フィジーク・One to One これがサドルの究極形!?

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自転車とライダーが接するポイント「ハンドル」、「サドル」、「ペダル」。この3点をカバーするバイクアクセサリーメーカーがフィジークだ。
日常的にサイクリングしている皆さんなら、もう十分実感していると思うが、この3点はライドの快適性において重要な役割を担っている。
特にサドルは、サイクリストなら誰もが悩んだことがある、もしくは悩み続けているパーツではないだろうか。

どんなベテランライダーも、長時間サイクリングすれば、または連日ライドすれば、お尻のどこかが痛くなる。時に「仕方ないこと」、「慣れだ」の言葉で片付けられてきたこの難題に、フィジークが挑んだ。

サドルカスタムサービス「One to One」

フィジークサドルカスタムサービスOnetoOne

圧力センサーを使って、ライダー一人ひとりに合わせたカスタムサドルを製作するサービス「One to One(ワン・トゥー・ワン)」を発表。サドルトップは3Dプリンタで製作する。すでに発表されている同社の「アダプティブ」シリーズと同じ製造方法で、格子状のパッドで構成される。その格子の硬さが、カスタマイズされるのだ。ちなみに重量は、通常のアダプティブの最軽量モデル「00」よりやや重くなる。

このサービスの開始を前に、今年3月、実施する店舗向けの講習会がイタリア北部ヴィチェンツァにあるセラロイヤルグループの本社で開催され、筆者も同行した。

フィジークサドルカスタムサービスOnetoOne

ローラー台に自分のバイクをセットして、サドルに圧力センサーをサドルに取り付け、実際にペダリングしてどこにどれだけ圧力がかかっているのかを計測する

フィジークサドルカスタムサービスOnetoOne

センサーを取り付けた状態。サドルの下にあるのは、計測データの送信機。専用のアプリを介して、フィジークのクラウドへデータが送られて、ベストなサドルのタイプや、カスタムサドルを製作するためのデータが作成される。パッド面には64個のセンサーが搭載されている

フィジークはこれまでも、体の柔軟性に合わせてサドルを選ぶメソッドや、サドルに合わせたビブショーツを展開するなど、お尻回りに対して他社よりも多くの挑戦と開発を行ってきた。

今回、圧力センサーはフィッティングサービスを展開するゲビオマイズドの計測機器。3Dプリンターは既に協業しているカーボン社の製造機器を使う。そこにフィジークが蓄積してきたサドルにかかる圧力に対して、どんなパッドの硬さにしたら快適になるのか、というノウハウおよび展開するサドルの形状が組み合わさり、ライダーにとってベストなサドルを作ることができる。

このカスタムサドル製作過程を構築するために、3年にわたってライダーの圧力データを取得し、解析。それを3Dプリンター用データに変換するという一連の流れを研究開発してきたという。

フィジークサドルカスタムサービスOnetoOne

ベースとなるのはフィジークのラインナップにあるヴェント、アルゴ、アンタレス、アリアンテ、アエリス

計測プロセスを簡単に説明すると、まずは今使っているサドルで圧力分布を計測。そのデータを元にフィジークのベースとなるサドルがおすすめされる。そのサドルに交換して再度圧力分布を計測すると、3Dプリントのカスタムデータが完成。サドルのグレード(R1もしくはR3)を選ぶという内容。

開発を担当したジョバンニ氏に聞くOne to One

フィジークサドルカスタムサービスOnetoOne

「これは快適性を追求する最後のピースになると思う。バイクフィッティングを受けて、ちゃんとポジションが出て、さらに快適性を改善したいライダーに利用してもらいたい。快適性が上がるということは、ライダーが出力を出しやすいベストポジションにより長く座っていられるということになるはず。
違和感を感じたらサドル上でポジションを変えるという経験が誰しもあると思います。トライアスロンや、ウルトラサイクリングなど長時間乗車するサイクリストには特に。それはストレスを感じているから、それを分散させるために行っている。One to Oneで製作したサドルなら、より長い時間ポジションをキープすることができるようになるはず。

計測時は、ターゲットとしている出力でペダリングしてもらう(例えば、競技で平均で200wを出す想定なら、計測中も200wでペダリングする)ことで、より正確なカスタムデータができます。このシステムはサドル市場に新しいニーズを生み出すでしょう。各国からも好意的な反応が多かったです」

フィジークサドルカスタムサービスOnetoOne

完成したサドルと既製品を触り比べてみると、かなり硬さが異なっていた

日本ではワイズロード川崎店、シルベストサイクルの2店舗

イタリアで行われたサービスのプレゼンテーションには、国内でOne to Oneサービスを展開するワイズロード川崎店の奥平店長(右)と、シルベストサイクルの山田社長が出席。アジアではこの2店舗でのみ提供される。そのサービスの印象について聞いた。

奥平:サドルは、悩みの大小はあれど、ほとんどの人が悩んでいる。その解決策の最適解。最短距離で最適なサドルを手に入れられる可能性を感じます。それをシンプルなシステムで、フィッティングが行えるというのは魅力的です。

フィジークサドルカスタムサービスOnetoOne

計測プロセスを確認する奥平店長

山田:当店は理学療法士のフィッターがいます。フィッティングを行うと、サドル交換が必要になるというケースはよくあります。One to One自体も、ポジションが決まっていることが前提となっているので、フィッティングとトータルで提案していきたいですね

 

One to Oneサドル価格

R1 カーボンレール /10万7000円
R3 KIUMレール/9万8600円

※店頭でのサービスがスタートした後で、当サイトでも実際のフィッティングプロセスを詳しく紹介する予定