結局パワーメーターって何のために使うの?【ロードバイク ペダリング改善塾】
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ロードバイクではより一般的になってきた“パワーメーター”。ただ、持っていても活用しきれず、何となくワット(W)の数字を見て一喜一憂するだけの人が多いのでは? そこで、ペダリング研究の第一人者で自転車コーチの福田昌弘さんに、パワーメーターの意義と使い方、そして話題のシマノのパワーメーターのメリットについて聞いた。
そもそもパワーって何?
パワーメーターとは、その名のとおり自転車に乗っているときに自分が発生させているパワーを計測できる機器だが、パワーってそもそも何なのだろう?
「パワーとは、“仕事率”のことです」と福田さん。
「例えば、何か重い物を押して動かすとします。これを“仕事”と呼びます。そして、これをどのくらいの時間で行ったかを表すのが、仕事率です。
例えば、50kgの岩を3人がかりで1m押して移動させたとします。そのときにかかった時間から、仕事率、つまりパワーが算出されます。当然ですが、大きなパワーを出せば、より速く動かせます」。
「自転車の場合は、最も一般的なクランク型のパワーメーターの場合ではありますが、
トルク×回転数=パワー
です。
トルクとは回転させる力のことで、自転車の部品によく表示してある“締め付けトルク”から、なじみがあるのではないでしょうか。
つまり、自転車の場合はペダルを介してクランクに回す力=トルクを加えて、それをどのくらいの回転数(rpm)で回しているかでパワーが算出されているわけです」。
パワーメーターを使うメリットとは?
「すごく分かりやすく言うと、“体重計”と同じ効果があります。
ダイエットをするとき、体重計がないとどれくらい体重が落ちたのか分かりませんよね? もちろん、それがなくてもダイエットはできなくはありません。しかし、ないとどうにも指標がないままにやみくもにダイエットをすることになってしまいます。“何となくやせて見えるかなぁ”といった具合に。
つまり、パワーメーターは、皆さんがトレーニングをしてどれだけ強くなったかを知るために重要な指標になるんです。これによって、より精度の高いトレーニングを行うことができます」。
パワーメーターの基本的な使い方とは?
「これはすごく難しい問題で、目標とする競技によって活用方法が変わってきます。
ただ、多くの人に有効な基本的な使い方はあります。
FTPを基準に、その●%のパワーを維持して▲分(時間)走る
という方法です。FTPというのは、もうご存知の方も多いと思いますが、自分が1時間ギリギリ維持できるパワー(W)のことです。
30分〜1時間程度で終わるレースに取り組むのならば、このやり方だけでも十分に体力が向上していきます」。
シマノのパワーメーターは何がいいの?
さて、数あるパワーメーターの中でも、シマノのパワーメーター(FC-R9200-PとFC-R8100-P)は注目を集めているが、他のメーカーのパワーメーターと一体何が違うのか? そして、結局何が優れているの? と思っている人が多いだろう。
「一言で言うと、“パワーの中身を知ることができる”、ということです。ペダリング内容の解析ができるということですね。
皆さん、自分が良い力の入れ方でそのパワーを出せているかどうかなんて、考えたことはありますか?」
「例えば、250Wのパワーを出すとします。その出し方もさまざまで、悪い力の入れ方をして100回転でクランクを回しても250Wを出せます。上の図の右側のペダリングだと、時計の針で言う4時から始まって5時、6時と、そこで力を入れてもあまりクランクを回すのに有効に作用しない位置で大きな力をかけています。
一方で、良い力の入れ方をしてクランクを80回転で回しても、250Wを出せます。上の図の左側のペダリングだと、1時から力が入りはじめ、3時と最もクランクを回すのに有効に作用する位置で力のピークがきています。
さて、どちらが楽でしょうか? 当然、後者の方が楽ですよね。前者は、シャカシャカ回して疲れる割に効率よくペダリングできていないわけです。シマノのパワーメーターだと、単にパワーが分かるだけでなく、いかに楽に・効率よくそのパワーを出せているか、という指標が得られるんです」。
「ここで有効なのが、クランクの回転する30°ごとの角度で、接線方向にどれくらいのトルクがかかっているかを見ることができるグラフの表示機能です(「ペダリンググラフ」)。接線方向というのは、クランクを回転させる方向のことです。それ以外の方向にかかった力は、クランクを回転させるのに作用しません。
そもそも、トルクを見ることができるパワーメーターはシマノ以外にほとんどなく、しかもどれだけ接線方向にトルクがかけられているかも解析できるのは唯一です。これにより、どれだけクランクを回すのに良い力の入れ方ができているかを解析できるわけで、非常にペダリング改善に役に立ちます」。
ダイエットと一緒で一喜一憂しないこと
「最後に、パワーメーターを使うときに注意してほしいのが、そのときの数値で一喜一憂しないことです。つまり、ダイエットとまったく同じで、じわじわと、長期的な観点で数値を見ていかないとだめ、ということです。
ダイエットなら、きちんと栄養バランスのとれた食事を必要な量だけ取るようにし、長期的に取り組んでいれば体重は自ずと下がっていきます。
パワーもそれと同じで、パワーを上げようと思ってトレーニングするのではなくて、自分にとって足りていないこと・必要なことを繰り返し行い、その結果として長期的な視点でパワーが上がっていけばいいのです。
なお、シマノの解析サービス、シマノ・コネクトラボだと、そうした長期的な視点でデータを見るのに良いですね」。
パワーメーターへの初歩的な疑問は解消されただろうか? 次回は、話題に出たシマノ・コネクトラボの使い方のコツについて特集しよう。
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