。
20km地点でガル、山岳賞のマイヨ・アポワを着たジューリオ・チッコーネ(リドル・トレック)、サイモン・イェーツが加わった集団が逃げ出し、セズィエ峠の山頂はチッコーネが先頭で通過した。続くカテゴリー1のロズラン峠で、この先頭集団にビルバオ、ラファウ・マイカとソレル(UAEチーム・エミレーツ)、ティシュ・ベノートとウィルコ・ケルデルマン(ユンボ・ヴィスマ)らが合流し、逃げは35人に膨らんだ。
ロズラン峠と次のカテゴリー2の峠もチッコーネが先頭で通過し、山岳賞ポイントを稼いだ。しかし、ゴールまで残り34kmで最後のローズ峠の登坂が始まると、彼は逃げ集団から遅れてしまった。先頭は15人になり、マイヨ・ジョーヌ集団に2分半ほどのタイム差を付けてローズ峠を上り続けた。
逃げ集団はガルのチームメイトであるベン・オコナー(AG2R・シトロエン チーム)が先頭を引き続けた。ゴールまで残り15kmでオコナーが仕事を終えた直後、後方のマイヨ・ジョーヌ集団では、ポガチャルが遅れてしまっていた。
先頭ではゴールまで残り13kmでガルがアタックし、今大会の最高峰でアンリデクランジュ賞がかけられていたローズ峠山頂を単独で通過した。彼はここで追走するサイモン・イェーツに20秒差を付けていた。ガルはそのまま独走で逃げ切り、25歳でグランツール初優勝となる区間初優勝を果たした。
マイヨ・ジョーヌ集団では、ローズ峠の山頂まで4kmでヴィンゲゴーがアタックし、逃げに加わっていたチームメイトたちの助けを借りながら山頂を目指した。途中、観客の生け垣ができていたコーナーで、オートバイや主催者の車が足止めされる事故が再び発生し、ヴィンゲゴーも巻き込まれるところだったが、何とか通過する事ができた。
マイヨ・ジョーヌのヴィンゲゴーは結局区間4位でゴールし、最大のライバルであるポガチャルに、このステージだけで5分45秒もの差を付ける事ができた。
■区間初優勝したガルのコメント
「ずっと信じられないような一年だった。そして今、ツール・ド・フランスでこんなに調子が良くて、クイーンステージで勝つなんて信じられない。チームに感謝したい。彼らはとても多くのものをボクに与えてくれた。最後の数kmか下りで捕まるのではないかと心配していた。一日中ずっとすごく調子が良いと感じていた。この逃げに区間優勝のチャンスがあるとは思わなかったが、最後の上りで有利なスタードを得るために行く事にした。だから最後はチャンスを得られた。
このステージがものすごくハードなのはわかっていたし、一日中ハイペースで行けば、勝利を狙うのに良い位置に居られるとわかっていた。最後の上りではオコナーが素晴らしい仕事をしてくれた。子供の頃の夢だったとは言えない。一年半前には、自分が今このポジションに居るとは想像もできなかったよ」
■クイーンステージで5分45秒失ったポガチャルのコメント
「死んだよ。もちろんとても大きな失望で、間違いなくこのステージが始まった時に望んでいたものではない。自分に何が起きたのかわからないんだ。可能な限りたくさん食べる努力をしたが、何も脚には行かなかった。全部胃に残っていた。ローズ峠のふもとで、3時間30分を過ぎた後、ボクは本当に空っぽだった。
上りであれほど大きなサポートがなければ、表彰台を失っていたかもしれない。ボクはソレルと一緒に戦い続けた。彼と、そしてチームメイト全員に感謝している」
■第17ステージ結果
[7月19日/サン・ジェルヴェ・モン・ブラン~クールシュヴェル/165.7km ]
1. F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT) 04h 49′ 08”
2. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 00′ 34”
3. P. BILBAO LOPEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 01′ 38”
4. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) + 01′ 52”
5. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 02′ 09”
6. T. JOHANNESSEN (UNO-X PRO CYCLING TEAM / NOR) + 02′ 39”
7. C. HARPER (TEAM JAYCO ALULA / AUS) + 02′ 50”
8. R. MAJKA (UAE TEAM EMIRATES / POL) + 03′ 43”
9. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 03′ 43”
10. W. KELDERMAN (JUMBO-VISMA / NED) + 03′ 49”
12. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 04′ 25”
15. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) 04′ 54”
22. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 07′ 37”
■第17ステージ後の総合成績(マイヨ・ジョーヌ)
1. J. VINGEGAARD (JUMBO-VISMA / DEN) 67h 57′ 51”
2. T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO) + 07′ 35”
3. A. YATES (UAE TEAM EMIRATES / GBR) + 10′ 45”
4. C. RODRIGUEZ CANO (INEOS GRENADIERS / ESP) + 12′ 01”
5. S. YATES (TEAM JAYCO ALULA / GBR) + 12’ 19’’
6. P. BILBAO LOPEZ (BAHRAIN VICTORIOUS / ESP) + 12′ 50”
7. J. HINDLEY (BORA – HANSGROHE / AUS) + 13′ 50”
8. F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT) + 16′ 11”
9. S. KUSS (JUMBO-VISMA / USA) + 16′ 49”
10. D. GAUDU (GROUPAMA – FDJ / FRA) + 17′ 57”
[各賞]
■ポイント賞:J. PHILIPSEN (ALPECIN-DECEUNINCK / BEL)
■山岳賞 : G. CICCONE (LIDL – TREK / ITA)
■新人賞 :T. POGAČAR (UAE TEAM EMIRATES /SLO)
■チーム成績:JUMBO-VISMA (NED)
■敢闘賞 : F. GALL (AG2R CITROEN TEAM / AUT)
第18ステージは丘越え区間
7月20日はムチエからブール・カン・ブレスまでの185kmで、丘越え区間の第18ステージが行われる。