藍野美穂の「オトコとは違う」スポーツサイクル乗り方ガイドvol.1 インナーウエアはどうしてる?
目次
通勤ライダーからガールズケイリンの選手になり、引退後は女性サイクリストの悩みを解決している藍野美穂さん。
より多くの女性がスポーツサイクルを楽しめるよう情報を発信すべく、この連載をスタートした。
藍野美穂プロフィール
年齢 29歳
身長 161cm
体重 50kg
肺活量 3700cc
2012年にガールズケイリン第一期生としてデビューした元選手。2016年に引退したが、フリーランスで競輪場のアナウンサーをするなど自転車界で活動中。小学校ではバトミントン、中学校では陸上、高校ではダンスと、カラダを動かすのが好き!
街乗り女子の悩みは、プロ選手になって顕著に!
私が自転車に乗りはじめたきっかけは10年前。会社員で節約と電車のない時間帯に街に出たいと思ったから。そうしたら一気に視界が変わったのです。
風を切る音が心地よく、街で出会うサイクリストたちとの交流も自転車の楽しさ。同時に男の子たちと走ると彼らにはわからない“悩みや痛み”を覚えました。街乗りをしながら男女の乗り方や考え方に違和感を持ちつつも、それが明確になったのは第一期ガールズケイリンのプロ競輪選手となりロードバイクやトラックレーサーに乗るのが仕事になってからです。
私は適正試験合格組。いわゆるアスリートじゃなかったので、人一倍の努力が必要でした。練習につぐ練習。ガールズケイリンの選手はわずか数秒のスプリント勝負のために、半端でない練習量をこなします。だから、いろんな痛みや悩みも半端じゃありません。
きっと趣味で走っている女性サイクリストも多くの人が、女性特有の悩みや痛みで悩んだりしていると思います。サドルとお尻の関係で生じる痛みがなければ(他にもありますが)、サイクリングで行動範囲が広がるから山へ行こう、いつもより距離を乗ってみようという気にもなり、視野をより広げるきっかけにもなると思うのに…..。
プロ選手となり深刻な痛みの当事者になって、いろいろなサイトを調べたり選手仲間に聞きまわっても解決策はなくて、ただただ悩みました。でも職業となれば「我慢」「根性」「無理してでも」とのキモチになるし、ケガや体調不良も、さまざまな痛さの悩みは乗り越えなければいけません。重症になると安静や手術。そして精神的にもツラかった。そうなると自転車が嫌いになり、乗ること自体が嫌になるほどでした。
あまりの痛さに心身ともに悲鳴をあげて、悩みと向き合って探した「解決策」を公開します。私の2回にわたる記事にどうぞお付きあいください!
街乗り時代の服装
街乗りサイクリストのときは、まず服装に悩まされました。前述のように本格的に乗る以前は「サイクルジャージ」に抵抗がありました。特にカラダのラインが露になるボトムス。トップスはTシャツカットソー、パーカーと普段のものを活用していました。
ボトムスは男性カジュアルウエアを自転車乗り用に工夫されたデザインの製品もあるのに、女性物はないのですから、一般の服を工夫するしかありません。困ったのは縫い目です。デニムなどの硬いボトムスの縫い目は、サドルをまたぐときに繊細な部分にあたり擦り傷などの原因になりました。だから夏場はTシャツに使われるような薄手のコットンタイプのボトムスやタイトなスカートにレギンスの組み合わせ。冬場はスエット。デニムのときは生理用ナプキンなどを当てていたのですが、結局これでも距離が50kmも走るような場合は股擦れ。
最終的には無理していた前傾姿勢(見た目がかっこいいし理想的)を諦めて、カラダにストレスがないセッティングとライディングフォームをたくさん試して、行き着いたのは自分に合うサドル選び。東京サンエスのディズナ・アキレスサドルで悩みは減り、おかげで「痛くなりづらい服の選択肢」も増えました。
それでも距離を乗れば痛くなりました。そんなときのためにレーサーパンツを持ってはいたけれど抵抗がありました。だから都内のカフェに入ったり買い物したいとき、スカートやキュロット、チノパンの中に履いているのはメッセンジャー女子や仲間から教えていただいたアンダーウエアです。
アンダーウエアの工夫
トップスは一般的なファッション用だとデザインのレースが擦れて、かゆくなったりフックが痛くなります。何よりお気に入りのデザインは汗ですぐに色あせたり、形が悪くなったので<普段も使えるけどサイクリングでも活用できる>ものを探して使いました。普段運動している人なら手持ちのスポーツ用ブラジャーでいいと思います。
私のアスリート系友人は、肩甲骨の動きを大事にしているためスポーツブラジャーでは、動きを邪魔しないということで『プーマ インパクト』がオススメらしい。ただ、私は胸が締め付けられるのが苦手なので比較的ルーズなものを好んで着用します。
『ユニクロ・ブラキャミソール』や『同タンクトップ』は、バストカップがタンクトップに直接付いているので着心地も楽だし汗も吸収してくれます。また『同ワイヤレスブラ』も着心地が楽なのでヘビーローテーションしています。あとは、真夏は透けるのもファッション!のノリで水着も愛用します(笑)。
ショーツはヒップハンガータイプ、ビキニタイプ、タンガタイプなど形を問わず使用してみましたが、いずれも距離20kmくらい乗ればもう、夏場は汗のムレと縫い目部分のスレに悩まされました! そこで、私が競輪学校に入校してからで出会ったお気に入りアイテムをご紹介! 縫い目のない下着 “シームレスショーツ”は秀逸にして万能です!
普段のボトムスでもシームレスショーツなら股擦れが少なく、私自身レーサーパンツを履くときもショーツを履くからこれでなくてはダメ。本来は洋服の上からショーツラインが出ないようにとか、部屋着用などに発売されているシームレスショーツですが、自転車を乗るときもオススメ!
いろいろなメーカーから発売されています。『ユニクロ・シームレスショーツ』、『ワコール・ゴコチ スタンダードショーツ』、『トリンプ・スロギーシームレスショーツ』etc…..。シームレスショーツは競輪女子でも愛用してレースに出ている人もいます。
ちなみに私も競輪はレース時間が短いので、ブラジャーもシームレスシリーズを着用していました。理由は楽だから♪ ただ、シームレスシリーズの長時間着用はオススメしません。なぜなら、長い時間走る場合、胸がコンパクトで揺れなければ問題ありませんが、あまりにもホールド感がないものは、胸が揺れて邪魔になって安定感がありません。また、汗でより緩く感じてしまうことがあります。胸が大きい人は、シームレスでもホールド感(胸とアンダーバストがしっかりフィット)するものを選ぶべきで、またはスポーツブラなどでしっかりサポートする方が快適です。
ガールズケイリン時代のこだわりアンダーウエア
ビギナー女子でも少し距離を乗れるようになると、下着だけでなくトップスにもこだわりが出てくるもの。普段着でもサイクルジャージでも、インナーを着る機会が増えます。そんなときは汗を吸収し、着心地が良いものが絶対条件。
スポーツ用品だと『ファイントラックのスキンメッシュ』、普段も使えるとなると『ユニクロのエアリズムタンクトップやキャミソール』がオススメ。ほかにもいろんなメーカーから吸汗性がいいインナーを出ているので、デザインや機能性で選んでください。
コンプレッション系ウエアの機能タイツは、運動時の疲労防止やヒザのサポートとして長距離走行には重宝します。段階的に圧が変化して、足首からふくらはぎ、心臓へと血液を流れやすくするので、疲労物質(以前は乳酸と言われた)が分散されます。『スキンズ』や『ワコールのCW-X』がオススメ。私もCW-Xはレースのウォーミングアップをするときや、距離を乗るとき、脚がむくんでいるときは愛用しています。
また、片脚ずつ分かれているものは靴下のように使えるのでレーサーパンツを履いても重ね着にならず、股部分の縫い目もがないから擦れて痛くなる心配がありません。
次回は女の子だけの秘密、生理の話題です。
ユニクロ
エアリズムタンクトップ
税抜価格:990円
エアリズムブラキャミソール
税抜価格:1990円
ワイヤレスブラ(ビューティーライト)
税抜価格:1990円
エアリズムシームレスブラ
税抜価格:1990円
ウルトラシームレスショーツ(ヒップハンガー)
税抜価格:590円
●問:ユニクロカスタマーセンター 0120・090・296
プーマ
フォーエバー グラフィック ブラトップ
税抜価格:4500円
●問:プーマ お客様サービス 0120・125・150
ファイントラック
スキンメッシュノースリーブ
税抜価格:3500円
●問:ファイントラック 0120・080・375
スキンズ
2017年シーズン限定カラーBOT
税抜価格:1万5000円
●問:デサント 0120・46・0310
CW-X
ジェネレーターモデルレボリューションタイプ
税抜価格:1万9000円
●問:ワコールお客様センター 0120・307・056