マウンテンバイクでジャックナイフする方法【MTBはじめよう! Vol.23】

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マウンテンバイクでジャックナイフする方法
MTB

MTB(マウンテンバイク)のトレイルライド&グラビティライドの基本が学べるシリーズ。今回は定番技の一つ、「ジャックナイフ」の習得方法について特集しよう。ちなみに、欧米では「ENDO(エンドウ)」と呼ばれることが多い。

 

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危険だけど技術向上に役立つ技

今回も教えてもらうのは、シリーズ通してのアドバイザーである板垣奏男さんだ。

板垣奏男

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride  YouTube:kanao itagaki

 

ジャックナイフとは、知っている人が多いと思うが、前ブレーキをかけて後輪を浮き上がらせる技だ。

技というよりも、前ブレーキを強くかけすぎることで後輪が浮き上がってしまう、避けるべき危険な状態を指すこともあるが、今回は技として行うジャックナイフについて取り上げる。

「この技は前ブレーキのコントロールが要(かなめ)となるので、できるようになると前輪のコントロールだったりブレーキが効きづらい急斜面でのブレーキコントロール向上に貢献します。

また、今回は紹介しませんが“ジャックナイフターン”という、後輪を浮き上がらせながら自転車の方向を変える発展技にもつなげられます。近年のエンデューロレースだと、タイトコーナーを曲がるのにこの技を応用する選手が見られます。

と、いろいろとライディングの幅を広げてくれる、有用な技だと思います。そして、できると純粋にかっこいいです! そういった意味では、遊びの幅を広げてもくれます」と板垣さん。

「ただし、危険な技であることは確かですので、安全には十分に注意を払って行うことが肝心です。どうしても恐怖心がまさってできない、という人は、無理にチャレンジしなくてもいいです」。

よぉーし。やってみよう。

 

練習する前に注意すべきこと

「この技は、頭・顔面から地面に落ちる、危ない転び方をする可能性があります。それをまずは念頭に置いてください。よって、ここからは段階を踏んで徐々に技ができるようにする方法をお教えしますが、とはいえとにかく“無理をしないこと”が肝心です」。

フルフェイスヘルメット

フルフェイスヘルメット

「必ずしも必要ではありませんが、万全を期すためにフルフェイスヘルメットを装着する、さらに、持っている人は首を守るためにネックブレースを装着するのもいいと思います」。

 

腕は絶対に曲げるな!

「この後で詳しく説明しますが、一番重要なのは後輪が浮き上がってから“腕を絶対に曲げないこと”です。腕を曲げてしまうと前に落ちてしまいます。これをまずは頭に入れておいてください」。

 

【STEP①】後輪を軽く浮き上がらせてみる

ジャックナイフ練習方その1

「まずは後輪を軽く浮き上がらせることを目指します。

軽く助走し、ニュートラルポジションをとってふらつかない程度のゆっくりとした速度で進みます。くれぐれも速い速度にならないようにしてください。速度が速いと、いざジャックナイフをしたときに前に大きくつんのめってしまいやすくなります。

次に、ほんの少しだけペダルに加重するように“タメ”の動作をします。軽〜くレディポジションをとるような感じです。

その後、前ブレーキを強めにかけると同時に、前側に重心を移動させます。腕全体でハンドルに加重するようなイメージでしょうか。

すると、自然と後輪が軽く浮き上がります。

このときに、絶対に腕(肘)を曲げないでください。曲げると自転車の前側に投げ出されてしまいます。また、足裏でペダルを引っかけて引き上げるような動作もしなくて良いです。思いがけず後輪が上がってしまい、危険です。

はじめのうちは上の写真ほど上がらなくても良いです。ほんの数センチ浮き上がるくらいから始めてみるので十分です。徐々に慣らしていくようにしましょう」。

 

【STEP②】前ブレーキを離して後輪を落とせるようにする

ジャックナイフ練習方その2

「確実に後輪が浮き上がるようになってきたら、次は前ブレーキを離し、意識して後輪を落とせるようにする練習をします。

勢いがついたまま前ブレーキを離さないでいると、どんどん自転車は浮き上がっていき、しまいには前転してしまいます。そこで前ブレーキを離すと、後輪が地面にストン!と落ちます。これができると、勢い余って前転してしまいそうになったとき、ジャックナイフ状態を解けるようになるわけです。

練習していくとどんどんジャックナイフの高さが出ていきますので、この段階で前ブレーキを離してジャックナイフをコントロールできるようにしておくことが重要です。

やり方はシンプルで、

ジャックナイフする→前ブレーキを離す→後輪を落とす

です。この段階では、後輪はドスンと落ちてしまってOKです」。

 

慣れてきたらゆっくりと落とせるようにする

ジャックナイフ練習方その3

「前ブレーキを離して後輪を自在に落とせるようになってきたら、今度はじわりと前ブレーキを離し、後輪をゆっくり落とせるように訓練してみてください。

これができると技の発展につながるうえ、ブレーキを調整して離していく感覚を養えます」。

 

【参考】脚をたたんで高さを出す

ジャックナイフで高さを出す方法

「ジャックナイフは、ここまでできればもう十分です。が、よくSNSで見るような、ものすごい高さが出ているジャックナイフに挑戦してみたくなるものです。あくまで“エクストラ”として、チャレンジしてみたい人はやってみて良いでしょう。

前提条件は、前ブレーキの調整で後輪を自在にゆっくりと落とす技術が身についていることです。これが身についていないと、高さが出るため前ブレーキを離して後輪を落とせても、ドスンと大きな衝撃をともなって落ちるので足がペダルから外れたりして転んでしまう可能性があるためです。

より高さを出す方法は、膝を曲げて脚をたたむようにすることです。思っているよりもかなり高さが出ます。くどいようですが、しっかりと前ブレーキで後輪をコントロールして落とせる技術を身につけたうえで挑戦してみてください」。

皆さん、くれぐれもけがのないように挑戦してみよう。

 

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