ロードレースの歴史、それは黄色いサポートカーと共に

目次

マヴィック動く
  • photo MAVIC/吉田悠太/江里口恭平

今やレースやイベントの現場に欠かせない存在となったこの黄色いクルマ。マヴィックが行うニュートラルサービスの意図を聞く。

マヴィック2020

 

製品開発のため、そしてサイクリストのため

多くの選手をゴールに導いた無償のサポート

マヴィックといえば、その製品と同じくらいに有名なのがレースで見かける黄色いクルマだ。マヴィックカーと呼ばれ親しまれているそれは、ニュートラルサービスのための車両である。

ニュートラルサービスとは、レースで機材トラブルに見舞われた選手に対し、修理や機材提供を行う活動のこと。マヴィックは1973年から主要なレースでこの活動を始め、これまで数多くの選手をトラブルから救ってきた。

「どんなチームでも、どんな機材を使っていても、全ての選手を公平にサポートします。この日本でも96年からサービスを開始し、現在はプロレースのみならず、アマチュアレースやロングライドイベントでもこの活動を行っています」

マヴィックジャパンの村上さんがそう語るように、今やマヴィックカーはアマチュアライダーにとっても欠かせない存在だ。それらの活動は全て無償、ボランティアである。

「なぜそれを長年やっているのかというと、レースの現場で起きるさまざまなトラブルをフィードバックし、製品開発に生かすためです」

この活動を行っていると、下りで破損したカーボンホイールをはじめ、さまざまなトラブル事例が社内に蓄積される。マヴィック製品の堅牢性は、ニュートラルサービスによって鍛えられたものでもあるのだ。

「もう一つの理由は、ライダーをフィニッシュさせることなんです。練習を重ねてきたのに、機材トラブル が原因でゴールできないことほど悲しいことはありませんから」

製品開発のため、サイクリストのため、マヴィックが世界中で行う無償の活動。経営体制が変わっても、マヴィックはこのニュートラルサービスを続けるという。

マヴィック2020

●77年からはツール・ド・フランスにも帯同。もちろん今年のツールでも何台ものマヴィックカーが出動した。ディスクブレーキとリムブレーキが混走する今は機材の選択が大変だという

マヴィック2020

●現在のサポートバイクはヤマハの3輪バイク、ナイケンが導入されている。「スリッピーな山岳コースでも安心して走れるため、スムーズなサポートが可能になりました」(村上さん)

マヴィック2020

●ニュートラルカーとして活躍するスバル・レヴォーグは、レース中の機動力だけでなく、機材を収める広い荷室も魅力だ

マヴィック2020

マヴィック2020

村上嘉之さん:マヴィックジャパンのビジネスマネージャー兼スペシャルサービスコースディレクター。30年以上もマヴィックに携わり、国内のニュートラルサービスを指揮している

 

実際使ってどうなの?メカニックたちのホンネ

最後に、マヴィックに対するショップスタッフたちのホンネを聞いてみたい。「使う」だけでなく、「売る」、そして「整備する」側として、マヴィックの印象とは?

マヴィック2020
マヴィック2020

 

なるしまフレンド神宮店 小畑郁さん

なるしまフレンドのチーフメカニック。
国内トップレベルのホビーレーサーでもある。

マヴィック2020

安心してお勧めできるメーカー

ホイールを語るうえで外せないメーカー。個人的にも手組時代からずっと使っています。さまざまなサポート活動を行っているメーカーなので、もの作りとして安心できるところが美点ですね。売る方としても、安心してお客さんにお薦めできます。今年は狙うべきところを狙ったラインナップになっていますし、ハブだけでなくスポーク一本から見直して「ちゃんとしたいいものを作ろう」という方向になっていると感じます。今後は超軽量ディスクブレーキ用ホイールを期待したいですね。

 

カミハギサイクル代表取締役 上萩泰司さん

1973年に創業したカミハギサイクルの二代目代表。
トライアスロンに熱中している。

マヴィック2020

他社より一歩も二歩も先を行っている

まずはクオリティの高さ。リム・ハブ・スポークを全て自社で開発している数少ないメーカーであり、トータルバランスでは一日の長があると思います。信頼性の高さも魅力です。マヴィックのホイールで大きなトラブルの経験は今までありません。ハブが分解しやすいなど、メンテナンス性がいいこともメリットですね。2021モデルで新しい技術が投入され、特にコスミックのSLRは軽さと剛性の向上が期待できます。技術面でも、他社より一歩も二歩も先を行っているのでは。

 

バイシクルパークO₂ 品田 斉さん

バイシクルパークO₂の代表。
業界歴20年以上のベテランで、資格も多く持つ。

マヴィック2020

性能・整備性・アフターケア、全ての面で安心

アフターケアが充実しており、部品供給も安定しているので、販売後のお客さんの安心感が高い。そこが販売する側としてはすごく大きいですね。私は初代キシリウムの頃からマヴィックのファンですが、MTBホイールを含め、どのモデルも振れにくく、しっかりと剛性もある。メンテナンスもしやすいですし、そういう面を含めて他社より優れていたのではないかと思います。当店では11月14日~ 15日にマヴィックの試乗会を行います。注目の新製品を試せるので、ぜひご来店ください。

 

イワイスポーツサイクル 岩井公一さん

福岡で展開するイワイグループのオーナー。
レース好きで今はツーリングも楽しむ。

マヴィック2020

幅広い試乗用ホイールの用意でユーザーも納得

ロードレースからトライアスロンまで、さまざまなユーザーさんから「ホイールブランドと言えばマヴィック」と指名されるほどに、高いネームバリューを持ったブランドだと常々思っています。また、テスト用としてのレンタルホイールも、最新モデルから細かいラインナップまで数多く用意されているので、実際に試して納得したうえで購入いただくことができます。トラブルがあってもレスポンスが良く柔軟に対応してくれるという点は、安心して取り扱えるブランドだなと思っていますね。

 

*サイスポ・トピックス:コスミック&キシリウムシリーズを一新 MAVIC、動く!