安井行生のロードバイク徹底評論 第6回 YONEX CARBONEX vol.3

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安井ヨネックス・カーボネックス3

大手スポーツ用品メーカー、ヨネックスがロードフレームを作り始めた。このロードバイク界に異業種参入型ブランドがまた一つ誕生したのである。第一弾は650gの超軽量カーボンフレーム、カーボネックス。設計担当者へのインタビューを交えつつ、この純国産フレームの真実に迫る。

 

ゴムメタルとは何か

安井ヨネックス・カーボネックス3

X-フラーレンのように樹脂に工夫を加えて強度・耐破断性を向上させるという手法は、超軽量カーボンフレームが少なくない現在、前述の通り他社も使っている。聞きなれないのは、ゴムメタルという技術である。
 
ゴムメタルといっても、ゴムではなく、ゴムが含まれているわけでもない。トヨタグループのシンクタンクである豊田中央研究所が開発したチタン合金の名称である。金属でありながら、大きく変形させても元に戻ろうとするゴムのような性質を持つことから、ゴムメタルと名付けられた。現在、ラケット・ゴルフクラブなどのスポーツ用品や、メガネ、ボルトなどに採用されているという。
 
その“力を加えて変形させても、力を取り除くと元の形に戻る”という性質を、ヨネックスはロードフレームに利用した。
 
「ゴムメタルの特性は主に2つ。エネルギーロスがない=塑性変形しないことと、復元性(変形した素材が元に戻ろうとする力)が高いことです。塑性変形しないということは、入力されたエネルギーを全て返してくれるということなんです。金属はどうしても塑性変形するもの。要するに力を加えると変形してしまい、返ってこない部分があるものですが、ゴムメタルは加えた力を全て返してくれるんです」

 

特殊チタンで加速力と減衰性を高める

実際に、どのような状態で、どこにどれほど使われているのか。
「繊維状にして、積層の中に炭素繊維と一緒に貼り合わせて成型しています。量についてはお教えすることはできませんが、場所はダウンチューブのヘッド側、シートステーの上部(モノステーのあたり)の二カ所です」
 
ゴムメタルを使う目的は?
「ダウンチューブに入れている理由は、ペダリングエネルギーを全て返して加速力に変えるため。シートステーに入れている理由は、復元性を活かして振動減衰を速めるためです」
 
ダウンチューブとシートステーでは目的が違うのだ。要するに、曲げても塑性変形せずにビヨンと戻ってきてくれるチタン繊維をフレームに織り込み、ダウンチューブには強いバネ性を、シートステーには高い減衰性を持たせたわけだ。  

 
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