女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム・レポート

根本香織は全体の7位でQリーグ・ポイントリーダーを防衛

サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」2023-2024シーズン第4戦となる第6回あぶくま洞ヒルクライムが2023年7月17日(月・祝)、福島県田村市滝根町・あぶくま洞にて開催された。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

第2ステージのスタート前に気合を入れる女子クラス選手たち。写真前方右からQリーグリーダー・根本、女子クラス優勝の鈴木、4位の岡田、2位の原睦(photo:あぶくま洞ヒルクライム実行委員会)

 

第6回となる今大会は、2011年に東日本大震災で被災した“福島の今”を国内外に発信し、サイクルスポーツを通じた広域的な交流人口の拡大と振興を目的に、福島復興を象徴するために立ち上げられた自転車ロードレースシリーズ「福島復興サイクルロードレースシリーズ」である。

第1ステージであぶくま洞鍾乳洞側の 5.4kmを走り、その後すぐに下山してスタートとなる第2ステージは入水鍾乳洞側の5.1kmを走行。この2つのコースを用いた全 2ステージの合計タイムで順位を争うヒルクライムステージレースとなっている。

これまで高校生以上女子のQリーグ対象レースは、クリテリウムなど短いレース距離と走行時間になりがちだったが、今シーズンからはヒルクライムなど長めの距離や走行時間のレースも組み入れることで、ロードレースの醍醐味も知ってもらうとともに、さまざまな得意分野を持つ女子選手にリーグ登録をしてもらい、改めて幅広いレースの魅力を多くの方々に知ってもらうこと狙っている。

当日は朝から晴天となり、メイン会場となった星の村・天文台から臨む、あぶくま洞やレースコースからの眺めは素晴らしく参加選手達は一層、気合が入っていたよう。そんな大会の舞台となるあぶくま洞は今年で開洞50周年という節目で、開会式には田村市長の白石高司氏も臨席し、第1ステージのスターターも市長が務めて選手達の健闘を後押ししてくれた。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

開会式には田村市長・白石氏(写真中央)も臨席(photo:あぶくま洞ヒルクライム実行委員会)

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

あぶくま洞の絶景を自然の背景にしたメインステージで挨拶する、あぶくま洞ヒルクライム実行委員会の先崎よしなか氏(写真左)(photo:井上和隆)

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

第 1ステージでスタートする女子クラスの選手達を拍手で送る(photo:井上和隆)

 

実行委員会はコース清掃などさまざまな事前準備をおこない、大会当日の恒例である振る舞いでは、各ステージのスタート地点やゴールでクールダウンできるように冷たい飲み物やカキ氷を用意。さらにはメイン会場では全 2ステージのレースを終えた選手達のために、焼き鳥や地元名物の「キムコロ」、そして同じく名産品のエゴマ=じゅうねんタレのうどんなどを提供した。参加賞も地元の新鮮野菜などが並び、手厚いおもてなしに参加選手は満足していたようだ。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

ゴール地点にはヒットアップした選手のため、たっぷりの水を用意(photo:井上和隆)

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

第2ステージのスタート地点には、大会恒例となっている地元の応援団も登場。暑い中にも関わらず各クラスのスタートに声援を送ってくれた(photo:あぶくま洞ヒルクライム実行委員会)

 

第 1ステージが朝8時からクラス別にスタート。前日まで同じ福島県の石川町で開催された「JBCF 石川ロードレース」に出場した地元は郡山市出身の風間翔眞(シマノレーシング)が、今大会の最高峰クラスであるAクラスに招待選手として参加。さらに、この石川ロードに出場していた選手は無料で参加できるということもあり、朝から高気温のレースで、文字通りの熱闘が繰り広げられた。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

開会式で参加選手達を激励するシマノレーシング風間選手(photo:あぶくま洞ヒルクライム実行委員会)

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

非常に暑いなか、第2ステージで地元の声援を受けAクラスがスタート(photo:井上和隆)

 

今大会はリーグ初の「Qリーグ=高校生以上女子が対象のシリーズ戦」を組み入れ、対象レースとなった女子クラスは14人がエントリー。男子の実力別クラスや体重別クラスの後に時差スタートした。

第1レースでトップとなったのは MIVROの鈴木友佳子。その後の第2ステージも女子クラス唯一の20分台で走りきり、このあぶくま洞ヒルクライムでは2度目の優勝を手にした。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

女子クラスで中学生ながら4位と健闘したブラウ・ブリッツエン U15岡田(photo:井上和隆)

 

リーグの前シリーズ戦「そでがうらサマーサイクルロードフェスタ」において、Nリーグ中学生女子NWのポイントリーダーの座を手にした岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)も出場、得意の登坂で表彰台は逃したものの4位と健闘していた。

そのなかで、前シリーズ戦でQリーグのポイントリーダーを防衛したTeam一匹狼の根本香織は苦手な登坂をこなし、苦戦しながらも全体で7位の成績を修め、ポイントリーダーの座を守りアメジストジャージの防衛を叶えた。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

初のヒルクライムレース参戦で苦戦しつつも、Qリーグポイントリーダー根本は無事に全2ステージを走り切った(両写真ともに photo:井上和隆)

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

全2ステージを走りきり、メイン会場に戻って根本は安堵の表情(photo:井上和隆)

 

ポイントリーダー授与式では「初のヒルクライムレース参加だったので、皆さんの反応を見ながら何とか完走できました。皆さん、ありがとうございました」とレースを無事に終えたことに感謝する根本。今後のリーグシリーズ中盤戦にむけては「ここまでシリーズ戦に出場し続けて頑張れているので、引き続き応援をお願いします!」と意気込みをコメント。

なお、根本は北海道で開催された UCIグランフォンドワールドシリーズ「ニセコクラシックレース」において英国・グラスゴーで開催される世界選手権の出場権を得て、来月8月に参戦する。そのレースでの健闘にも注目したい。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

あぶくま洞の絶景を背景に、授与式での歓声に応える根本(photo:井上和隆)

 

次のリーグシリーズ第5戦は7月30日(日)開催の、自転車ロードレース老舗コースとなる群馬サイクルスポーツセンターを舞台とした「JCRC legacy WR ROAD:群馬 CSCロードレース」。さらには8月に入ると、福島復興サイクルロードレースの「ツール・ド・川内」と「小野こまちロードレース」の連戦が待っている。

今回のような蒸し暑い日が続き、トレーニングなど調整が難しいタイミングでの本格ロードレースが続くはずだが、リーグ登録選手たちには引き続きポイントリーダーを目指して頑張ってほしい。

女子Qリーグ2023-2024第4戦あぶくま洞ヒルクライム

アスリチューンのスポーツエナジージェル目録を手に笑顔を見せる根本(photo:井上和隆)

 

アスリチューン賞Qリーグ(高校生以上女子)リーダー:根本 香織(Team 一匹狼)・104p

ランキング2位:蒲原 琴音(Team 一匹狼)・35p

ランキング3位:小田 恵利花(フィッツ)・28p

 

今大会のポイントリーダー授与式では、Bioracer(ビオレーサー)より Qリーグポイントリーダーの証として「アメジストジャージ」が提供された。また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」としてアスリチューンQリーグ特製セットが提供された。

 

<レポート概要>
写真撮影:井上和隆、あぶくま洞ヒルクライム実行委員会、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:あぶくま洞ヒルクライム実行委員会、福島復興サイクルロードレース、LinkTOHOKU

 

「第6回あぶくま洞ヒルクライム」公式ホームページ
https://tour-de-fukushima.jp/abukuma/

第5戦は、7月30日(日)に群馬サイクルスポーツセンターで開催の「JCRC legacy WR ROAD:群馬 CSCロードレース」となります。
https://walkride-cycling.info/wr-road/

2023-2024シーズン、Qリーグ全15戦、Nリーグ全13戦でシリーズ戦を予定しています。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html

Qリーグ・Nリーグの登録はこちらから。各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニアが活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/83733/