ニッポンのROADを再定義する パナレーサー・アジリストの道へ
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自転車タイヤ&チューブ専業メーカー、パナレーサーの「アジリスト」がついにベールを脱いだ。オンロードバイク用として一新されたフラッグシップタイヤの未知なる性能を体感すべく、本誌・エリグチが兵庫県丹波市の生産現場を訪ねる。
新しい道へ進むために、新しいタイヤで
のどかな早春の田園風景を過ぎると、鮮やかなパープルカラーの新ロゴが映える工場施設が見えてきた。創業70周年を迎えたパナレーサーが本社を構える、兵庫県丹波市。国内だけでなく世界中の道を走る同社のタイヤ&チューブは、ここで製造から出荷までが行われている。
そんなパナレーサーのオンロードタイヤシリーズが一新された。「アジリスト(AGILEST)」として、極上の「アジャイル(AGILE)【機敏】」が冠されたこのタイヤは、これまで12年にわたり続いてきた「レース」シリーズの後継となるモデルだ。ETRTO規格の更新やワイドリム化など、自転車用タイヤの状況が大きく変わり始めているこの2022年。アジリストは、まんべんなくタイヤと路面が接するようなラウンド形状に、「ZSG AGILE コンパウンド」や「TF スーパーベルト」と、ケーシング以外の全てを刷新。設計段階から数多くのサイクリストによるフィードバックを重ね、走行感のリアルなバランスを突き詰めた。
早速僕もこのアジリスト(28C)を装着して300km超を走り込んだ。はっきりと分かるのは、前作から全くの別物と言えるほどの走りの軽快感。速度域やコーナリング、自身の踏み方の加減ごとに「どう走らせても、きっちりタイヤが応えてくれる」万能さを感じさせるものだ。入手性や価格とのバランスも、国内供給だからこそ高得点。ニッポンの道を走る者として、新たなベンチマークとなるオンロードタイヤが国内から登場したことをうれしく思う。
Interview 私たちの手で究極のバランスを目指して
マーケティンググループ 高橋諭さん(右)
営業と商品企画の顔を併せ持つマーケティング担当者。ゆるいライドをこよなく愛し、近頃はハンバーガーを求めて徘徊中。25Cで前後6.2bar。
技術・開発グループ 佐藤優人さん(左)
アジリストの試作段階から開発に携わる。好きなライドはクラフトビールを目指して走るロングライド。TLR28Cで前4.3bar後4.5bar。
「アジリストが目指したのは、究極のバランスです。現在の多様化したロードバイクシーンで誰もが使いやすいタイヤ、というのが一つの目標でした。これまでのレースシリーズでは中央部にとんがっていくトレッド形状を採用してきました。しかし刷新にあたり形状を数種類用意してリサーチを行うと、ラウンドシェイプが支持されていることが分かり、そこからコンパウンドも新規に作り込んでいきました」(高橋さん)
「60パターン以上の試作を行い、そこから3、4モデルに絞り込んだうえで実走テストを繰り返しました。開発部でできたてのタイヤを、その日のうちにスタッフが試走し、その結果をまた開発部に戻し、という速度感で3年の期間でアジリストへ突き詰めました。ちなみにアジリストはサンプルの段階で『このタイヤ、どこ社のタイヤ?』と弊社のライダーが驚いたほど。まったく新しい印象を与えてくれるアジリストをぜひ楽しんでください」(佐藤さん)
Panaracer AGILEST
パナレーサー・アジリスト
価格/6270円
サイズ/700×23C、700×25C、700×28C
重量/180g(23C)、190g(25C)、210g(28C)
カラー/ブラック、スキン、 レッド(25Cのみ)、ブルー(25Cのみ)
Line up
アジリスト デューロ
価格/6820円
サイズ(重量)/ 700×23C(210g)、700×25C(220g)、700×28C(250g)
ノーマルモデルから耐久性や耐パンク性能をより向上させた素材を組み合わせつつも、220g(25C)と軽さを確保。転がり抵抗も低減することで、トレーニングやロングライドに最適なタフなレーシングタイヤに仕上がった。
アジリスト-ライト
価格/6820円
サイズ(重量)/700×23C(160g)、700×25C(170g)
170g(25C)と、名作「ジラー」の軽さを受け継ぎつつも、新コンパウンドによって転がりの軽さを実現。ヒルクライムレースを走るならこの一本を。軽快さを感じさせる独自のトレッドパターンを採用する。