フレンチホイールブランド「マヴィック」が、満を持して新作ホイールを発表した。それが「コスミックSLR45ディスク」だ。モデル名に「コスミック」と入ることからもわかるとおり、エアロ系ホイールという位置づけになる。
リムハイトは45mm。外幅は28mm、内幅は19mmだ
リムはNACAプロファイルを持つエアロ形状で、そのハイトはモデル名にあるとおり45mmという、昨今では軽さと空力性能を両立するための定番のハイトをもつ。対応するタイヤはチューブレスレディだ。前作にあたるコスミックプロカーボンSLでは、リムにニップルホールがあり、テープを貼ることでチューブレスレディとして運用していたが、コスミックSLR45ディスクは、ニップルホールがタイヤ側に一切無いので、テープが必要ない。これによるチューブレスシステムの軽量化に加え、ホイール全体でコスミックプロカーボンSL USTディスク(前後セット1530g)から60g軽量化され、1470g(前後セット)に仕上がっている。
副次的なメリットだが、ニップルホールがないので、ニップルが破損した時にスポークがリムテープを突き破ってパンクするというトラブルからも解放される。
よりタイヤの着脱がスムーズになった新型リム
下側が新型リム断面。非常に小さい変更だが、②のマルで囲まれている部分の突起がなくなったことにより、タイヤの着脱がスムーズになった
これまではマヴィックのロードチューブレスレディシステム=ロードUSTを運用するには、マヴィック製のタイヤと組み合わせを推奨していたが、新作では各社のチューブレスレディタイヤに対応したのは、大きなメリットだ。自分の好みのタイヤで運用できるようになるからだ。また、タイヤがはまるリム内側の形状を変更することで、チューブレスレディタイヤの着脱がより簡単になったという。
採用されるスポークもオリジナルのエアロ形状だ。これにより時速40kmで走行した時に出力を2wセーブする効果がある。スポークの組み方は前後で同じ。つまりスペアパーツとして必要なスポークの種類が少なくて済むということだ。先に挙げたタイヤの互換性向上と、このようなメンテナンス性の向上は、ツール・ド・フランスでニュートラルサポートを展開するマヴィックらしい設計思想である。
青色のほうが新型スポークの断面形状だ
ハブは、マヴィック自慢のID360がアップデートされたもの。9度ごとにフリーボディが細かくかみ合い、ペダリングパワーのロスを抑える。旧作ではハブボディ側、スプロケット側にそれぞれ1つずつスプリングがあったが、新作ではそれが1つになり、よりシンプルな構造となっている。
またハブシャフトは12mmスルーアクスルに対応しつつ、シャフト自体の厚みを増やして強度を上げ安定性を向上。
ID360の構造。金色のギアがかみ合うことで動力を伝える
分解方法もシンプルなので、メンテナンス性も高い
これらの改良により、ロードバイクのホイールとして平地も上りも、下りも使いやすいのはもちろん、グラベルロードやパリ~ルーベのような荒れた道での使用までカバーする。ディスクブレーキモデルのみで、タイヤの太さは25C~32Cくらいがいちばん”おいしい”太さだという。もちろん、フレームが許容すれば、それ以上の太さのタイヤも装着可能だ。
今年に入り、マヴィックは経営状態が不安定な状況におかれていたが、現在はBOURRELIER(ブウリエ)グループの傘下に入った。フランス企業で4,500人の従業員を有するDIY事業を展開する同社に入り、ホイールのアフターパーツなどは安定供給される。開発拠点は引き続き、フランス・アヌシーに置かれる。今回プレゼンテーションで製品を紹介してくれたマキシムさんは、前体制からホイールプロダクトの開発責任者を努めてきた人だ(そして、ロードバイクで走っても恐ろしく速い)。今後もマヴィックの新製品に期待していきたい。