強豪ホビーレーサー・中村俊介の秘密に迫る〜オレのポジション〜
目次
仕事をしながら忙しい時間の合間を縫ってトレーニングし、プロ顔負けの実力を発揮するレーサー達がいる。人は、彼らを”強豪ホビーレーサー”と呼ぶ。そんな彼らの体を解剖し、そのポジショニングの秘訣やトレーニング・コンディショニングの秘訣を紹介する連載の第2弾。今回は”2018乗鞍”の覇者、トップヒルクライマーの中村俊介さんだ。
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ストーリー 〜”2018乗鞍”チャンピオンの注目クライマー〜
中村さんは1987年生まれ、名古屋市在住のホビーレーサーだ。40代以上の選手が輝かしい成績を発揮するのが珍しくないホビーレース界では、若手の部類に入る。所属チームはSEKIYA。
彼はいわゆるヒルクライマーだ。ヒルクライムレースの最高峰と言われる「マウンテンサイクリング in 乗鞍 チャンピオンクラス」の2018年大会を、長らく王者に君臨していた森本誠さんに勝ち、見事優勝したことで注目を集めた。その他にも各地の主要ヒルクライムレースで勝ちまくっており、今最も注目を集めるヒルクライマーの一人と言える。
フィジカル 〜まさにクライマー体型〜
彼の身体的特徴をまずは見ていこう。細身で身長は高め。パワーウェイトレシオは体重の約5.3倍と、まさしくその体はヒルクライマーそのものだ。
身長:175cm
体重:56kg(ベスト時)
FTP:約300W
マックス出力:約900W
脚質:クライマー
「実は体が硬めだったり、左右差があったり(後述)と、いろいろと問題もあるんです。股関節の硬さについては、某プロコーチにも指摘されたことが。そうしたことも含めて、日々進化していくのを楽しんでいます」。と中村さん。その前向きな姿勢が強さの秘訣かもしれない。
フォーム 〜平地巡航時の前傾は深い〜
ヒルクライマーとはいえ、平地を走るときの前傾は深い。肘を深く曲げていること以外に、背中の中央部分(胸椎と呼ばれる部分)も盛り上がってやや曲がっているように見えることに特徴がある。
「フォームは上りでも平地でもさほど変えません。ロードレースにも対応したいからです。前乗りもやりませんね。背中がちょっと曲がるようになっているのは、直したいとは思っているんです」とコメント。
特徴 〜シッティングをベースとした超級の登坂力〜
何と言っても彼の武器はその登坂力だ。
「シッティングを基本として登っていくのが私のスタイルです。ダンシングも織り交ぜますが、あくまで〝武器となるシッティングのために脚をためる〟ために行います」。
平地よりは前傾度合いが弱まるが、ブラケットを持ち平地を走るのと同じ雰囲気で登っていくのに特徴があるように思われた。
ダンシングも拝見すると、写真で見て分かるほどに左側が大きく傾く。よく見ると右肩の方が常に高く上がっているようだ。
「おっしゃるとおりで、左右差が大きいんです。繰り返しますが、こうしたことも含めて改善していくことを楽しんでいきたいんです」と、笑顔で語る。
バイク 〜完成車重量は5.6kgで超軽量!〜
続いて、機材選びとそのセッティングについて見ていこう。
●セッティング系のデータ
サドル高:708mm
サドル後退幅:約50mm
ハンドル-サドル落差:約100mm
クランク長:170mm
ステム長:90mm
ハンドル幅:400mm(芯-芯)
ギヤ:フロント50-36T/リヤ11-28T
タイヤ幅:22mm(前後とも)
空気圧:7.8気圧(前後とも)
●スペック
フレームセット:トレック・エモンダSLR(ベイパーコート)
メインコンポ:シマノ・デュラエースR9150 Di2
ホイール:マヴィック・コスミックカーボンアルティメイト(チューブラー)
タイヤ:コンチネンタル・ポディウムTT 28″×22mm
ハンドル&ステム:ボントレガー・XXXインテグレーテッドロードハンドルバーステム
サドル:セライタリア・SLRキットカルボニオフロー
シートポスト:トレック・シートマスト
ペダル:スピードプレイ・ナノグラムゼロ(特別仕様)
パワーメーター:ステージズ・ステージズパワーメーターデュラエース9100
サイクルコンピューター:ガーミン・エッジ810J
ハンドル-サドル落差は大きいが、一見して体型に合わせてオーソドックスにまとめられていることが分かる。とはいえ、細部を見るとヒルクライムを想定して軽量化が随所で図られている。
「極端な軽量パーツには手を出さず、全体のバランスを大切にしていますが、軽さにはこだわっています。こちらのエモンダはヒルクライム用で、同じポジションで別でロードレース用のバイクも持っています」と中村さん。
“乗鞍”のときだけは、ここからさらに前輪を軽くて空力に優れるコリマに変更する工夫を凝らしているという。
トレーニング 〜平日は2日のみ。体幹トレーニングも実施〜
どんなトレーニングをこなしているのか?
「平日は火曜日・木曜日の2日だけトレーニングします。その間に、体幹トレーニングも組みわせています。
土曜日は峠道を含む高強度練習、日曜日は長距離で低めのゾーンで乗り込みます」。
こう聞くと、意外と量が少ないように思える。もちろん一般サイクリストに比べれば量は多いが。限られた時間で工夫をこらし、結果を出していることが伺える。
日常生活 〜残業を減らす努力を〜
中村さんは会社員で、まさにフルタイムワーカー。通勤時間は片道1時間で、電車移動である。残業もたまにある。潤沢にトレーニング時間が取れるわけなじゃない。
「とにかくだらだら仕事をしないようにして、残業時間を減らす努力をしています。前は忙しい時期もあったんですが、最近は改善されてきて、割と自転車の時間は確保しやすくなってきました。
どうするればより良くなるか? 速くなるためにどうしたらいいか? と考える習慣が、仕事や自転車のトレーニングの効率化を図るうえで双方にプラスになっているのではないかなと感じます」。
コンディショニング 〜継続は力なり〜
コンディショニングで実践していることは?
「体は一日では作られないので、体のケアを毎日継続することを心掛けています。これを原則にして、体をほぐしたりするケアと栄養面でのケアを行っています。
体をほぐすことについては、トレーニング後とお風呂上りに軽くストレッチをします。平日も、会社での昼休みにはストレッチをするようにしていますね。短時間でも毎日積み重ねると違ってくると思います。
栄養面については、プロテインなども併用はしますが、基本は毎日の食事から必要な栄養を取ることを心掛けます。レース前の体重調整については、食べる量を多少調整はしますが極端な食事制限をしません。どうしても食べたくなったら少しだけ食べるなどして、なるべくストレスをためないようにしています。 結果的に暴飲暴食をしないで済むので、体重もあまり増減しにくいですね。
栄養面のケアについて、もう一つ心掛けているのはサプリメントの活用です。最近気に入って使っているのはアミノバイタル®シリーズで、中でも「アミノバイタル®GOLD」が好きです。トレーニングをした日の就寝前に飲むようにしていて、ハードなことをしたときはトレーニング直後に飲みます。
正直、飲み始めた頃は”翌朝の体が軽い気がする?”程度の実感だったのですが、飲み続けるうちに効果がはっきりと実感できてきて、飲んだ翌朝のコンディションがかなり違ってくると感じています。疲れていても飲みやすい味も良いポイントです」。
中村さんも使っている「アミノバイタル® GOLD」
最後に、中村さんも気に入って使っているという味の素・アミノバイタル®シリーズの「アミノバイタル® GOLD」を紹介しよう。顆粒タイプでさっと飲みやすく、コンパクトなのでジャージのポケットにも忍ばせやすい。
「アミノバイタル® GOLD」
ロイシン高配合BCAAなど、必須アミノ酸4000mg配合の最先端スポーツサプリメント。顆粒タイプで携行に便利で、トレーニング後やレース後サッと取り出して飲みやすい。
他にゼリードリンクタイプの「アミノバイタル® GOLD」ゼリードリンクもあり、エネルギー補給も兼ねられる。皆さんもぜひ使ってみてほしい。
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