マウンテンバイクの基本ライディングフォーム【MTBはじめよう!Vol.5】
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マウンテンバイク(MTB)の基礎の基礎から学べるシリーズの5回目。今回はマウンテンバイクで最も基本となるライディングフォームについてレクチャーしよう。
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マウンテンバイクは基本的に立って乗る
今回もレクチャーしてもらうのは、シリーズ通してアドバイザーであるプロマウンテンバイクライダーの板垣奏男さんだ。
「前回のブレーキングの基本編でも教えましたが、マウンテンバイクは基本的にペダルの上に立って乗る乗り物です。今回は、そのときに最も基本的なフォームとなる「ニュートラルポジション」と「レディポジション」の2つについて教えます。
これが身につくと、より走れるトレイルの幅が広がります。頑張って練習しましよう」と板垣さん。
基本1 ニュートラルポジション
「最初に、マウンテンバイクの上に体をどう置くか、その基準となるポジションであるニュートラルポジションについてです。
まず、ペダルを地面に対して水平にし、立ちます。このとき、BBから重力に対して垂直な線を上に伸ばしていったところに、体の中心、だいたいおへそのあたりが来るようにします。
続いて、BBと同様にステムの中心部分から重力に対して垂直に線を上に伸ばしたところに、あごが来るようにします。このときやや上半身が自転車に対して覆いかぶさるようになります。
これがニュートラルポジションです。注意点として、このときに肘と膝が自然に伸びている状態にしてください。また、爪先が前に下がらないようにし、かかとを後ろ側に下げてください。さらに、グリップも変に力が入ったりせず、自然に握ってください。
背中が曲がってしまったり、体に力が入って沿ってしまうのはNGです」。
「このニュートラルポジションがマウンテンバイクに乗るときにあたっての全てのベースとなります」。
基本2 レディポジション
「次は、例えばコーナリングをするときやジャンプをするときなど、あらゆるマウンテンバイクの動作に入る前に取る“準備”となるポジションである、レディポジションです。
やり方です。まず、ニュートラルポジションを取ります。次に、BBから重力に対して垂直に延ばした線とステムから同様に延ばした線からおへそ・あごの位置がずれないようにしつつ、両腕・両脚を縮め、体を全体的に地面に向かって下げます。
こうすると、肘・膝に余裕ができるので、その可動域を使ってさまざまな動作を行うことができます」。
「よくある悪い例として、腰を後ろに引きすぎてしまうことがあります。こうすると重力に対して垂直な線から外れてしまい、バランスが悪くなります」。
「逆に、あごが前に出すぎてしまうのも悪い例です」。
「また注意点として、肘と膝を均等に曲げて、腕や脚のどちらかが極端に下がってしまうことがないようにしてください。背中のラインが常に一定に保たれたまま真下に下がるイメージです」。
練習 ニュートラルとレディの切り替え
「続いて、ニュートラルポジションとレディポジショを状況に応じて切り替えられるように練習します。
ずっとレディポジションのまま走っていたら疲れてしまいますし、ずっとニュートラルポジションのままでも何か動作をする必要があるときに対応できません」。
「車が来ない安全かつ自転車の乗り入れが禁止されていない場所を選び、助走を入れた状態でニュートラル→レディ→ニュートラル→レディと、スムーズに切り替えられるように繰り返し練習してください」。
実践 勾配の変化に応じて重心位置をずらす
「では、実際にこのニュートラルポジションとレディポジションをどう使うかについて、下り坂を例に解説します」。
「下り坂になると、BBから重力に対して垂直な線が、平地だとだいたいサドルの先端くらいに来ていたものが、もう少し後ろ側にずれます。ステムの中心から重力に対して垂直な線も同様に後ろにずれます。
これに合わせてニュートラルでもレディでも、体を少し後ろにずらすことで、おへそとあごの位置がこの線から一致してずれないままとなります。これで下り坂になってもバランスを崩すことなく安定して乗れるわけです」。
「例えば急な下り坂を下る場合ですが、坂に入る前まではニュートラルポジションで、そして急坂に入る直前にレディポジションを取り、重力に対して垂直な線から重心位置がずれないようにしたまま急坂をクリアしていきます」。
「よくやってしまいがちな悪い例は、急な下り坂になったときに腰を後ろに引きすぎてしまうことです(上の写真をよく見ると腕も伸び切っている)。
実際、かなり急だと思える下り坂でも、ここまで説明した重力に対して垂直な線は極端に後ろにずれません。ですので、これを外れて思いきり腰を後ろに引いてしまうと前輪のトラクションが抜けたりして、バランスを崩しやすくなりますから注意です」。
マウンテンバイクで最も基本となるニュートラルとレディの2つのポジションをマスターして、さらに遊びの幅を広げてみてほしい。