安井行生のロードバイク徹底評論第10回 BMC SLR01 vol.3
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2018シーズンはアツい年となりそうである。ドグマF10とK10。ターマックとルーベ。エモンダ、プロペル、リアクト、シナプス、R5に785……。
各社の主力機のモデルチェンジに日本中のロード好きが話題騒然としているなか、BMCは旗艦SLR01を世代交代させた。
開発プログラム主導による前作をどのように変化させたのか。イタリアでのプレスローンチに参加した安井が報告する。vol.3
ディスクブレーキ版のラインナップ&細部
ディスクブレーキ版(正式名称:Teammachine SLR01 DISC)の見た目はリムブレーキモデルとほぼ同じだが、ワイヤ類がほとんど露出せず、電動コンポ採用モデルに至っては専用ステムとフォークコラム部に全ワイヤを内蔵するというインテグレーション化が推し進められた。2016年に発表されたディスクロード、ロードマシンと同様の設計である。
ブレーキ規格は当然フラットマウント&スルーアクスル。ローター径は当然F:160mm、R:140mm。フレーム重量は825g(サイズ54、塗装済、小物込み)と、リムブレーキ版とほとんど変わらない。
ディスクブレーキ版の完成車は、SLR01ディスクチーム(デュラエースDi2完成車、税抜価格/130万円)、SLR01ディスクワン(アルテグラDi2完成車、税抜価格/89万円)、SLR01ディスクツー(機械式アルテグラ完成車、税抜価格/64万円)の3種類だが、SLR01ディスクチームは国内展開なし。フレーム販売はリムブレーキ版同様のパーツが付いたフレームキットで54万円(税抜価格)だ。ただ、ステムはオイルラインを内蔵する専用品となる。なお、下位モデルのSLR02とSLR02ディスクも同時にデビューしている。
当連載名物のフレーム内部写真
上から、トップチューブ、ダウンチューブ、シートチューブの内部の様子。どこにも荒れたところがなく、内壁は完璧にスムーズだ。シワやブラダーの残りカスどころかわずかなうねりすらなく、先代SLR01よりも綺麗になっている気がする。これが成形方法変更の結果(vol.6参照)なのだろうか。シートチューブ写真の左下に写っているのはFD台座を取り付けているリベットとボトルケージ用のボルトである。
唯一にして最大の疑問
先述したが、ACEテクノロジーとは誤解を恐れずに言えば積層やフレーム形状などをプログラミングが自動的に導き出す開発方法である。前提条件を設定するのはもちろん人間(BMC開発陣)だが、それをもとに最高の答えを出すのはコンピュータなのだ。
ということは、前作は(素材・コスト・UCIルールなど不可避な制限の中で)高性能プログラムが考えうる「最高のモノ」だったはずである。2013年当時の条件で、ロードフレームとして最高最上最良のものができているはずである。
一体旧作と新作の違いは何なのか。具体的にどこをどのように変えたのか。そこを聞きたい。そこを聞きださねば新型SLR01は理解できないのだ。だからどうしても技術者と話がしたいのである。
当然、事前にエンジニアにインタビューしたい旨は伝えていたのだが、現地で「やっぱエンジニアは来ない」と言われてしまったのだ。同行した錦織店長と一緒に「どうしても技術担当者と話がしたい!」とダダをこねてみたら、フタバ商店(BMC日本総代理店)のザックさんが本社スタッフと交渉してくれ、スカイプでならインタビューができることになった。ここからは新型SLRシリーズの担当エンジニア、ステファン・クリスト氏との(スカイプを介しての)一問一答を混ぜながら、新型SLRの真実に迫りたいと思う。