ピナレロ・ドグマがF12へモデルチェンジ
目次
初の電子制御フルサスロード「ドグマ FS」をパリ・ルーべに投入したり、サポートするチーム・スカイのスポンサー名がチーム・イネオスに変更になるなど、近頃話題に事欠かないピナレロ。同社からさらにビッグニュースが発表された。チームスカイがチームイネオスへ移行するのと同時に、新しいフラッグシップモデル「ドグマ F12」を発表したのだ。
F10をさらにブラッシュアップ
ドグマF12は、幾多のレースで勝利を収めたドグマF10を凌ぎ、再びグランツールを制覇するバイクとなるべく開発された。これまで蓄積されたエアロダイナミクスおよび構造力学的な知識や経験を生かし、「F」の称号を与えるにふさわしいバイクとなるようデザインされている。
開発にあたって特に留意されたのは、エアロダイナミクス特性の向上、フレームの軽量化と剛性アップ、最新コンポーネントとの互換性、ピナレロフィーリングの維持、これらがドグマF12の開発コンセプトだ。発表されるニューモデルで気になる点であるブレーキシステムについては、ディスクブレーキとリムブレーキに対応した2モデルがある。
フレーム使用される主な材料は、東レ Torayca® T1100 1K。このカーボンファイバーを用いることは、破損を防ぐために衝撃強度を高めるのに役立ち、最高級の炭素繊維(特に高強度)を使用する事で、強度を変えずに軽量フレームを得ることができました。 T1100カーボンは、その比類のない強度を有効に活用するため、より高いストレスのかかるエリアに使用されている。
外部に露出している各種ケーブルの内装化を進め、ケーブルハウジングが受ける空気抵抗の85%を軽減。
新しくドグマF12のために開発されたMOST Talon Ultraインテグレーテッドハンドルバーは、従来のTalon Aeroと比較して空気抵抗を5%軽減している。そしてTalon Ultraと組み合わせるスプリット構造のエアロヘッドセットも新たにデザインされた。ディスクブレーキモデルでは、ワイヤ類がフレームにフル内蔵される設計になっている。
ヘッドセット・スペーサーの互換性
ハンドルバースタックの変更はレベルを問わずすべてのライダーに共通して必要だ。 シーズン中にポストを上げ下げする場合もある。ケーブルがハンドルバーとヘッドセットに統合されている場合、トラディショナルな自転車のように簡単な作業ではなくなります。 ほとんどの場合、ハンドルバーのケーブル全体を取り外し、追加のスペーサーを取り出すか追加するためにハンドルバー全体を取り外す必要があります。
PINARELLO LABは、トップキャップとハンドルバーステムの間に、簡単に追加や取り外しができるスペシャルなスプリット・スペーサーを開発。ハンドルバーからケーブルを分解せずにステアリングチューブに沿ってステムを持ち上げ、分割したスペーサーを目的の位置に追加(または取り外し)が可能だ。
スペーサーは5mmと10mmが用意されており、組み合わせでの最大スタックは40mm。トップキャップはロー(9mm)ミディアム(19mm)ハイ(29mm)がオプションとして用意されている。
※F12のスプリット・スペーサーは1”1/2アッパーベアリングに適合しなければならないのでサイズが大きく、ハンドルバーの上側に使用することはできない。 上側にスペーサーを積む場合はF10に使用するエアロスペーサーを使用する必要がある。
DOGMA F12およびF12ディスク用に特別に開発された新しいハンドルバー:すべての「Talon Ultra」は、ケーブル配線の統合によるエアロダイナミクス性能の向上だけでなく、以前の「Talon Aero」と比較して構造上の改善も行われています。ケーブルを空気の流れから隠し、完全にバーの内側に配線する必要があるため、バーの断面を再設計しました。
「Talon Aero」では、ケーブルはハンドルの横バー形状の下に隠されていたので、横断面は「Cセクション」と呼ばれていました。 新しい「Talon Ultra」では、断面二次モーメントが大きくなるように、断面は丸くしてケーブルを完全に内部に配線する必要がありました。断面の曲げ断面二次モーメントの値は「Talon Aero」と近いですが、断面の高さを12%節約する事により、前面投影面積を縮小でき空力特性を改善することができました。
さらに、ケーブル配線を内部に通す必要があるため、ハンドルバーの内面も外面と同じ品質レベルを保つ必要がある。 これは、内側に成形のバリや余分な樹脂を残してはいけないということだ。 このようにケーブルを内装するための処理を施すことにより、同時により軽量で高品質のカーボン製品に仕上がる。
「Talon Ultra」にブレーキレバー位置で500Nの荷重をかけて「Talon Aero」との比較剛性試験を行ったところ、バー/ステムサイズ44/140で、剛性のアップは8.77%、重量はー40gr、つまり10%減少した。
フロントフォークも空力学的に非常に重要な部分であり、またピナレロフィーリングを生み出す部分でもあるので、非常に注意深く見直しが検討されている。新しいF12フロントフォークは、「ONDA」の形状を維持したまま空気抵抗を軽減するため側面が拡大されている。そして断面形状も見直された結果、F10とF12のフロントフォークをCFD解析で比較した結果、F12フロントフォークは15.7%の空気抵抗を軽減。
ドグマF12ディスクのフォークデザインは、FEM解析で得た36パターン以上のサンプルで試験した結果、重量を増やさず、空力的ペナルティを伴わずに、ねじれを減らす最良のフォーク形状を見つました。この新しいフォークデザインは、以前のものと比較して40%以上もねじれ効果を減らすことを可能にしました。
リムブレーキ仕様では、従来より効果的で強力なブレーキシステムとして「ダイレクトマウント」を採用、ブレーキ台座を可能な限りモノステイ/フォークヘッドに近づけることにより、フレーム剛性を高め、タイヤクリアランスも十分に確保している。従来のピボットシステムと比較して、ダイレクトマウントバージョンでは12.5%(ドライ状態)から25%(ウェット状態)もの制動力が向上。
構造デザイン
ダウンチューブ、ヘッドチューブ、ボトムブラケットなど、あらゆる箇所で空気抵抗を削減する試みを取り入れバイク単体で7.3%の空気抵抗を削減することに成功し、ドグマF12とドグマF10で時速40kmの同条件での走行を比較すると、ドグマF12の方がパワーを8wセーブして走行できる。
チューブの断面と形状は、剛性と軽量性を確保するために非常に重要な要素です。 同時に、空気力学にも大きな影響を与える。 それらの性能をさらに改善するため「アシンメトリック」デザインの可能性を追求。特にボトムブラケット~チェーンステイのエリアにおいて、パワー伝達効率を改善。F10と比較して剛性が10%向上している。ブレーキ仕様の違いによる構造変化も大きな検討課題だった。DOGMA F12はディスクブレーキ、リムブレーキ、それぞれのシステムに適した構造を同時に開発しているという。
専用ハンドル・ステムのほか、ノーマルステムにも対応
あらゆるタイプのライダーに適合させるには、汎用性が非常に重要な要素となります。最新コンポーネントへの対応はもちろん、従来のトラディショナルなコンポーネントへの対応も必要とピナレロは考えている。
ドグマF12のE-Linkシステムは、電子制御グループセットのシマノDi2、スラムAXS、カンパニョーロ EPS、メカニカル変速システムのすべてに対応。また、Talon Ultraとの組み合わせが最良だが、ポジションなどン問題で従来のハンドルステムを使用する場合に備えて、トラディショナルステム用のステムアダプターも開発した。
高度にケーブル配線を統合したことにより、メカニカルグループセットではフロントディレイラーのケーブルアジャスターをハンドルバーの下に設置することができません。 そのため、専用のアジャスターがE-Linkスロットに配置されるように設計されており、アレンキー調整ネジを通してフロントディレイラーのケーブルを簡単に調整することができます。 このシステムは、2つの傾斜ウスの相対的な動きに基づいて、一般的に流通しているすべての外部フロントディレーラーアジャスタよりも正確に、約4mmのアジャスト量を確保しています。
ジオメトリー
DOGMA F12ディスクとDOGMA F12は、同じサイズで同じ形状。 その形状は、ドグマF10のハンドリングおよび反応性の良さを引き継いでいます。 唯一の違いは、よりスポーティーなライダーのニーズを満たすためにサイズ53以上ではヘッドチューブが5mm短くされている点だ。
ドグマF12ディスクおよびドグマF12では、ヘッドセット・トップキャップはフレームと統合されているため、リーチおよびスタックの寸法はロートップキャップ(9mm)の上側で計算されている。
ロードバイクの世界では、徐々にタイヤの幅が広くなっています。 現在はプロライダーが使用する標準サイズは25mm幅。しかし、特に長距離のためにより快適性が求められるならば、28mmタイヤをロードバイクに装着することも珍しくない。 そのためドグマF12とF12ディスクは28mmタイヤも装着できるクリアランスで設計されている。
実際には、タイヤとフレームの間に4mmのスペースを確保するよう指定するISO 4210規格を考慮しているため、タイヤのクリアランスは37,5 mmです。 いくつかのタイヤをいくつかのリムと組み合わせて分析すると、タイヤの「28mm」という表示は単なる指標で、タイヤとリムとの組み合わせによっては、正確なタイヤ外径を示していない場合があります。実際には、28mmと表示するタイヤは28~29,5mmまでを許容範囲としている。
こうしたタイヤが持つサイズの変化が、フレームが37,5mmのクリアランスで設計されている理由です。 この設計によりDOGMA F12フレームがエアロダイナミクス効果に優れた30mm幅を持つすべてのホィールと互換性があることを可能にしました。
スペック
DOGMA F12 DISK
Carbon Torayca T1100 1K Dream Carbon with Nanoalloy Technology
Asymmetric Frame
Fork ONDA F12 with ForkFlap™
AICR™ All Internal Cable Routing
E-Link™
Drop in Bearing System 1” 1/2 – 1”1/2
Italian thread BB
Seatclamp TwinForce
3XAir™ two positions available for the second bottle
FlatBack Profile
UCI Approved
RAD SYSTEM Disk brake
Front Axle 100x12mm Shimano®
Rear Axle 142x12mm Shimano®
Disk Flat Mount max 160mm
Max Tyre 700x28mm
Weight: 840g; (塗装前)
DOGMA F12
Carbon Torayca T1100 1K Dream Carbon with Nanoalloy Technology
Asymmetric Frame
Fork ONDA F12 with ForkFlap™
AICR™ All Internal Cable Routing
E-Link™
Drop in Bearing System 1” 1/2 – 1”1/2
Italian thread BB
Seatclamp TwinForce
3XAir™ two positions available for the second bottle
FlatBack Profile
Direct Mount Brake system
UCI Approved
Max Tyre 700x28mm
Weight: 820g; (塗装前)
希望小売価格(税抜)
DOGMA F12 DISK フレームセット 73万円
DOGMA F12 フレームセット 70万円
DOGMA F12 DISK D/A Di2 完成車 137万円
DOGMA F12 D/A Di2 完成車 130万円
※フレームセットにはシートポストが含まれます。
※MOST Talon Ultra インテグレーテッドハンドルは別売りです。価格は後日発表となります。
入荷は6月末頃より完成車先行で順次入荷予定
初便入荷予定カラー
F12 完成車 / URANUS Black/Red、BOB
F12 DISK 完成車 / URANUS Black/Red
F12 & F12 DISK フレームセット / URANUS Black/Red、BOB
※チームイネオスやGALAXY BLUEなどは今後ラインナップに追加される予定
Pinarello DOGMA F12_Teaser Froome_v06_tx to TI from Pinarello on Vimeo.