自転車用リヤレーダーってぶっちゃけ必要か? トレックの新製品を使ってみたら……
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2024年4月19日にTREK(トレック)から発表された、ロードバイクなどのスポーツ自転車向けテールランプ一体型リヤレーダーの「CarBack Radar(カーバックレーダー) リアバイクライト」。これって実際どうなのよ!? 実機を試すことができたので、使用レビューをお届けしよう。
「CarBack Radar リアバイクライト」の特徴
この製品の詳細についてはこちらの記事をチェックしてほしいが、主な特徴についてここでおさらいしよう。
「CarBack Radar リアバイクライト」 は、後方から接近してくる車両を検知するレーダーと、被視認性の高いテールランプが一体となった製品だ。
レーダーは対応するサイクルコンピューターとペアリングするか、トレック公式アプリ「Trek Accessoryアプリ」をインストールしたスマートフォンとペアリングして使用する。なお、サイクルコンピューターについては、“ほとんどのサイクリング用GPSコンピューターと互換性あり”としており、具体的にはガーミンもしくはワフーなど、レーダーデバイス対応機能があるものなら全て使える。
レーダー機能では、最大240m後方の自動車の接近を検知し、アラートをペアリングしたデバイスに表示させることができる。
一方のテールランプ機能としては、日中でも最大2km(ホントに!?)の距離からも視認できる光で、4つのモードを備えている。なお、ペアリングしているデバイスを通し、モードの切り替えも操作できるようになっている。
使ってみたら意外にも……
サイクルコンピューター(ワフー・エレメントロームV2)とペアリングさせ、ロードバイクに取り付けて編集部員が試してみた。
試した編集部員(筆者)はロードバイク歴約16年。基本的に後方から接近してくる自動車にはタイヤのロードノイズやエンジン音でほとんどの場合で気がつく。私に限らず、そういう人はかなり多いだろう。なので、このセンサーって必要なんだろうか? と、使う前は猜疑心でいっぱいだった。
ところが。“食わず嫌いはいけないな”と実感。これ、結構便利です。安全性に大きく貢献してくれると思った。新感覚と表現すれば良いだろうか。
まず、実際にセンサーがどのように機能するかを説明しよう。今回はワフーのサイクルコンピューターとペアリングしたが、ペアリングすると画面左側に下の写真のような緑色のラインが現れる。
ライド中にこれが動作する写真を撮るのは危険行為なので、実際の表示に近いイラストで説明させてもらおう。
後方からしばらく何も自動車が接近していないと緑色のライン表示になっているが、自動車の接近を検知すると、上のようなオレンジ色のライン色になり、アラート音とともに接近している台数分の自動車の表示がされる。自動車は前に向かって近づいてくるようなアニメーションとなっている。
さて、この自動車の接近の検知だが、非常に早いと感じた。それが先ほど“新感覚”と表現した理由だ。ピーッとアラート音が鳴り、後ろから自動車が来ている表示がサイクルコンピューターにされてからさっと後ろを振り返ると、自動車が見えない……。いや、見えないのではなくて、実際にはちゃんと接近してきているが、かなり遠くなのだ。最大240m先から検知する、という触れ込みだが実際そのとおりで、振り返ってもパッと見分からないくらい遠くに居るほど早い段階から検知してくれる。
早い段階から自動車の接近が分かると、「来るぞ!」という心構えをそれだけ早い段階から行うことができるのだ。これは生身の人間の感覚だけでは不可能だ。基本的に後続からの自動車の接近は音でほぼ気づくとは言ったが、これだけ早い段階から気づくことはなく、場合によってはかなり接近してからハッと気づく場合もある。この早い段階の気づきこそが、より高い安全性をもたらすのだと理解した。
そして、これがまた結構正確なのだ。「ピー。3台来てます」とアラートが鳴り、後ろを振り返ると本当に3台来ている。何度か同様にチェックしたが、全部的中している。また、画面に表示されている自分と自動車との距離も、おおむね実際の距離に近い表示がされている気がした。こりゃすごい。
ちなみに、しばら後続の車がいない状態になると、別のアラート音が鳴ってまたラインが緑色に戻る。
じゃあ、都心で10数台レベルで後続から車が来る状況ならどうか? 下のような画面となった。
ちょっと笑ってしまったし、これが正確なのかをその場で台数を数えて把握するのは危険なのでやめておいたが、これだけの台数がきてもきちんと(正確かは分からないが)検知して表示してくれるのかと、驚いた。
ただ、弱点はあると感じた。片側2車線〜3車線ある道路だと、横方向にも広く検知する機能を持っているため、別の車線に車がいるのか車道の一番左側の車線に車がいるのかの判断がつかないのだ。ただ、ひとまずどの車線にせよ後続から自動車が接近していることが分かれば、それだけでも十分安全には貢献してくれるとは言えるのだが。
テールランプは本当にかなり遠方から視認できる!
もう一方のテールランプ機能について。日中でも最大2km遠方から視認できるというが、果たして? さすがに2km離れて前方をチェックできる場所がなかなかないので、まずは約100m離れた位置で光らせてみた。その様子の動画は下のとおり。
動画だと伝わりきらないのが残念なのだが、かなりはっきりと分かる。約300mほど(肉眼では自転車も人も確認できないくらいの距離)離れてみたが、これでも驚くほどはっきりと視認できた。しかも、日中の日が出ている状態でだ。これならおそらく、視界の良好な直線ストレートの道路なら500〜800mは余裕で見えるに違いないと感じられた。もう十分すぎるほどだ。最大2kmというのも条件が良ければ達成できるのは本当だろう。テールランプとしては相当に優秀であるのは間違いない。
最後にまとめを。これは本当に必要か? という問いに対して、絶対に必要ではないが、一度使ってみればものすごくその有効性が実感でき、ライドの安心感・安全性を高める強い味方になってくれるもの、といったところだ。
価格は2万円台後半と、スポーツ自転車用アクセサリとしては高額な部類に入るが、それだけの価値はあると思った。