フィランテSLR登場! ウィリエール トリエスティーナのエアロロードがフルモデルチェンジ
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イタリアンマインドをもちつつも、堅実な設計のモデルを生み出す ウィリエール トリエスティーナ から、今年の新作「フィランテSLR」が発表された。
エアロロード4年越しのフルモデルチェンジ
フィランテSLRは、イタリア語で飛行機雲を意味する単語。そこから想起されるように、エアロ性能を強化した新作。かつては、新素材や新規格の採用を積極的に行なっていた ウィリエール トリエスティーナ だが、近年は落ち着きを見せている。そのかわり堅実なフレーム設計、メンテナンス性とトレンドを両立させているところが魅力だ。派手さはないものの、長く付き合える。
ウィリエール トリエスティーナのエアロロードといえば、2016年にチェント10エアーが登場し、それを高剛性化したチェント10プロが2018年に発表となった。この時はフレーム形状に大きな変更はなかったので、フルモデルチェンジは久しぶり。
フィランテSLR最大の特徴は、タイヤとフレームのクリアランスの大きさだ。そこを通過する空気の流れをどう整えるかは、空気抵抗に影響が大きい部分。ここのスペースを大きくすることで、積極的に空気を流して抵抗を抑えている。ひとつ前のエアロロード「チェント10プロ」と比較して7mmも拡大されている。そして、使用するカーボン素材を減らし成形時の空隙もより少なくなるよう製造した。フレーム重量は870g、フォークは360gで、リムブレーキモデルのチェント10プロより110g軽量化されている。
ケーブル類はすべてフレームに内蔵される。フォークコラムは、チェント10プロではD型断面だったものを、真円に変更している。D型断面だった理由としては、コラム径の中にワイヤも通すルートを採用していたから。それをフィランテSLRではベアリングの内径を拡大することで真円コラムの外周部にワイヤを通すスペースを得た。作業性の向上とコラムスペーサーの調整幅を確保。ただし、機械式変速には非対応となっている。
フィランテSLRには同時に開発されたステム一体ハンドル「フィランテバー」がある。ステム長がやや特殊で88mmから140mmまで13mm刻みで5サイズを展開する。ただ、日本人の体型において人気のあるステム長100mm、ハンドル幅400mmというサイズがない(ステム長101mm、ハンドル幅420mmになってしまう)ということで、国内代理店は2019年に発表された軽量モデル「ゼロSLR」と同時に登場した「ゼロバー」が標準で選択できるようにしている。ちなみにフィランテバーの方が50gから60g軽量。反面、ステムのトップキャップがエアロ形状の専用品ゆえ、コラムを残したい場合、固定時に不格好になってしまう。ポジションがしっかりと出ている人向けだ。
インプレッション
フィランテSLR試乗は冷たい秋雨が降る、やや悪いコンディションで行った。各社のロードレースでの使用を想定したトップレンジと肩を並べるべく、かなりストイックなフレームに仕上がっており、動きはとても俊敏で隙をなくそうという方向性を感じる。ゆえに荒れている路面ではライダーは神経質になる。特にフォークが、がっちりと横方向に踏ん張りを利かせている。ダンシングでバイクを振ったときにもリズムが独特で、バイクを御するまで時間が必要だった。衝撃吸収性も控えめ。日本向け完成車にはマヴィックのホイールが採用されているが、もう少ししなりが強いシマノ・WH-RS770と交換して走ったときが一番フィーリングがよかった。ハンドルバーを日本人向けのモノにあえて変更して組むところには、日本の代理店の気概を感じる。サーキットで耐久レースを目標にしているライダーにお薦めしたい。
FILANTE SLR
フレームセット価格:59万円(税抜)
シマノ・デュラエースDi2完成車価格:120万円(税抜)
シマノ・アルテグラDi2完成車価格:84万円(税抜き)
サイズ:XS、S、M、L、XL
カラー:レッド、マットブラック×レッド