Fumy’s eye 別府史之が見た世界 étape20(最終回)
目次
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本場ヨーロッパで活躍するプロロードレーサー・別府史之選手の「今」を、およそ2年間にわたって、本人の言葉で読者の皆さんにお伝えしてきた連載の最終回。2021年シーズン限りで競技生活から退くことを発表した別府選手の、未来に向けたメッセージをお届けします(編集部)。
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Bonjour !
こんにちは、別府史之です。
僕は相変わらずアクティヴな毎日を過ごしています。たしかに今までのような「自転車に乗らなきゃ」という意識からは解放されました。食事制限もないし、家族とゆっくり過ごせる時間も多くなった。ただ逆に、来年やその先に向けての書類やビジネス的な準備が山のようにあるので、毎日デスクワークに励んでます。
おかげで家から一歩も出ない日も多くなっちゃいました。恐ろしいことに、外に出たとしても郵便受けまでの往復くらい。代わりに家で筋トレしたりしてます。アブローラーで腹筋鍛えたりとかね。この先は上半身や腕にどれだけ筋肉をつけても問題がないから、早くも選手時代よりガッチリしてきました。ちょっとぽっちゃりしちゃったというのもあるんですけど……。
いや、まあ、自分としてはのんびりリラックスしているつもりではあるんです。一方では、レーサーとしての本能なのかな、どこか急いでるところもある。「ああ! これもやろう! あれもやりたい!」と、アイディアがどんどんどんどん湧いてきてしまうんです。選手を辞めたら時間がたっぷりあると思ったのに、逆に時間が足りない(笑)。色々なところにコンタクトを取って、点と点とをつなぎ合わせるような。そんな作業を日々してます。常に。
11月上旬に競技生活から退くことを発表した後、ものすごくたくさんの反応をいただきました。ファンのみなさんから届いたメッセージをひとつひとつ読みながら、改めて、「ああ、選手をやっていて本当によかったな」としみじみ実感してます。そう心から思えたということは、やっぱりこのタイミングで辞めてよかったんだ、とも思ってます。
後悔はしていないです。この2年間は、自分の中では納得していないことも多かったし、苦しく不甲斐ない想いもたくさん抱えてきました。でもキャリア全体を振り返ってみると、自分でやれることはすべてやってきたんですから。
もちろん、若い頃に自分が思い描いていた世界とは、違っていたのかもしれない。たくさん勝利を上げられたのなら、違う領域に達することができたのかもしれないです。でも、ぼろぼろになりながらも、僕は17年間こうして走り続けてきた。たくさんのレースを走り、日本のみなさんに自転車のこと、自転車レースのことをたくさん伝えてきた。それはすごく大きな功績だし、誇るべきことだよ、って周りからも言ってもらえました。
だからなおさら忙しく動いているのかもしれません。だってこの先もっともっと日本に僕の経験を還元したいし、辞めた後だからこそできることも多いと思うから。僕がこれから手がけていくだろう活動は、おそらく長い時間がかかるものです。そのためには少しずつ整地をしていかなければなりません。下地が整っていなければ、一過性のもので終わっちゃいますからね。その「下地作り」を、今、自分の名前が使えるうちにやれるだけやっておきたいんです。
この連載『Fumy’s eye』では、2年間に渡って、僕の目から見たプロ自転車界の様子をみなさんにお届けしてきました。ただ僕はこれで目を閉じてしまうつもりはありません。これからは後輩たちに、僕の見てきたものを引き継いでほしいんです。いや、むしろ、若い選手たちには早く僕を追い抜いて、僕が到達できなかったもっともっと先まで突き進んでほしい。そして僕には見ることのできなかった風景を、彼らの目を通して、僕に見せてほしい。
僕はこの先も変わらないんじゃなかなぁと思ってます。たしかに「自転車選手の別府史之」ではなくなりましたけど、僕が僕を辞めるわけではありません。これまで応援し続けてくださった関係者やファンのみなさんが、これからは人間としての別府史之を、変わらず見守り続けてくださると嬉しいです。
それから今後も自転車レースを見続けてください。自転車に乗ることを楽しみ、若い日本の選手たちを、どうぞ応援してください。自転車選手たちのキャリアは短く、レースはナマモノです。LIVEのその瞬間にしか見られないものですから、タイミングを逃してほしくない。そう心から願ってます。
すべての人の健康と、安全な日常が戻る日を祈ってます。みなさんと自転車で走ったり、「あの時ああだったよね」って笑いながら語り合ったり……そんなことを楽しめる日の到来が待ち遠しいです。またきっと世界のどこか道の上で会いましょう!Salut!
別府史之
(宮本あさか)
サイクルスポーツ誌面で振り返る、別府史之の活躍
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サイクルスポーツ2002年2月号インタビュー。全日本選手権のジュニアで2位。期待の新人選手として紹介した
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2002年8月号。全日本選手権U23でのインタビュー
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2005年1月号。フランスのマルセイユに渡り、ディスカバリーチャンネルへの加入を決めた直後
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2005年3月号、ディスカバリーチャンネルへ加入し、表紙を飾る
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ディスカバリーチャンネルでは、当時最強を誇ったL・アームストロングとチームメイトに
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同じく2005年3月号。チームプレゼンテーション、トレーニングキャンプの様子
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2005年6月号からは巻頭で連載がスタートした
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2006年8月号。この年、広島で開催された全日本選手権でロードレースとTTの両方でチャンピオンになった
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2009年8月号。この年、ついにツール・ド・フランス出場を果たす
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2009年8月号。TTを激走
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2009年9月号付録、シャンゼリゼでの逃げ
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2009年9月号。ツール・ド・フランス最終ステージで逃げ、敢闘賞を獲得
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2009年11月号で、これまでの活躍を振り返った
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2009年11月号、フランスでの若き日の活躍を語る
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2009年11月号、6ページにわたるインタビューだった
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2010年4月、レディオシャックへ移籍
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2011年1月号インタビュー。「日本人だから、という意識はなくなった。僕はヨーロッパで走る選手なので」
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2011年1月インタビュー
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2011年8月号。この年も全日本選手権で2冠を達成した
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2011年8月号全日本選手権の記事
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2020年8月号では、これまでの活躍を振り返る特集を巻頭に
サイクルスポーツ最新号でもインタビューを掲載
12/20発売!サイクルスポーツ2月号。みんなの冬サイクリング・テクニック