安井行生のロードバイク徹底評論 第2回 GURU Photon SL vol.5
目次
670gの超軽量フレームを作る技術を持ちながら、フルオーダーが基本という姿勢を貫くカナディアンブランド、グル。いかにも北米らしいスッキリとした雰囲気をまとうこのブランドは、何を考え、どこを目指して自転車を作るのか。カナダ自社工場の製造工程とフォトンSLのインプレッションを通じて、先鋭と人間臭さが複雑に混じりあうグルの製品哲学に迫る。vol.5。
尋常ならざる作り方
確かにチューブtoチューブには違いないが、出来合いのカーボンチューブの接合部にいきなりカーボンシートを巻きつけるのではなく、1.カーボンシートを各々のジオメトリーに合わせてカットし、2.内壁がスムーズになるようにシリコンブラダーを用いて成型し、3.チューブ端面を線接触するようにザグり、4.接着剤でチューブ同士を仮接合しておき、5.パテ状のエポキシ剤でチューブ間の段差を埋め、6.加熱して硬化させたパテを削って接合部を滑らかに仕上げ、7.その上からカーボンシートを巻くことで鋭角な段差をなくしてカーボン繊維の性能を目一杯引き出す、という手間のかかる工程を踏んでいるのだ。無駄な樹脂やカーボン同士の重なりが最小限になるように留意しながら。これなら高くて当然だろう。
これらグル独自の製法がどれだけ実性能に寄与しているのか、どれだけ意味のあることなのかは判断のしようがないが、手の込んだフレームであることは確か。グルのバイクは理由もなく高価なわけではないのだ。「最先端ではないけれど、尋常ならざる作り方」。これこそが高価格の理由であり、グルというブランドの存在理由でもある。
これらグル独自の製法がどれだけ実性能に寄与しているのか、どれだけ意味のあることなのかは判断のしようがないが、手の込んだフレームであることは確か。グルのバイクは理由もなく高価なわけではないのだ。「最先端ではないけれど、尋常ならざる作り方」。これこそが高価格の理由であり、グルというブランドの存在理由でもある。
また、グルは最適なジオメトリーを導き出すために、本国で最新鋭のフィッティングシステムまで用意してしまった。これは2013年のインターバイクで発表されたもので、フィッティングマシン上でペダリングをしたまま、出力を見ながらポジションが油圧で変化するというなかなかすごいものらしい。ヒルクライムのポジションを再現するため、フィッティングシステム全体が傾くという大掛かりな仕掛けも盛り込まれているという。3Dキャプチャーも利用し、一番有効なポジションを導き出す。これはシステムごとキャノンデールグループに売却されたというが、本国カナダやヨーロッパでは、オーダーを受ける際にこのシステムを使ってジオメトリーを決めているのだという。
グルはただのフレーム屋ではないのだ。指定されたジオメトリーで作るというだけでなく、ジオメトリーの出し方に関しても大マジで取り組むブランドなのだ。立ち位置はシファックなどに近いと言えるだろう。このグルのフィッティングシステム、諸々の事情によりまだ日本には入ってきていないが、導入を望みたい。
ペイントについても手抜きは少ない。ステッカーを使うメーカーが多い中、グルはロゴの一つ一つをハンドペイントで仕上げている。もちろんカラーやデザインもオーダー可能だ。
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グルはただのフレーム屋ではないのだ。指定されたジオメトリーで作るというだけでなく、ジオメトリーの出し方に関しても大マジで取り組むブランドなのだ。立ち位置はシファックなどに近いと言えるだろう。このグルのフィッティングシステム、諸々の事情によりまだ日本には入ってきていないが、導入を望みたい。
ペイントについても手抜きは少ない。ステッカーを使うメーカーが多い中、グルはロゴの一つ一つをハンドペイントで仕上げている。もちろんカラーやデザインもオーダー可能だ。
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