ロードバイクで向かい風の中をなるべく楽に走る方法
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ロードバイクでサイクリングするときにつらいものの一つに、「向かい風」がある。しかも、意外と季節に関係なく年中遭遇することがある。どうやったら少しでも楽に走れるのか。その方法について特集しよう。
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諦めなくていい。向かい風の対処法はある
今回教えてもらうのは小笠原 崇裕さんだ。
私たち一般のサイクリストが、できるだけ向かい風の中を楽に走ることができる方法って、あるのだろうか?
「はい、あります」と小笠原さん。
「ポイントは3つ。1つめは、できるだけ風を受ける面積を減らすこと、2つめはケイデンスを低めにすること、3つめは、可能なら根本的にルートの取り方を変更してしまうこと、です。これらは、どなたでもすぐ実践できることです」。
むむ。中には思ってもなかったような項目が。教えてもらおう!
【POINT①】できるだけ風を受ける面積を減らす
「まず取り組んでみてほしいのが、できるだけ前から風を受ける面積を減らすことです。当然ながら、風が体に当たる面積を減らすことができれば、そのぶん風の抵抗を受けにくくなります。
皆さん、ふだんサイクリングしているときはリラックスして上体が高くなりがちだと思いますが、そのまま何ら姿勢を変化させなければ、当然向かい風で抵抗が増えてしまいます。
そこで、自分のできる範囲でいいので、肘を曲げることによって肩の位置を低く保ってみてください。結果的に頭の位置も下がって前傾姿勢が深くなり、風の当たる面積を減らすことができます。
プロ選手のような深い前傾姿勢をとる必要はありませんが、ちょっと姿勢を低くするだけで、感覚的にも相当楽になるはずです」。
そうか。これなら誰でもすぐ取り組めることだ。
「ただし、注意点があります。前傾姿勢を低くしようと肘を曲げてよくやってしまう失敗例があるのですが、肘が外側に向いてしまうのはNGです。こうなると肘が外に張り出している分、風を受ける面積が大きくなってしまいます。また、これだとうまく頭〜肩の位置が下がってこないんですよ」。
「そうではなくて、肘が内側に入るようにしてみてください。すると脇が閉じ、体に風が当たる面積が減って楽になるうえ、深い前傾姿勢をとることができるようになります」。
なるほど。しかしこの姿勢を我々一般のサイクリストが維持するのはつらいように思われるが、できるだけ長い時間維持するコツはあるのだろうか?
「腕〜肩だけで上体を支えないようにすることです。なかなか難しいかもしれませんが、腹筋まわりの体幹の力を使って上体を支えるようにしてみてください。腕への負担を減らし、前傾姿勢を維持しやすくなります。腹筋にグッと力を入れるような意識のしかたですね。
繰り返しますが、プロ選手のような深い前傾姿勢を取り続けなければいけないわけではありません。自分のできる範囲でいいので、できるだけ風の当たる面積を減らせる姿勢をとってください。
また、特に風が強まったときだけより姿勢を低くするのでも十分に効果はあります。やるのとやらないのとでは、速度の落ち具合はかなり違ってくるでしょう」。
【POINT②】低めのケイデンスを保つ
「向かい風のときはペダルが重くなるので、上り坂と同じでどんどん軽いギヤにしていくことが大切です。ですが、そのうえで気をつけてほしいのが、だからといって足がシャカシャカと回るほど軽いギヤにしてしまわないようにすることです。
実は、ケイデンスが上がれば上がるほど空気をかき混ぜることになるため、その分空気抵抗が増すのです。よって、向かい風で強い風が当たっている中でケイデンスを上げると、かえって空気抵抗が増してつらくなってしまいます。
ポイントは、ふだんサイクリングするときよりも低めのケイデンスにすることです。目安としては、毎分60〜70回転です」。
し、知らなかった! ヒルクライムに近いかもしれない。
「そうですね、走り方としてはヒルクライムに近いものがあります。
勘違いしてほしくないのは、つらくなるほど重いギヤを踏めと言っているのではない、ということです。あくまでも、速度の低下に合わせてギヤをどんどん軽くして、そのうえでも毎分60〜70回転程度になるほどのギヤを選択しましょう、ということです。
上り坂と同じでどうしても速度は落ちてしまいますが、これによってなるべく楽に走れ、そして極端に遅くならない速度がキープできます」。
【POINT③】ルート設定を根本から変えてしまう
「これは走るスキルというよりは行動の取り方・考え方の話となりますが、これから走るルートではずっと向かい風が続くようなら、遠回りになっても良いのであえて当初のルートから外れ、できるだけ木や建物など遮蔽物(しゃへいぶつ)の多い道を通っていく、ということです。ジグザグにゴールまで走るようなルートの取り方もアリです。
どんなに工夫して走っても、延々と向かい風の中を走り続けるのはどうしても疲れてしまうものです。そこで、根本的に向かい風を受けにくいようルートを変えることで、距離が延びてもずっと向かい風の中を走り続けるよりは疲れないですし、結果的にゴールまでの時間が短縮できる可能性もあります。
例えば、向かい風のなか河川敷のサイクリングロードを進み続けるよりも、場合によっては木が生い茂った峠道を通っていった方が楽で速い、なんてこともあるわけです。
向かい風は回避できないものと思われがちですが、実はこういう方法を取ることで回避できるかもしれないことは、知っておいて損はありません」。
……考えたこともなかった!
【参考】横風の場合はどうする?
向かい風ほどではないが、横風も厄介でつらい存在だ。この場合はどう対処したらいいのか?
「基本的には向かい風と同じで、なるべく風を受ける面積を減らすようにすることです。フォームの取り方は、先に説明したとおりです。こうすると、風を受けて横にあおられたり、ハンドルを取られにくくなります」。
「そのとき注意するべきポイントとしては、横風では風が吹いてくる向きに対してどうしても自転車をやや倒す状態になってしまうのですが、それでも体だけは地面に対してまっすぐな状態を保つことです。体も自転車と一緒に倒してしまうと、そちらの方向へどんどん斜めに進んでしまい、危険です」。
「そのうえで、一番効果があるのはリムハイトの低いホイールを装着することだと思います。機材交換という話にはなってしまうんですけれども。
やはりどうしてもハイトの高いホイールを装着していると風にあおられてハンドルが取られやすくなります。最近は比較的ディープリムのホイールを使う人が増えてきていますが、せめて前輪だけでもローハイトのホイールを装着できると、ハンドルがかなり取られにくくなり、速く走れるというよりかは、安全に・楽に走ることにつながります」。
いかがだっただろうか。割と今すぐ実践できることが多いのではないだろうか。次のライドで向かい風に遭遇してしまったら、早速試してみてほしい。