スラム・ライバルeタップAXS リヤ12速無線電動コンポがミドルグレードに
目次
スラムから「ライバルeタップAXS」が登場。レッド/フォースeタップAXSと同じロード用リヤ12速の無線電動コンポーネントが、より手に入れやすい価格帯まで広がった。
レバー/ブレーキキャリパー
レバーは、レッド/フォースeタップAXSと形状が変わっている。グリップ部分の周長が、レッド/フォースeタップAXSでは13.5cmだったものが13cmになり、コンパクトになって握りやすくなった。また、ブレーキレバーまでの距離も短くなって指が届きやすくなっている。一方で、グリップ部分を細くするために、レバーの遊びを調整するコンタクトポイントアジャストメントと、クリックスやブリップスといったサテライトスイッチを追加するための専用ポートはなくなっている。
ブレーキキャリパーの形状は、レッド/フォースeタップAXSの第2世代と同じ最大クリアランス2.8mmのツーピース構造だ。ブレーキパッドもバックプレートがスチールタイプのオーガニックパッドが標準装備されている。しかし、ブリーディングエッジは非搭載で、注射器を接続する際にはねじで固定する。
RIVAL eTAP AXS HRD SHIFT-BRAKE SYSTEM
価格:2万9700円(片側)
重量:845g
リヤディレーラー
リヤディレーラーの形状はフォースeタップAXSとほぼ同じ。レッド/フォースと異なり、最大36Tまでのミディアムケージのみのラインナップだ。オービット油圧ダンパーも非搭載だが、スプリングクラッチを採用し、チェーンが暴れるような動きを抑制する。
RIVAL eTAP AXS REAR DERAILLEUR
価格:3万8060円
サイズ:ミディアム
重量:366g
※バッテリーは付属しない
クランクセット
チェーンリングの歯数構成は5種類用意されている。2×の48/35、46/33、43/30T、1×の46、40Tだ。1×のクランクセットはダイレクトマウントでクランクとスパイダー部分が分離でき、2×はダイレクトマウントではなくスパイダーとチェーンリング一体型。また、歯数によってBCDが変わり、48/35Tと46/33Tは107で、43/30Tは94だ。スピンドルの長さも異なり、48/35Tと46/33Tはノーマルスピンドルで、43/30Tと1×のタイプはワイドスピンドルを採用している。ワイドスピンドルはチェーンラインが外側に広げられるので、より太い45mmまでのタイヤを履かせることができる。クランク長は167.5mmがなくなり新たに160mmがラインナップされる。
RIVAL CRANKSET
価格:1万7600円
サイズ:160mm、165mm、170mm、172.5mm、175mm
バリエーション:46/33T、48/35T
重量:844g
RIVAL 43/30T WIDE CRANK SET
価格:1万7600円
サイズ:160mm、165mm、170mm、172.5mm、175mm
バリエーション:43/30T
重量:822g
RIVAL 1 WIDE CRANK SET
価格:1万7600円
サイズ:160mm、165mm、170mm、172.5mm、175mm
バリエーション:40、46T
重量:703g
フロントディレーラー
上記のクランクセットのスピンドルの長さによって専用のフロントディレーラーがそれぞれ必要になる。ノーマルスピンドルにはノーマルのフロントディレーラー、ワイドにはワイドが対応する。
RIVAL eTAP AXS FRONT DERAILLEUR
価格:2万6070円
重量:180g
RIVAL eTAP AXS WIDE FRONT DERAILLEUR
価格:2万6070円
重量:182g
カセット
カセットは10-30Tと10-36Tの2種類がラインナップされる。特に、10-30Tはレッド/フォースにはなく、これをレッド/フォースのグループセットに組み込むこともできる。カセットの外観や構造はフォースeタップAXSのものとほとんど同じ。トップ側4枚が一体成型されていて、それ以外のギヤはピンで固定するフルピン構造になっている。一方で、レッド/フォースのカセットにはステルスリングというエラストマーがギヤ1枚1枚の間に入っているが、ライバルではロー側の一番大きな歯と次の歯の間にだけ入っている。ステルスリングは振動や音鳴りを防ぐためのものなので、ライバルのカセットはフォースのものよりも若干音鳴りが大きくなることが予想されるという。
RIVAL XG-1250 CASSETTE
価格:1万6940円
バリエーション:10-30T、10-36T
重量:282g(10-30T)、338g(10-36T)
チェーン
チェーンはレッド/フォースと同じフラットトップ形状だ。これは、リヤ12速になってチェーンが薄くなり、耐久性を高めるためにあえて片側を削らない形だ。見た目はフォースeタップAXSのものとほぼ同じだが、ライバルでは、インナープレートに硬質クロムメッキ加工と呼ばれるコーティングが施されていない。このため、耐久性ではフォースのものの方が優れている。
RIVAL CHAIN
価格:4752円
重量:266g
パワーメーター
ライバルeタップAXSにはクオーク製のパワーメーターも用意される。レッド/フォースのものはスパイダー一体型で左右計測だが、ライバルはスピンドル内蔵式で左側のみの計測だ。単4電池で動き、工具なしで蓋を外して入れ替えられる。リチウムイオン電池が推奨されており、満充電の電池で約400時間使用することができる。防水性能はIPX7で、重量はノーマルのクランクと比べて40g増える。Bluetoothも搭載し、AXSモバイルアプリに対応。クランクセットと、ノーマルのクランクに後から取りつけできる左クランクアーム単体で販売される。
RIVAL AXS POWER METER
価格:51590円
サイズ:160mm、165mm、170mm、172.5mm、175mm
バリエーション:46/33T、48/35T
重量:893g
RIVAL AXS 43/30T WIDE POWER METER
価格:51590円
サイズ:160mm、165mm、170mm、172.5mm、175mm
バリエーション:43/30T
重量:871g
RIVAL 1 AXS WIDE POWER METER
価格:51590円
サイズ:160mm、165mm、170mm、172.5mm、175mm
バリエーション:40、46T
重量:745g
RIVAL AXS POWER METER UPGRADE
価格:36960円
サイズ:160mm、165mm、170mm、172.5mm、175mm
重量:+40g
アプリ
ライバルeタップAXSもシフター、フロントディレーラー、リヤディレラーすべてにBluetoothが内蔵されているので、AXSモバイルアプリでさまざまなことができる。例えば、ファームウェアの更新、バッテリーアラート、シフトモードの切り替えやシフトスイッチのカスタマイズだ。シフトスイッチのカスタマイズは、ライバルeタップAXSのレバーに拡張ポートがないので、シフトアップとシフトダウンの設定のみ行える。デフォルトでは右レバーでシフトアップ、左レバーでシフトダウンになっているが、右レバーでシフトダウン、左レバーでシフトアップと逆にもできる。
AXSウエブというサービスも始まっている。現在はガーミンとワフーのみに対応するが、これによって、サイクルコンピュータで計測したスタート時間、走行時間、走行距離、標高、気温といった基本的な情報はもちろんのこと、ディレーラーの総シフト回数や、1kmあたりにフロント、リヤを何回シフトしたかが分かる。また、ギヤごとの使用時間や距離も表示でき、パワーメーターがあればギヤごとの平均ワットも見られる。さらにギヤ比の推移も見ることができ、勾配のグラフと合わせると、坂道で自分がどれくらいのギヤ比を使って走っているかが視覚的に分かる。
ライバルとレッド/フォースの価格、重量比較
ライバルeタップAXSは、レッド/フォースはもちろん、MTBのXX1/GXイーグルAXSとも基本的に互換性があるが、グループセットでは販売されない。フロント2×、パワーメーターなしの仕様なら、レバーとブレーキキャリパーのセット、ディレーラー、クランク、カセット、チェーン、バッテリー2個、バッテリーチャージャー、ローター2枚の合計で19万9067円となる。
同じ仕様のレッドeタップAXSは52万1840円、フォースは38万468円となるので、ライバルはフォースの約半額だ。重量を比べると、ライバルはフォースより約250g重い。
なお、ライバルeタップAXSのクランク、リヤディレーラー、カセットはすぐに手に入るが、レバー/ブレーキキャリパー、フロントディレーラー、チェーンは2021年7月ごろ日本に入荷する予定だ。