ミニラボアマンダ開設2周年レポート
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2019年7月より開設された「ミニラボアマンダ」が間もなく2周年を迎える。東京・田端にあるショップ「アマンダスポーツ」の工房長である千葉洋三さんの、「みんなに、自分の考えを実習し、実験できる場を作ってあげたい。そして自分だけの唯一無二の作品をたくさん生み出してほしい」という思いがきっかけで始まった作業場である。
「フレームを一から作り上げてみたい」「ホイールを一人で組み上げてみたい」「自分が納得できるマシンを作ってみたい」と、みなそれぞれ大きな目的と目標を掲げ、このミニラボアマンダの門を叩いた。
受講生は現役学生から社会人まで。千葉さんのアドバイスを受けながらそれぞれの作りたい物の制作に没頭していた。
受講生にとっては全ての作業が新しい経験で、戸惑う姿もあった。作業に行き詰まると受講生同士で意見を交換したりしつつ共に成長を喜び合う姿を、千葉さんも喜んで見守っていた。
作業の中で一番大変だったことを受講生に聞くと、溶接作業という声が多かった。「溶接時、ロウがまるで生き物のように動くので、調節するのがとても難しい」とみな初めての経験からいろんなことを学んでいる。
受講者たちの取り組み
14歳からミニラボを受講し始めた近藤さん。最初に受講していたのは近藤さんの父親で、その作業を見ていたところ、千葉さんから、「せっかくだから、君自身がやってみたらどう?」と声を掛けられたのが始めたきっかけだ。一から図面を書き、作業を始めてわずか1か月でフロントフォークを作り上げた。それを装着したバイクで父親と秩父までサイクリングをしている。走りながら自分のバイクを楽しんでいる近藤さんは、「次も新しいことを自分で考え、作り始めたい」と新しい目標を目指している。
ミニラボでは初の女性受講者である佐々木さん。千葉さんとの関わりは、クロモリ自転車と木製リムホイールを作ってもらったことから始まる。「自分の自転車に何かあっても、自分でメンテナンスできないとダメなんだ」と気づき、「自転車の構造をちゃんと理解したい」と考え、このミニラボに参加した。
佐々木さんは、「次はMTBを作ってみたい! そしてそのバイクで王滝の大会に参加したい!」と大きな目標を掲げ、この日も作業に熱中していた。
サイクルスポーツ.jpを見てミニラボを受講し始めた藤村さん。5月30日に完成した自身2作目となる新フレームをおひろめしてくれた。
実はこの新フレームは、CADで設計し3Dプリンターで制作したという。「世界に一台しかない唯一無二のフレーム」ということで、「VK-T001 Y」という型番をフレームに記した。
「次はモノコックの制作を考えています!」と3台目の目標も決まっているとのこと。
最初に息子さんが参加していた石橋さん。息子さんの「自分で作ってみたい!」という希望をきっかけにこのミニラボへ。だんだん、息子さんの作業を見ているうちに、「何だか自分も作ってみたくなってきた!」という思いが込み上げてきて、石橋さん自身も受講を決意。受講開始の時点で既に自分の作りたいものの構想ができていたという。何と2021年の元旦も作業に没頭していたらしい。
「自分で作ったバイクで走るのは本当に最高の気分です!」と完成したバイクにまたがり語ってくれた。そして千葉さんも、「あなたの走ってきたバイクの中で、このバイクは一番のバイクだよ」と大きな賛辞を述べていた。
毎年開催されるハンドメイドバイシクル展で千葉さんと出会い、それを機に受講を始めた清水さん。フレームだけでなくホイールも千葉さんのアドバイスのもと全て一から制作。
もともとものづくりが好きだという清水さんは、「このバイクは全て自分で作ったので、何か不具合が起きても原因が分かり、自分で対処できます」と、自分の作品に対する信頼感を語ってくれた。
清水さんは、「700cの折りたたみ自転車と、竹の自転車を作ってみたい」と次の目標に向かっている。
ミニラボを受講して現在3台目の制作に取り組んでいる村串さん。1台目を制作し始めたのが2020年の5月と、わずか1年で3台目の作業まで進んでいる。「もっと作ってみたい、色んなことを試してみたい、という思いが制作中に込み上げ、夢中で作業していました」と、語ってくれた。完成したバイクでたくさん色んなところを走るなか、改めて自分で制作した唯一無二のバイクはどんなバイクよりも乗りやすく、そしてそれにまたがり走ることがこんなに魅力あふれるものとは思わなかったと、感動したという。
「自分の作りたかった理想のバイクに仕上がりました!」と話す村串さんは、将来自分の店を開きたいという大きな夢を最後に語ってくれた。
千葉さんのコメント
ミニラボアマンダの創設者であり工房長の千葉さん。ミニラボが開設しておよそ2年間、色んな受講生の成長を見守ってきた。
「とても2年たつとは思えない、あっという間でしたね。最初はみんな何から始めれば良いか分からずオドオドしてることが多かったけど、今では自身を持ってそれぞれのやりたいことに熱中してます」と語ってくれた。
「これからも自分で設計して、新しいものをたくさん作ってもらいたい。そして自分で作ったものの性能をしっかり理解できるようになってもらいたい」と、受講生に向けてエールを送った。
今後も受講生がどんな新しいものを生み出していくのか、そしてどんな夢を持った新たな受講生が訪れるのか楽しみだ。
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営業日:金・土・日曜日
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