日本人に170mmは長すぎる!? ショートクランクのすすめ 有料記事

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ショートクランクのすすめ

多くのロードバイク完成車に初期で搭載されている170mmのクランク。何となく皆さん使っているだろうが、今一度見直しをしてみたい。実は、大多数の日本人にそれは長すぎるかもしれないのだ!  

あのポガチャルも165mmの短いクランクを使っている!?

中田尚志さん

今回のアドバイザー:ピークス コーチンググループ ジャパン代表・中田尚志(なかた たかし)さん。日本のパワートレーニング指導の第一人者として活躍し、国内のトップアスリートから一般のサイクリストまで幅広く指導を行っている自転車コーチ

「ショートクランク」についてはここ数年で何回か取り上げてきた。またか、と思った人もいるかもしれない。 しかし、今は時代が変わった。これまでは体格の小さな一部の人だけのものと考えられるようなきらいがあったが、そうではなくなった。グランツールで総合優勝するような、手脚の長い世界のトップ選手までもが採用するようになったのだ。 「170mmという日本で手に入る完成車によく搭載されているクランク長は、欧米だと172.5mmですが、これまでは単にメーカーの製造上の都合で入れられてきた経緯があると思います」と、ピークスコーチンググループジャパンの中田尚志コーチは指摘する。 「世界のトップ選手でも、長年のペダリング運動の習熟からその長さを使ってきたのだと思われますが、そこへ今になって科学的なメスが入ってきたのです。短いクランクにした方がメリットが大きいと、世界の最先端を行く人々も注目し始めているんです。そんな中で、やはり欧米人に比べてまったく体格が異なる日本人の多くにとって、170mmというのは長すぎる可能性が高いと思います。今一度、本企画を通じてそれを見直してみてほしいのです」。 これはあなたの走りを改善させるいい機会。さぁ、学ぼう。

言わずと知れた今を輝く世界トップレーサーのタデイ・ポガチャルは、2023年に1年間で7.5mmクランク長を短くし、世界を驚かせた。2024年ジロ・デ・イタリアでは、その165mmのクランクを使い圧倒的速さで総合優勝したのが記憶に新しい。そして、つい先日終了したツール・ド・フランスでも見事に総合優勝を成し遂げた。彼は身長176cmと、欧米人選手の中ではさほど高い方ではないが、とはいえ我々日本人男性の平均的な身長よりは高く、かつ脚も比べ物にならないほど長い。「この背景には、選手たちがより一層深い前傾姿勢を取るようになったこと、ケイデンスが以前より高い傾向にあること、そしてドライブトレインの多段化があると考えられます」と中田コーチ。あのポガチャルが165mmを使ってこんなに速いんだから、我々も……  Luca Bettini/SprintCyclingAgency©2024

 

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