バーレーン ヴィクトリアスの縁の下の力持ち、 メカニック、マッサー、ドクターたち
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バーレーン ヴィクトリアスのメカニックたちは、2024宇都宮ジャパンカップサイクルロードレースの2日前、金曜日に2時間ほどのライドに出かけてきた選手のバイクをすべて洗い、点検した。この日は小雨が降ったため、洗車は必須だ。
土曜日のフリーランは宇都宮駅そばのホテルから森林公園のコースまでの往復も選手が走ったため、少しはバイクが汚れたかもしれないが、路面はドライだった。
午後のクリテリウムまでの短い間に慌ててバイクを洗うことはなく、ドライな環境下ながら各種のケミカルを使ってバイクをクリーンに保った。
メカニックの最新作業事情
選手がライドを終えるとメカニックはすべてのバイクを洗車し、あらためて細部をチェックしている。チューブレスタイヤのシーラントなど、最新のバイクならではのチェック項目があるようだ。
洗車は後輪を付けたままで作業台に載せて行っていた。ホテル・ニューイタヤの駐車場には海外チームのメカニックがそれぞれ陣取り、さらにシマノとマヴィックのニュートラルサービスも似たような作業を行うため、水道のホースをうまく譲り合う必要もあるのだ。
メカニックのザルコは洗車そのものをアシストに来ているポジティーボの永井孝樹に任せ、それ以降のチェックを行っていた。ホテル地階に用意されたメカニックルームに洗車の済んだバイクを運び、あらゆるチェックを行う。傍らにはスペアバイクのリヤメカのところにDi2の充電ケーブルが取り付けられ、モバイルバッテリーがぶら下がっていた。聞けばメカニックルームがキレイに養生されていて、壁のコンセントが使いづらいのだそうだ。
晴天下のレースなら前輪4.8、後輪5.0気圧で運用されていて、あらかじめ入れておいたエアに対し、時間が経って顕著な減圧が見られた場合はシーラントの追加などの措置がとられるという。
ザルコによれば「以前使っていたシーラントはともかく、フィニッシュラインのファイバーシーラントになってからはとてもスムーズだよ。飛行機移動してきてもトラブルはない。バイクにはまったく問題なくてヒマだよ！」と笑う。
それでもレースのスタート前には前後の空気圧をデジタルメーターでチェックし、リヤメカのところの電源ランプを確認、STIレバーを操作して変速を確認、もちろん工具を使ってスルーアクスルが締まっていることを確認するなど、念には念を入れて完璧を期していた。その流れるような作業は惚れ惚れするほどだ。
バーレーン ヴィクトリアスの6人のライダーが乗るメリダはリアクトが4人、スクルトゥーラが2人
マッサーに聞く、コンディショニングのこと
マッサーのタマラは、サポートとして同行したエンネスポーツマッサージの穴田悠吾とともに6人の選手を手分けしてマッサージしたほか、補給食の用意、そしてレース中の補給と手際よく仕事をこなしていた。
ジャパンカップ前日の午前中、選手たちが森林公園でのフリーランに行っている最中に買い出しを行い、補給食を作っていた。
もちろんネバーセカンドの補給ジェルやバーなども十分に用意してきたが、さらにというわけなのだろうか。市販のバターロールを買ってきて、オレンジマーマレードとブルーベリージャムをたっぷり入れた補食を作り、ホイルに包んだ。「パニーニは最近あまり作らないけどね」と言いながら。
スタート前、サコッシュの中身を見せてもらった。ネバーセカンドのジェルが2本、バーが1本。そこに作ったジャムパン、そしてボトルが2本。ボトルの中身は水、そしてマルト（デキストリン）、さらにロケットと呼ばれるものが用意され、それぞれボトルのキャップのところにマジックで「M」「R」と書かれていた。
サコッシュでなくボトルのみの補給は輪ゴムでジェルを止めていた。欧州のレース中継でよく見る、ジェルは必要ないという選手はボトルを振ってジェルを地面に捨てていくスタイルのやつだ。
昨年に引き続き来日したドクターのマットには、ジャパンカップのような遠征、特に大きな時差を伴う移動についてのノウハウについて聞いてみた。
「ジャパンカップだけじゃない、カナダや中国のレース、それにオーストラリアもあるね。たとえばオーストラリア（ツアー・ダウンアンダー）なら1月だ。9時間の時差に対応するために、選手には2週間前から生活のサイクルを調整するようアドバイスしている」。
そう言いながらドクはスマホに入っているアプリを開いて見せてくれた。「Timeshifter」というそのアプリは体内時計を調整するもので、一部の旅行者には知られた存在らしい。
「入眠しやすくするメラトニン系の薬も使うけれど、それだけじゃない。いつ日の光を浴びるか、どのタイミングで暗くするか、アイマスクを使ったり、メラトニンやカフェインの手助けを借りたり。いろんな手段を使ってジェットラグを最小限に防ぐので、8時間もの時差がある日本のレースも走ることができるんだ」。
チーム バーレーン ヴィクトリアスの選手達（写真左から）ニコロ・ブラッティ、マテイ・モホリッチ、ヤッシャ・ズッターリン、新城幸也、アンドレーア・パスクアロン
バーレーン ヴィクトリアスの2024宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース
▶︎どんな機材で戦う？
https://www.cyclesports.jp/topics/125564/
▶︎2024宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース結果 モホリッチ3位、新城48位
https://www.cyclesports.jp/topics/125675/
2024宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース
2024年10月18日（金）チームプレゼンテーション
会場：オリオンスクエア（宇都宮市オリオン市民広場）
2024年10月19日（土）クリテリウム
会場：宇都宮市大通り周回コース
2024年10月20日（日）ロードレース
会場：宇都宮市森林公園周回コース
