自転車通勤安全走行11か条

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この春からロードバイクやクロスバイクでの自転車通勤を始めた人は多いだろう。そこでサイクルスポーツ編集部より、安全な自転車通勤をするための、11のポイントを提唱したい。スポーツバイク初心者で自転車通勤を始めたばかりの人はぜひ参考にしてもらい、既に自転車通勤は慣れているという経験者も今一度確認する意味でぜひ一読願いたい。また、「もちろん知っているし、すでに実践している!」という先輩自転車通勤者の皆さんは、これから始める人たちへの啓蒙に協力をお願いしたい。

【第1条】車道の左側を走行する

自転車は車道の左側を走るのが鉄則だ

車道と歩道の区別がある道路なら、車道の左側の適切な位置を走行しよう。歩道がない道路でも、同じように車道の左側を走行しよう。自転車は道路交通法では軽車両に位置づけられ、車道の左側を走るよう義務付けられているからだ。なお、車両通行帯が設けられている2車線以上の道路なら一番左側の車線を走行できるが、その場合も車線の左側をキープすることが望ましい。

もちろん、単に法律でそう定められているから、というだけではない。車道の左側を走ることで自動車からしっかりと認識され、事故の確率を減らすことにつながるからだ。また、歩行者との事故を起こしてしまうリスクも減らせる。

【第2条】一時停止と信号を守る

信号と一時停止をきちんと守ってる?

警察庁が公表しているデータ(※)によると、自転車と自動車との重大事故の多くが出会い頭の衝突によるものだという。これは、自転車の信号無視と一時不停止によるところが大きいだろう。

当然のことだが、必ず信号と一時停止は守るべし。「まあ大丈夫だろう」という軽い気持ちが事故を生む元となることを肝に命じよう。

※警察庁交通局資料「自転車関連事故に係る分析」(2019年4月25日)

【第3条】後方確認を徹底する

後方確認の徹底

発進するときや路上駐車している車を右から避けるときなど、発進と走行ラインを変えるタイミングでは、必ず後方確認するように徹底しよう。

この確認を怠って急な発進・走行ラインの変更を行うと、後ろを走っている車等との事故の確率が上がってしまう。後方確認を行って、「今発進するor走行ラインを変更するのは危険だな」と判断したら、迷わず安全に停止してから再発進するなど、十分に注意しよう。

後方確認を行うことで、後ろを走る車に自分がきちんと後方に注意を払っていることを伝えたり、自分への注意を喚起する効果もある。

【第4条】すり抜けをしない

こういう場面で、あなたはどうする?

信号待ちなどで車が渋滞していいるとき、できればその左側をすり抜けて行くのはやめた方がいい。焦らず前の車が動き出すまですり抜けせず、安全な場所で待つべきだ。

車の横をすり抜けていくと、例えば急にドアが開いたり、死角から歩行者や別の自転車、あるいはモーターサイクルが飛び出してくる可能性がある。

【第5条】手信号を出す

手信号で相手に意思を伝えよう

曲がる、止まるなど、きちんと毎回手信号を出して車や別の自転車、歩行者に対して自分の意志を明確に伝えよう。

もちろん道路交通法で定められているということもあるが、自分の行動をあらかじめ周囲に伝えることで注意を払ってもらえる効果があり、事故のリスクを下げることができるからだ。

【第6条】適切な車間距離を保つ

どんなときでもすぐ止まれるように

前を走る車、モーターサイクル、自転車の後ろにぴったりとくっついて走るようなことはしていないだろうか。もし、前の車が急ブレーキを掛けたら? そう、どんな状況でも前を走る車・モーターサイクル・自転車と追突しないだけの安全な距離を保つようにしよう。

【第7条】歩行者を最優先する

自分が加害者になるなんて、考えたことはあるだろうか?

自転車通勤では、とかく自分自身が車と事故に遭わないことに意識が集中しがちだ。しかし最もあってはならないのは、自分自身が歩行者と事故を起こしてしまい、加害者になってしまうことだ。

横断歩道を渡る歩行者がいたら必ず停止する、見通しの悪い通りで歩行者が出てこないか注意を払うなど、道路交通上最も守るべき弱者である歩行者を最優先することが大切だ。

なお、自転車は通行が認められている歩道や道路状況からやむを得ない場合に限り、徐行しての歩道通行が認められている。しかし、それはあくまで例外であって、どうしても止むを得ず歩道を通行する場合はすぐ止まれる速度で・歩行者最優先で(必要ならバイクを降りて押すこと)通行しなければならない。

【第8条】ライト・テールランプ・リフレクター類を装着する

ライト・テールランプ・リフクレターは必須装備だ

特に車との事故に遭わないためには、相手から視認されることが最も大切だ。自転車通勤の場合は帰りが夜で暗くなる場合が多いので、相手から視認されるという目的でライト&テールランプを点灯させることが非常に重要だ。もちろん、リフレクターも必ず装備したい。

なお、当然だが道路交通法では自転車のライトとリヤのリフレクター(点灯状態のテールランプでも可)の装備と夜間点灯が義務付けられている。

【第9条】ヘルメット・グローブ(できればアイウェアも)を着用する

万一の転倒や事故の際に自分を守ってくれるヘルメットとグローブ、そして良好な視界を確保し目を守るアイウェア

ここまで事故に遭わない・起こさないことについてメインで説明してきたが、万一の事故や転倒してしまったときに自分を守ってくれる装備も必須だ。

まずはヘルメットとグローブ。グローブは手を地面についてしまったときのけがを軽減する効果だけでなく、汗や雨で手がハンドルから滑ってしまうのを防ぐ効果もある。

さらに、できればアイウェアも着用したい。まぶしさを防いで良好な視界を確保することももちろん大切だが、飛び石や虫などから目を保護する目的でも重要となるからだ。

【第10条】自転車走行に適した服装をする

左はオフィスカジュアルなスタイル。半袖ウェアはパールイズミ・フリージー タウン ジャージ(ネイビー)、パンツは同・テーパード バイカーズ パンツ(モス)。右側はスポーティなスタイル

もちろん「自転車通勤時の服装はこうしろ」という決まりはないが、安全に走るうえで気をつけてほしいことがある。それはできるだけ体にフィットしてばたつきを抑えられるものを選び、バイクの駆動部に引っかかったり車に引っかかったりしないようにすることだ。大事故の元となってしまうかもしれないからだ。

パンツの裾、またシューズのひもは駆動部分に引っかからないように工夫したい。写真はパールイズミ・テーパード バイカーズ パンツで、裾を絞れる機能がついている。

例えばスーツやオフィスカジュアルなスタイルにしても、パンツの裾を絞る(あるいは絞れるものを選ぶ)などし、チェーンリングに引っかかる危険性を防ぐといった工夫をしたい。リュックなどを背負う場合は、ストラップ類をできるだけ短く収納し、車に引っかかってしまう危険性を防ぎたい。

勤務先で着替えることが可能なら、ぴたぴたのサイクルウェアに身を包んでいくのもありだ。

【第11条】新しい生活様式に合わせた行動を取る

①口まわりを覆う ②出かける前に手洗いをする ③アルコールジェル等を携帯する ④帰ってきたら自分も身のまわりのものも洗う

直接安全な走行に関わることではないが、昨今の新型コロナウィルス禍における新しい生活様式が求められる中では重要なことが4つある。

1つ目は通勤ライド中は口まわりを覆い、他者への飛沫感染を防ぐことだ。マスクでもバンダナ等でもいい。ただし、これからの暑い時期は熱中症のリスクもあるので、ソーシャルディスタンス内に人がいない場合は外す工夫もしたい。詳しくはこちらの記事も参照してほしい。

2つ目は出かける前に手洗いをしっかりすることだ。特に暑い時期は走行中に汗を手で拭うために顔を触ってしまうことがあるからだ。

3つ目はアルコールジェル等を携帯することだ。通勤ライド途中でトイレに寄ったり、休憩で何か食べるときに使うためだ。

4つ目は、帰宅後に(もし可能な環境ならば職場到着時にも)家の中のいろいろな物を触る前に、手洗い&アイウェアなどを含めて身につけていたものを全て洗うことだ。できればそのままシャワーを浴びてしまいたい。