ジャイアント・TCR SLR1 最新・話題のバイク乗り比べ 「アサノ試乗します!」 その1
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ジャイアントがフレームに使用するアルミ合金製チューブの最高峰「アルックスSLRグレード」を搭載したレーシングロード・TCR SLRシリーズ。そのトップグレードのSLR1は、2017年モデルでリニューアル。元々高かったその戦闘力にはさらに磨きがかけられていた。
トレンド満載、アルミフレームのピュアレーサー TCR SLR 1
ジャイアントのTCRシリーズは、上りも下りも平坦もそつなくこなすオールラウンド系ピュアレーシングバイク。中でもTCR SLRシリーズは、ジャイアント最高の重量剛性非を誇るアルミフレーム・アルックスSLRを採用しているのが特徴だ。
同シリーズ最上位モデルのSLR1は、2017年モデルでリニューアル。旧モデルと比べ、ハンドルまわりの剛性が18%、BBまわりの剛性が10%アップし、9%もの軽量化を実現。シートポストの形状を見直すことで、快適性も向上させた。メインコンポーネントにシマノ・アルテグラ、チューブレス対応のクリンチャーホイールを搭載し、23万円(税抜)という価格を実現している。
フレームはトップチューブのスローピングを強調して前三角と後三角を小さくするコンパクトフレームを採用。完成車重量7.5kgと、他社のライバルモデルと比べてもかなり軽量に仕上がっている。また、ヘッドチューブは上部を1″1/4インチ、下部を1″1/2インチとしたジャイアント独自規格のオーバードライブ2を採用し、ハンドル周りの剛性を強化。BB規格はプレスフィットタイプのBB86とするなど、最新鋭のテクノロジーで武装している。
並のカーボンフレームのロードバイクを凌駕する
リニューアルしたTCR SLR1は、ヘッドまわりの造形をはじめ、見た目はどちらかというとオーソドックスな方向に変わっている。しかし、走りのキモとなるハンドル回りやBBまわりはより剛性アップし、軽量化や快適性向上も遂げたという。
試乗してみると、先代モデルより明らかに軽快さを増している。完成車重量が300g軽くなっていることもあるが、特に上りやダッシュ時の切れ味鋭い加速、シャープなハンドリングには舌を巻く。その走りは、並のカーボンフレームのロードバイクを凌駕する。
ホイールはジャイアントのオリジナル・SL1ホイールシステムが搭載されている。ペア重量1500g台と、他ブランドのハイエンドモデルに比べるとやや重いが、それでこの軽快な走りが演出できているのは素晴らしい。標準装備のタイヤは可もなく不可もないが、レースではメジャーブランドの軽量レーシングタイヤを装備すればさらに軽快な走りが楽しめそうだ。
最近アルミフレームのピュアレーサーが見直されており、アメリカのメジャーブランドが開発に本腰を入れるなど激戦区となっている。TCR SLR1はこのホットなカテゴリーに満を持して参戦するわけだが、メインコンポーネントにシマノ・アルテグラを搭載して23万円(税抜)だから、パッケージングの良さはライバルたちから一歩抜きんでている。
このモデルはレースから普段の練習、輪行による遠征まで、使用シーンを問わない守備範囲の広さが魅力で、オススメはズバリ「レースをしたい」という明確な目的があるサイクリスト。ファーストバイクとしておすすめできるし、カーボンロードに乗っている人のセカンドバイクとしてもいいチョイスだと思う。
実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、海外のグランフォンドにも参加経験がある。愛車はスコット・アディクトとキャノンデール・キャード10。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。
■ジャイアント・TCR SLR1
シマノ・アルテグラ完成車価格/23万円(税抜)
●フレーム/アルミ
●フォーク/カーボン
●コンポーネント/シマノ・アルテグラ
●ホイール/ジャイアント・SL1
●タイヤ/ジャイアント・P-SL1 700×25C
●ハンドル/ジャイアント・コンタクト
●ステム/ジャイアント・コンタクトOD2
●サドル/ジャイアント・フォワード
●サイズ/XS、S、M、ML ●完成車重量/7.4kg(サイズM)