マウンテンバイクでバニーホップする方法【MTBはじめよう! Vol.25】
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マウンテンバイクのトレイルライド&グラビティライド(下り系の遊び方)の基本が分かるシリーズの25回目。今回は定番技で実用性の高い、「バニーホップ」について紹介しよう。
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かっこいいだけじゃなく役に立つ技
前回の記事では「マニュアル」について紹介した。今回はそれと双璧をなす初級者あこがれの技と言える、バニーホップについて。読んで字のごとく、うさぎが跳ね上がるように自転車で跳ね上がる技だ。この技のメリットとは? おなじみ、シリーズ通してのアドバイザー・板垣奏男さんに聞いてみる。

板垣奏男(いたがき かなお)さん。東京サイクルデザイン専門学校を卒業後に本場カナダへ渡り、高度なライディングスキルからトレイルビルディングに至るまでを習得。現在はプロライダー/インストラクターとして活躍している。Instagram:kanao_i_into_the_ride YouTube:kanao itagaki
「やっぱり、見た目にすごくかっこいいというのは大きいです。ですがもちろんそれだけじゃなくて、トレイルやMTBパークのコースを走るうえで実はかなり役に立つ技です。一言で言うと、“走れるラインが増えます”」と板垣さん。
走れるラインが増える?
「例えば大きな木の根などがコース上にあったら、それを普通は避けるラインをとりますね。そのまま何もせずに通ろうとすると、それを喰らってしまいますから。
しかしバニーホップの動きができると、その木の根をまっすぐ越えていくことができ、よりスムーズに、速く走れるラインが開拓できます。
あるいは、非常に曲がりにくいコーナーで、バニーホップの動きで一度コース外の高い場所へ大きく上がり、そこから降りて安全に素早くコーナーを曲がる、といったことも可能になります。
このように、特にレースをやる人は必ず習得しておくべき技です。もちろん、初級者にとっても中級者への登竜門というか、これができるといろいろとライドの幅を広げることにつながります」。
なるほど! では、練習方法を教えてもらおう。
【STEP①】マニュアルの動きからペダルを蹴り込んで重心移動できるようにする
「まずは、バニーホップの基本となる動きができるようにしていきます。この段階では、あまり自転車が宙に浮いているかどうかは気にしなくていいです。ましてや、高さを無理に出そうとしてはいけません」。
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バニーホップの一連の動作
「バニーホップとは、
①助走してフロントアップをし重心位置を後輪軸の上へ移す
②ペダルを蹴り込みつつ上へ伸び上がる
③重心位置をBBの上へ移す
の一連の動作によって、瞬発的に重心移動を行うことによって自転車を宙に浮かせます。
①のフロントアップをして重心位置を後輪軸の上へ移す動作は、マニュアルの初期動作と同じです。なので、前回の記事で先にマニュアルを紹介しました。完璧にマニュアルができなくても良いですが、まずはフロントアップして前輪を上げ、そこから重心位置を後ろへ移してある程度バランスが取れるようになっておく必要があります。
②は、“ペダルを介して地面を蹴って”その反発で跳ね上がるようなイメージです。
まずはこの一連の動作ができるように何度も練習しましょう。その結果として自転車が宙に浮くようになってきます」。
ペダルに足を引っ掛けて引き上げる必要はない
「自転車を宙に浮かせるというと、ペダルを上に引き上げるイメージを持つ人が多いでしょう。実際、“足裏をペダルに引っ掛けて引き上げる動作をしよう”と教える人もいます。
しかし、その動きは行わなくても自転車は跳ね上がります。あくまでも前の章で説明したようにペダルを蹴り込むようにしてその反動を利用しつつ重心移動をすることによって自転車を跳ね上げてください。その方がMTBでライドをするうえでは実用的な技術を身につけられます。
引き上げる動作は必要ないわけですので、極端に言えばペダルにピンがついていなくてもバニーホップはできます」。
ちなみに写真には収めていないが、板垣さんは取材陣の目の前でペダルを外してクランクだけでバニーホップしてみせた……! まさに、ペダルを引っ掛ける必要はないというわけだ。
【STEP②】動作が安定してきたら目標物を置いてやってみる
「上で紹介した一連の動作が安定してできるようになってきたら、今度は何か目標物を置き、その上を越えられるように練習してみましょう。
目標物は、例えばホームセンターで売っている角材など、高さの低いもので構いません。
狙ったポイントで確実にバニーホップできることがライドで実際に技を使ううえで重要なので、このような練習をした方がいいというわけです」。
【STEP③】動作を大きくして高く飛んでみる
「“ザ・バニーホップ”と言いましょうか、大きく高く飛び上がれるようになれば免許皆伝です。
やり方はこれまで教えたことと同じで、特別なことは必要ありません。助走をより速くして、一連の動作を大きく取るだけです。どれだけ高く飛べるか挑戦してみると楽しいですね」。
できるようになりたいぞ! この記事を参考にして取り組んでみてほしい。