マウンテンバイクでマニュアルする方法【MTBはじめよう! Vol.24】

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MTBでマニュアルする方法
MTB

MTB(マウンテンバイク)トレイルライド&グラビティライド(下りを楽しむスタイル)の基本が学べるシリーズ。今回は、バニーホップと並んで初級マウンテンバイカー憧れの技と言える「マニュアル」の練習方法について紹介しよう。

 

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難しいができると超かっこいい憧れの技

今回も教えてもらうのは、プロMTBライダーでインストラクターとして活躍する板垣奏男さんだ。

板垣奏男(いたがき かなお)さん

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride  YouTube:kanao itagaki

 

まず、そもそもマニュアルという技の名前を初めて聞く人もいるだろう。そしてウィリーとは何が違うの? と思うかもしれない。

「マニュアルというのは、フロントアップで前輪を上げたあと、重心移動によって前輪をキープし、慣性で進んでいく技です。それに対してウィリーとはペダリングの力で前輪を上げ続け進んでいく技で、似ているようで違うんです」と板垣さん。

この技のメリットとは?

「やっぱり、技自体がかっこいいので、“カッコつけられる” “できると楽しい”というのが一番ではないでしょうか(笑)。

もちろん技術的なメリットもあります。実際にトレイルやコースを走るときはフロントアップができれば十分なのですが、マニュアルができるとさらに余裕を持って障害物を越えられるようになります。また、重心移動のコントロールをする技術も磨かれますね。

次回でバニーホップについて紹介しますが、そのための必須スキルにもなります。また、パンプトラックなどでよく使う、コブの上をマニュアルして進む“ロール”という技にもつながり、ここからいろいろとライディングの幅を広げられます。

この技はバイクとライダーの体格によって難易度や感覚がかなり変わってくるので、この記事を参考にしつつ、自分なりの感覚をつかんでいくのが良いと思います」。

さあ、チャレンジだ!

 

【STEP①】フロントアップができるように練習

「マニュアルとは、①フロントアップをする→②前輪が上がった状態をキープして進み続けるという、大きく2つの動作に分けられます。

まずは、以前に紹介したフロントアップができなければ始まりませんので、まずはこれが確実にできるように練習しましょう」。

 

※『マウンテンバイクのフロントアップ&リヤアップ【MTBはじめよう! Vol.17】』も参照

 

フロントアップ

フロントアップ

 

「マニュアルに移行するためにはやや前輪を高めに上げる必要があります。そのためには、一連の重心移動の流れをスムーズに、勢いよく行うことがポイントとなります。

ここでは助走スピードはゆっくりでOKです。慣れないうちから速い速度で行うと、転んだときに大きなけがをしやすくなるためです」。

 

高く上がるようになってきたらリヤブレーキで前輪を落とす練習を

マニュアル練習方法1

フロントアップからリヤブレーキをかけて前輪を落とす練習

 

「前輪が後ろにひっくり返りそうになるほど高く上げられるようになってきたら、リヤブレーキをかけて前輪を落とす動作ができるよう練習します。

これはマニュアルで進んでいく感覚を身につけるために重要であり、また安全性の確保のためにも必要になる練習です。高めにフロントアップ→リヤブレーキをかけて前輪を落とす、という一連の動きを安定してできるようになるまで行なってください。

この段階では、とりあえず前輪がドスンと地面に落ちてしまうので構いません。また、ここでも助走の速度はゆっくりでOKです」。

 

【STEP②】ブレーキコントロールで前輪を維持できるように練習

ブレーキコントロールで前輪を維持

ブレーキコントロールで前輪を維持

 

「次に、ブレーキをかける力を調整して、フロントアップしてから前輪が上がった状態を少し維持できるように練習します。

マニュアルを実際に行うときには、ブレーキコントロールで前輪の高さを調整するスキルが必須になります。最終的にはブレーキを使わず重心移動でバランスを取って進めるようにならないといけないのですが(後に詳しく)、それができても前輪が上がりすぎる場面がどうしても生じてくるためです。特に実際にコース上で走っていてマニュアルをするときはそうですね。また、下り坂でマニュアルしていて、速度が出すぎたときの減速方法としても重要です。

さらに、最初のうちは重心移動で前輪をキープするのは難しいため、ブレーキコントロールで前輪をキープし、前輪が上がった状態でバランスをとる感覚を磨いていくという意味でも重要となります」。

練習方法

「まず、少し助走の速度を上げましょう。次にフロントアップし、ブレーキをかける力を調整して、前輪が上がった状態をできるだけキープしてみます。じわりと“当て効き”させるイメージです。

最初のうちは前輪をできるだけゆっくりと落とす練習から始めると良いですね。今までは“ドスン”と前タイヤが地面に落ちていたのが、“トスン”というくらいに。

慣れてきたら徐々に速度を上げていき、ブレーキコントロールで前輪を上げたままキープできる時間を伸ばしていきます」。

 

【STEP③】重心移動でバランスを取れるようにする

重心移動で前輪をキープする流れ

重心移動で前輪をキープする流れ

 

「ここまでできるようになったら、次は重心移動で前輪が持ち上がった状態をキープできるようにします。

重心の位置が後輪の軸のだいたい真上に来ているとき、バランスがとれて前輪がキープできます。前輪が落ちてきたら重心の位置をより後ろへ引くと前輪が持ち上がってきます。逆に前輪が上がりすぎてきたら後輪の軸の真上よりも前へ重心をずらすと、前輪が落ちてきます。これを細かく繰り返して調整することによってバランスがとれる位置をキープします。

なお、ご自身の体格と使っているバイクの組み合わせによっては、前輪が上がりすぎたときに重心移動だけで前輪を落としきれない場合が生じます。そのときは、後ろブレーキを使って前輪を落としてあげてください。フルサスでトラベル量の多いバイクほど難易度が上がります。もしハードテールのトレイルバイクやダートジャンパーを持っている場合は、そちらの方がやりやすいので、まずはそちらで練習してみるのも手です」。

 

【STEP④】距離を徐々に延ばしていく

「ここまでできるようになったら、あとはブレーキコントロールと重心移動を組み合わせて徐々に距離を伸ばせるようにひたすら訓練です。慣れてきたら下り坂を使ってみましょう。延々と距離を延ばしていけます。

マニュアルの習得にはかなりの時間を要します。根気よく練習を続けてみてください」。

 

筆者もなかなかできるようにならず苦戦しているマニュアル。できるようになりたいぞ! 皆さんもこの記事を参考にチャレンジしてみてほしい。

 

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