ヨネックス・カーボネックスディスク 純国産軽量ディスクロード アサノ試乗します!その29

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ヨネックス・カーボネックスディスク 純国産軽量ディスクロード アサノ試乗します!その29

https://www.cyclesports.jpヨネックスの超軽量レーシングロード「カーボネックス」シリーズにもディスクブレーキモデル仕様が登場した。ディスクブレーキ化に伴ってフレームやフォークの形状が変更になったりスルーアクスル化を果たした。それが走りや乗り心地にどのような影響を与えているのか? リムブレーキモデルと乗り比べてチェックした。

超軽量モデルがディスクブレーキ対応

ヨネックス・カーボネックスディスク 純国産軽量ディスクロード アサノ試乗します!その29

「ヨネックス・カーボネックスディスク」 フレームセット価格/50万円(税抜)

ヨネックス初のロードバイクフレームとして2014年に登場したカーボネックス。このモデルをベースにディスクブレーキ対応モデルとして開発されたのがカーボネックスディスクだ。ベースモデルのリムブレーキ仕様の特徴である軽さとしなやかさを生かしつつ、ディスクブレーキ化によって、雨天時などコンディションを問わず安定した制動力を得られるようになったのが大きな特徴だ。

ディスクブレーキ化に伴って変更されたのは、主にフロントフォークとリヤ三角だ。フロントフォークはディスクブレーキ専用に新たに設計され、ブレード形状はストレートタイプのみとなっている。リヤ三角もディスクブレーキに最適化すべく新しく設計されているが、チェーンステーの断面形状を楕円化して高い振動吸収性と路面追従性、横剛性を高次元で融合するオーバルプレスシャフト理論は継承されている。

ディスクブレーキは、フラットマウントタイプ規格でローター径は140mmに対応。ディスクブレーキ化に伴い、前後とも12mmスルーアクスル仕様となったのも変更点のひとつだ。

フレームに関して、ジオメトリーはリムブレーキタイプのカーボネックスと全く同じ。前三角はリムブレーキ仕様と同じだ。ナノテクノロジーを利用して軽さを保ちながら剛性や強度を確保するX-フラーレンや、ゴムのような弾性と精密な復元性を備えたチタン合金・ゴムメタル、高密度コアなどの素材も同様に使われている。もちろん、設計から製造まで新潟県長岡市の同社新潟生産本部で一貫して行われており、メイド・イン・ジャパンであることも変わらない。

フレームカラーやグラフィックはカーボネックスと共通の4色、フレームサイズもXSからLまでの4サイズを展開する。

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カーボネックスディスクでは、フロントフォークはディスクブレーキ専用のストレートブレードのみとなる。フォークには左肩からフロントブレーキのケーブルやオイルラインが内蔵できるようになっている

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上1-1/8インチ、下1-1/2インチのテーパードヘッドを採用するのはリムブレーキ仕様と共通。ヘッドまわりの剛性の高さは、ディスクブレーキ仕様でも制動時やコーナーリングでの安定性として生きる

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シフトケーブルやリヤブレーキケーブルは、ヘッドチューブ付近からフレームに内蔵されるが、リムブレーキと開口部の位置が変わっている。もちろん電動変速システムにも対応する

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シートチューブとの接合部付近が板状になったモノステーを採用するのはリムブレーキ仕様と共通。強度のマージンをそれほど取らなくてよいため、シートステーの振動吸収性は高く感じる

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BB規格はプレスフィットBB86。シェル幅はワイドだが、BBまわりはペダリング時に適度なしなりが感じられ、バネ感のある走りが楽しめる。これもリムブレーキ仕様同様だ

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横幅がワイドで縦方向に薄いオーバルプレスドシャフト(O.P.S.)を採用するチェーンステー。ディスクブレーキ化にあたり、後輪を保持する部分の幅をワイド化している

ディスクブレーキ化でよりコントロール性能が向上して乗りやすくなった

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ロードバイクのディスクブレーキ化が加速している。エンデュランスロードではすでに多くのモデルがディスクブレーキ化しているし、エアロロードでも2019年モデルで多くのモデルがディスクブレーキ仕様になった。軽さが売りの軽量レーシングロードにもその波は到達しており、すでに多くのモデルがディスクブレーキモデルを併売している。

超軽量モデルとして名をはせているカーボネックスにも、ついにディスクブレーキ仕様が登場した。ディスクブレーキ仕様は、トータル重量で考えるとまだどうしてもリムブレーキ仕様より重くなるし、ディスクブレーキに対応するためにフロントフォークやチェーンステーの強度を高める必要もある。それがカーボネックスの持ち味である軽さやしなやかさを損なうことにはならないのか——。個人的には試乗前にはネガティブな印象しかなかった。

だが、試乗してみると、そんな予想は思い切り覆された。意外に重さを感じないのだ。

ちなみに今回のインプレでは、カーボネックスとカーボネックスディスクを同じ日に乗り比べている。両者を持ち比べてみると、確かにカーボネックスの方が軽い。試乗車のコンポーネントはカーボネックスがデュラエース9000シリーズ、カーボネックスディスクはアルテグラDi2のR8070シリーズだったから、そのことも重量差を強調する方向に感じさせたはずだ。でも、走ると重量差がそれほど気にならないのだ。

加速性能もリムブレーキ仕様と遜色ないし、短い上りでは重量増がそれほど悪影響を及ぼしているとは感じられなかった。むしろ減速時やハイスピードでのコーナーリング、下りでは、リムブレーキ仕様より安定感があり、スピードが乗ったときの安心感は段違いだった。これはブレーキシステム全体がバイクの低い位置に集中することによる低重心化や、ホイールがスルーアクスル仕様になることで足まわりのフレームとの一体感が高まったことによるだろう。

さすがに上りのタイムを競うヒルクライムだとリムブレーキ仕様のカーボネックスに軍配が上がるだろうが、下りも含めたトータルでは、もしかしたらカーボネックスディスクの方が速くなる可能性もあるのではないか。超軽量ロードのディスクブレーキモデルに乗って、ここまで速さを意識させられたのは初めてだ。

カーボネックスのもうひとつの特徴である”しなり”に関しては、ディスクブレーキ化が微妙な変化を与えているように感じた。BBまわりは特に違いを感じないのだが、フォークはよりソリッドになった印象を受けた。カーボネックスはベンドフォーク、カーボネックスディスクはストレートフォークという違いもあったが、ディスクブレーキ仕様の方が路面からの突き上げも若干拾いやすい気がする。もしかしたらストレートフォーク仕様のカーボネックスと比べたらそれほど差がないのかもしれないが……。

一方、後輪側の振動吸収性や接地感は逆に高まっていると感じた。これはおそらくディスクブレーキモデルにはシートステーにブレーキキャリパーがないため、シートステーのしなやかさが増していることが影響していると思われる。路面に少し凹凸があるところで、レースでのアタックを想定して加速してみると、後輪がしっかり地面をとらえてトラクションがかかっているのが分かる。これが加速時にリムブレーキ仕様との重量差を感じさせなかった理由のひとつに違いない。

メーカーサイトには、カーボネックスディスクは「より快適にロングライドを楽しめる」とのキャッチコピーが掲載されている。しかし、個人的にはフレームだけを比較するならカーボネックスのベンドフォーク仕様の方がロングライド向けの快適性を備えているように思える。カーボネックスディスクは、むしろリムブレーキモデルよりロードレース向きのソリッドな乗り味が前面に出たバイクだと感じる。

それでも、カーボネックスディスクも、ロードレースからロングライドまで広い守備範囲を誇るバイクであるのは変わりない。試乗車のように油圧式ディスクブレーキを搭載すれば、軽いレバーの引きでコンディションを問わずに安定した制動力が期待できるというリムブレーキにないメリットも得られる。このメリットはロードレースでもロングライドでも生きてくる。

最後にカーボネックスとカーボネックスディスクの違いは何か?という問いに僕なりの結論を出したい。カーボネックスは登坂性能に優れたオールラウンダー、カーボネックスディスクは特に下りやコーナーでの操縦安定性に優れたオールラウンダー。どちらを選んでも間違いはないが、上りを速く走りたいならカーボネックス、下りやつづら折りのコーナーを気持ちよく走りたいならカーボネックスディスクがオススメだ。

ヨネックス・カーボネックスディスクspec.

フレームセット価格/50万円(税抜)

フレーム/カーボン
フォーク/カーボン
コンポーネント/シマノ・アルテグラR8070
ホイール/シマノ・RS700TL
タイヤ/パナレーサー・レースDエヴォ2 700×25C
カラー/ブルー×グリーン、レッド×ブラック、イエロー×ブラック、グラファイト
サイズ/XXS、XS、S、M

■浅野真則
実業団エリートクラスで走る自転車ライター。ロードレース、エンデューロ、ヒルクライムなど幅広くレースを楽しみ、最近はTTに精力的に取り組んでいる。海外のグランフォンドにも参加経験がある。ロード系の愛車は、キャノンデール・スーパーシックスエボとキャード10、スコット・アディクトの3台。ハンドル位置が低めのレーシングバイクが好き。