五輪代表・新城幸也 共同記者会見「日本で走れる最高の舞台、暑ければ暑いほどいい!」
ツアー・オブ・ジ・アルプス2021 第5ステージの新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)ⓒBettiniPhoto
東京五輪本番を一週間後に控えた新城幸也が、ナショナルチームの合宿で滞在先の宿泊施設からZOOMによる共同記者会見に応じた。
まず、現在のコンディションについて問われると、
「正直、判りません。自分でパワーメーターを解析しているわけではないので。でも、いつものレースと同じように準備しています。今回、初めて日本で落ち着いて準備しているので、それはいい方向に進んでいると思います。しっかり前に入ってトレーニングして、レースに臨む。環境が整っているという点ではアドバンテージです」。
ナショナルチームとして毎日、体のケアもメカのケアもちゃんとできていてありがたい、とも話した。
「日本の暑さはヨーロッパと違い湿気のある暑さなので、慣れておくのは大事だと思います。僕は暑いのが大好きなので、暑ければ暑いほどいいです。本番は天気がいいことを願うだけです」。
もう一つの質問、一番望んでいる展開は?という問いに対する答えは、
それを「一番望んでいない展開を答えていいですか?」と切り返し、「(望んでいないのは)レースがスローペースで、三国峠の上りまで集団で行くこと」と答えた。
「道志みちでレースが動くのは僕もキツいけれど、三国峠まで待つよりは道志みちで動く方がいい。動くレースのほうが希望ですね」。
そしてやっぱり聞かなければならない、ユキヤの目標は?
「UCIランキングを見れば判ると思いますが、僕はたぶん、30位以内に入るのは難しい。でも、モチベーションは高いし、そのために準備しています。ひとつでもいい結果を出したいし、計算では判らない力を出せればと思います」。
チームメイトとなる増田成幸とは「二人で沈むのではなく、二人で協力しながら、どちらかが日本によい成績を残せればと思っています。ミスをせず、トラブルなく、しっかり力を発揮したい。上りで遅れたら勝負権さえも失うので、最低限、先頭集団に残れる力を、合宿の最終調整としてやっています」。
コロナ禍によって東京五輪は大きな影響を受けているが、ユキヤは「僕にできることは走ること、自転車に乗ることしかない。自分ができることをして、いい走りを見せて、皆さんが明るい気持ちになってくれればと思います。五輪が中止でなく延期であったことは嬉しかったです。18歳からヨーロッパで走ってきて、日本で国際レースを走ったことがありません。この東京五輪は、僕が現役で走っている間で日本で走れる最高の舞台です。だから、東京五輪を開催してくれることには感謝しかないです」と話す。
五輪の競技のほとんどが無観客となり、自転車ロードレースも沿道での観戦は原則禁止となっている事態に対しては「人命に関わることだから……。昨年のヨーロッパでロックダウン中にレースが再開したときも最初は観客を入れてなかったレースもある。それは経験済みです。僕よりもむしろ自転車ロードレースを好きな方が心を痛めていると思います」とファンを慮った。
5月のジロ・ディ・イタリアを77位で終えてからヨーロッパでトレーニングを重ねてきたユキヤ。
「ツール・ド・フランスのリザーブの一番上に選ばれていたため、開幕ギリギリまで何があるかわからないのでヨーロッパに残っていた」とその理由を語った。
7月になり日本に帰国すると、成田空港からオリンピックバブルの中に入ってすでに増田がスタートしていたナショナルチームの合宿に合流。バブルは自由が利かず辛いかとの問いには
「辛いですかね? 毎日、PCR検査を受けるのは当たり前のことで、自分のトレーニングもできている。ストレスを感じることはない」と笑った。
ロンドン五輪48位、リオデジャネイロ五輪27位のユキヤ。母国開催の東京五輪、コースは確かにアウェー感満載だが、全ての自転車ファンが彼のホームゲームを楽しみにしている。先頭集団で富士スピードウェイに帰ってきてくれ、ユキヤ!