女子Qリーグ、中学生Nリーグ2023-2024第5戦JCRC legacy WRロード・レポート
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サイクルロードレースの女子リーグ「クイーン・リーグ(Qリーグ)」、中学生リーグ「ニュー・エイジ・リーグ(Nリーグ)」2023-2024シーズン第5戦:JCRC legacy WRロード:群馬CSCロードレースが2023年7月30日(日)、群馬県利根郡みなかみ町・群馬サイクルスポーツセンター(CSC)にて開催された。
この大会は、1980年にスポーツ競技としての自転車普及を掲げて発足して惜しまれながら2021年12月に活動終了したJCRC(社団法人日本サイクルレーシング協会)の精神を受け継ぎ、ホビーレースの輪をさらに広げる活動として株式会社ウォークライドが2023年から立ち上げた主催ロードレース「JCRClegacy WRロード」シリーズ戦のひとつ。
JCRCでも多くの名勝負が生まれた群馬スポーツセンター(以下:CSC)を舞台に1周回=6kmのサーキットコースで、1時間耐久レースや年齢・脚力別クラスのロードレースが繰り広げられた。
JCRCが掲げていた「日本の自転車競技の強化には、何よりも普及」という指針のうえで実施していたレース運営活動は、多くのホビーレース運営団体にも良い影響を及ぼし、レース距離設定やクラス分けなどの参考にしていると思われる。
QNリーグも、そんな精神を受け継ぐホビーレースの輪を広げる一助になりたいと活動をおこない、中高生の参加料割引制度が追加されたこの「JCRC legacy WRロード」をリーグシリーズ戦を組み込むことが出来た。
ウォークライド代表の山根理史氏は「自分も選手として、独自のクラス分けや絶妙な距離を設定する JCRCレースに参戦するなかで走力を磨いたり、仲間と闘う貴重な機会を多く経験できました。その思いや経験を多くの方々にも引き継げればと考え、JCRCのレガシーと銘打ちシリーズ戦を企画しました」とコメント。
さらに「JCRCレースの舞台にもなった伝統的な群馬と伊豆、2つのサイクルスポーツセンターでシリーズ戦を企画し、好評の秋から冬に開催の『大磯クリテリウム』のような短距離コースのクリテリウムに対して、レース距離もクリテリウムより長めに設定にして夏から秋にかけて持久力を鍛え、ロードならではの走りと闘い方を覚えるレース経験を積みながら、参加選手の皆さんに楽しんでいただきたいです」と大会の狙いを教えてくれた。
女子スポーツクラスでNリーグNWの岡田愛裕來が2位
レースの当日は、朝から非常に気温が高く蒸し暑い、かなり厳しいコンディション。朝8時過ぎからスタートとなる1時間エンデューロからレースは開幕。木影にいないと汗が滲むような状況であったが、周回コースはホームストレートを抜けると木陰が多くなるので、少しは暑さが免れるのではないだろうか。それでも走行距離が長めなので厳しいレースになると予想された。
まずは昼前、小学生の学年別や女子ビギナーレースの後、11時42分スタートとなったのが高校生女子以上のQリーグと中学生女子のNリーグNWが対象の女子スポーツ。同じコース3周回で競う小学生チャンピオン、男子ビギナー、60歳以上とは時差スタートとなる混走レースである。
猛烈な暑さの中、お互いを意識し、ホームストレートのスタートラインを切ったのは現在Qリーグポイントリーダーの根本香織(Team一匹狼)と NリーグNWポイントリーダーの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)、そして昨年 2022-2023のQリーグ総合ポイントリーダー岡本彩那(ブラウ・ブリッツエン)の3人。
さっそく、3人は他の女子スポーツ参戦選手たちを置いてきぼりにして先行しながら集団形成を狙う。しかし平坦や下りを得意とする根本は、比較的に登坂を得意とする岡本と岡田の走りに付いていくのが徐々に辛くなったようだ。
群馬CSCのコースはスタート直後からカーブが連続する下り。その後はライン取りによっては流れがつかみづらく、コース後半にある傾斜8%の登坂箇所である通称“心臓破りの坂”は、手前から集団で勢いよく入らないと脚に負担が強くかかる厄介な上りになる。その後はバックストレートを下って、ホームストレートに向かい緩く上るレイアウト。
今回の女子スポーツはエントリーが 5人となっており、集団が形成されづらいため、この複雑なレイアウトのコースがいつも以上に難しく負担が大きくなる。
そのため 1周回目を終えた時点では、先行する岡本と岡田、その後ろに付く根本とのタイム差は 5秒ほどであったが、2周目には岡田も遅れてしまい、単独で先頭を走る岡本とのタイム差が45秒、その後ろの根本が30秒差とビハインドが広がる。
結局、単独先行を守った岡本が混走の他クラス選手達の集団に追いつき、そのまま1位ゴールを決めた。岡田が2位、根本が3位と順当にゴールを果たした。
無事にレースを終えた直後、Nリーグ NWポイントリーダーを守った岡田は「(昨年のQリーグ女王である)岡本選手は上りもグイグイ、下りもグイグイ行っちゃうから休む暇がなかったです」とコメント。
岡本になんとか 1周回に付いて走れたことには「やっぱり凄いな、経験値が違うな、と思いました」と言う岡田だがまだ中学1年生。岡本は高校3年と年齢的な分があるが、岡田はブラウ・ブリッツエンのジュニア育成チームであるブリッツエン☆ステラの頃からレースに親しんでいるので、今後の活躍に期待したい。
2戦にわたり守り切ったポイントリーダーの証・バトルマリンジャージについては「これからも、このジャージを守っていきたいので頑張ります!」と意気込みを表明。
そんな 2人の走りを見届けるような形となりながらも、Qリーグポイントリーダーを守った根本は「途中、心臓破りの坂に入る前までは 2人に付いて走れたのですが。(岡本)彩那ちゃんがグイグイ行っているから、背中が見えている間は何とか頑張ろうと思いました」と 2人の走りを評価。
このレース翌日から英国・グラスゴーで開催のグランフォンド世界選手権に参戦するために渡航する根本は、初の海外レース遠征について「世界でも自分の走りができるように行ってきます!」と力強くコメントした。
NリーグNは落合隼がトップでゴール
この後、昼休みを挟んで午後1時過ぎからスタートとなったのが、中学生男子NリーグNが対象となるスポーツクラス。こちらは同じ周回数となるミディアムと男子 50歳代が時差スタートの混走となる。なお、昼を過ぎてさらに気温が上昇したため、周回数を 6周回から 5周回に減らす処置をとられてのスタートとなった。
スタートはミディアム、その後にスポーツとなり、ニュートラル走行から解除されてからスピードが一気に上がる。ここまでNリーグシリーズ戦の全対象レースで優勝を決めている現ポイントリーダーの落合隼は前方に付けていたが、スポーツクラスから1人が抜け出して見送る形となってしまった。
しかし、その1人を追う追走集団には昨年のNリーグN総合ポイントリーダー稲葉恵人(Team BFYRacing)も含まれているため、落合には彼のチェックも必須となる。そのため、この集団に残る冷静な判断をし、様子を見ることとなったようだ。
スポーツの追走集団には落合と稲葉を含む9人。その前に約1分のタイム差をつけてミディアムクラスに交じるスポーツ1人が入る状況が2周目まで続くが、3周目にはミディアムの先頭集団も抜き去り、単独でスポーツの先頭1人が行ってしまう。 一方、追走する落合と稲葉を含む9人の集団は3周目で8人、残り1周回のコントロールライン前のアタックで稲葉がドロップ、とうとう6人となってしまった。
こんなに最初から集団が絞られる展開となったレースについて落合はゴール後、「メチャクチャきつかった」とレースを振り返る。そして、ラスト一周でドロップしてしまった稲葉は「結構アタック合戦があったので、何とか耐えようとしたけど、やはりメチャクチャきつかった」と同じ思いだったようだ。
その後、先行してスタートしたミディアムクラスに追いついた落合は、そのまま流れ込んだゴールスプリントについて「流れを見ていて行けそうだなあ、と思った」と落ち着いて状況を見ていたようだ。
落合は力強いスプリントで集団の頭を取りゴール。スポーツクラス27人中の2位となり、同クラスにエントリーしていた中高生選手のなかではトップとなった。
今回、Nリーグシリーズ戦には久しぶりの参戦となった稲葉は「このレースの後は中学3年生で高校受験なので、この後あまりレースに出場できないと思っていて、何とか(リーグトップポイントの28Pを)取りたかったのですが、練習不足で叶わなかった」と非常に残念そうであった。
一方で今回もNリーグ登録選手の中で順位トップとなった落合は「次回こそレース1位を取りたい」と強くコメント。そんな落合へ昨年のNリーグ王者である稲葉からは「全戦に出場して全て勝てば初の快挙となるので、頑張って欲しい」とアドバイスとエールを送った。
8月は福島復興サイクルロードレースシリーズを舞台とした連戦!エントリー受付中
次のリーグシリーズ戦は福島復興サイクルロードレースシリーズを舞台とした連戦となる。第6戦は8月19日(土)に「ツール・ド・かわうち(かわうちヴィンヤード山岳タイムトライアル)」、続く翌日、第7戦は8月20日(日)には「小野こまちロードレース」が行われる。
学生は夏休み期間、そして社会人は盆休みに入りトレーニングも集中してできる時期だが、まだまだ暑い日々が続くので体調に気を付けながら、リーグ登録選手たちには引き続きポイントリーダーを目指して頑張ってほしい。
アスリチューン賞Qリーグ(高校生以上女子)リーダー:根本 香織(Team 一匹狼)・132p
ランキング2位:蒲原 琴音(Team 一匹狼)・35p
ランキング3位:小田 恵利花(フィッツ)・28p
RxL賞N リーグ・N(中学生男子)リーダー:落合 隼・112p
ランキング2位:渡邉 公太(ブラウ・ブリッツエンU15)・59p
ランキング3位:小林 兼太朗(COW GUMMA)・48p
EXLUB賞Nリーグ・NW(中学生女子)リーダー:岡田 愛裕來(ブラウ・ブリッツエンU15)・91p
ランキング2位:小田島 寛奈(#1-PRIMERA-)・56p
ランキング3位:⻄⼭ 千智(High Ambition 女子サイクリングアカデミー)・40p
※ ランキングにおいて同点者が出た場合、最新のレース着順が優位の選手を上位とする。
※ 最終戦終了時において、同点者が出た場合は、最終戦直前のランキングで優位の選手を上位とする。
今大会のポイントリーダー授与式では、ビオレーサーより「アメジストジャージ」「バトルマリンジャージ」各リーダージャージが提供された。また、Qリーグは株式会社隼より「アスリチューン Qリーグポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生男子Nは武田レッグウェアー株式会社より「RxLNリーグ中学生男子ポイントリーダー賞」、Nリーグ中学生女子NWはアイリス株式会社より「EXLUBNリーグ中学生女子 NWポイントリーダー賞」が、それぞれ提供され、対象選手に授与致された。
<レポート概要>
写真撮影:K.Kazuma、Kai_Sasaki、QNリーグ事務局
テキスト:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:株式会社ウォークライド
「JCRC legacy WRロード:群馬CSCロードレース」公式ホームページ
https://walkride-cycling.info/wr-road/
この後は福島復興サイクルロードレースシリーズを舞台とした連戦となります。先ず第6戦は、8月19日(土)に「ツール・ド・かわうち(かわうちヴィンヤード山岳タイムトライアル)」が行われます。
https://web.tour-de-fukushima.jp/kawauchi/kawauchi-top
続く翌日、第7戦は 8月20日(日)にて「小野こまちロードレース」が行われます。
https://web.tour-de-fukushima.jp/ono-komachi/ono-top
上記2戦とも、8月14日(月)までエントリー受け付けています。
Qリーグ全15戦、Nリーグ全13戦で、シリーズ戦を予定しています。
http://www.jbrain.or.jp/q-n-league/race-profile.html
Qリーグ・Nリーグの登録はこちらから。各対象レース開催日の 3日前まで登録完了すればポイントランキングに反映。今後も女子とジュニアが活躍するリーグにご声援のほどよろしくお願いします!
https://moshicom.com/83733/